歯科業界のシビアな現状がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは「ちょっとwww16時から予約してたのに院長どこww俺の歯治療途中なんですけど(笑)」と1枚の写真を紹介したヴィジュアル系バンド「GERTENA(ゲルテナ)」ボーカリスト、Agatoさん(@GERTENA_Agato)の投稿。
「歯科クリニックの従業員です。本日9月6日(金)出勤したら突然閉院していました。院長から『今日出勤しなくていい』という連絡を最後に連絡が取れなくなりました。私達従業員もどうしたら良いか困っています。予約して下さった患者さん大変申し訳ございません。今まで長きに渡りありがとうございました」
と書かれた張り紙。
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厚生労働省によると、歯科診療所は2019年時点で全国に6万8500カ所あり、コンビニエンスストアの5万5641店(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会調べ、2024年5月)を上回る。口腔内の健康維持に不可欠な存在で、歯科医師の独立志向が高いことも背景にあるが、患者の奪い合いが避けられない状況に置かれている。
帝国データバンクのリリースによると、2024年1-6月に発生した歯科医院の倒産(負債1000万円以上、法的整理)と休廃業・解散は、合計85件。2000年以降で最も多かった23年の通年件数(104件)に迫っており、年間で過去最多を大幅に更新する可能性が高いとみられている。Agatoさんが通っていた医院がどのような事情で閉院したかはわからないが、張り紙を見る限り、なにか深刻な事情があった疑いが強い。
Agatoさんに話を聞いた。
ーーこの張り紙をご覧になった経緯は?
Agato:3日前くらいにクリニックに歯の治療をしに行った時に「次はクリーニングをするので6日でお願いします!」と予約を入れたのですが、急に都合が悪くなってしまい電話をしたのですが全くつながらず…。仕事終わりに直接クリニックに行ったらエレベーターにこの張り紙がしてありました。「え…?」って声が出て5秒くらい固まりました。
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ーー院長はどうなったんでしょうか。
Agato:院長のその後は全く分からず、後日クリニックを訪れてみたのですが、エレベーターを降りてすぐ前のガラス扉が閉まっており、受付の横にあったウォーターサーバーやスリッパを消臭する機械なんかも全てなくなっていて、もぬけの殻でした。クリニックはすごくきれいでスタッフの感じも良く、院長も優しそうな方だったので配です。
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SNSユーザー達から、
「この歯科医院のスタッフさん、自主的にポスター作ってえらい。患者さん思いやわ」
「実は飲食店と同じかそれ以上に過当競争で生き残りが難しいのが歯科医院 飲食店が1年で閉店する率と歯医者が閉店する率では、歯医者の方が高い」
「設備だけですごい借金になってそう…」
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など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。読者の皆さんもぜひご用心されたい。
なお今回の話題を提供してくれたAgatoさんが活動するGERTENAは、「こんな生きづらい世の中でも生きる事の強さや誰かと比べられても自分の道を歩む大切さを伝える」をテーマに人の死生観やあるべき人の本来の姿を歌詞や楽曲上で表現しているそう。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)