大量の薬を飲んで昏睡(こんすい)状態になった女性を放置したとして、保護責任者遺棄罪に問われた医師の男性(50)の判決が23日までに、東京地裁であった。石川貴司裁判官は「保護が必要な状態だったと認めるには合理的な疑いが残る」として、無罪(求刑懲役2年)を言い渡した。
判決によると、男性は2021年6月10日夜、東京都内のホテルで女性ら4人と市販のせき止め薬などを過剰摂取。翌朝、女性は声掛けなどに反応しなくなり、男性が部屋を出た後に死亡した。
石川裁判官は、男性の退室後に撮影された動画などから、当時女性が昏睡状態だったとは認められないと判断。男性が退室前に女性の状態を把握していたかどうかも疑問が残るとし、「犯罪の証明がない」と結論付けた。