【陸上】柳田大輝「良い経験と思えるように」 涙で見送ったパリ五輪リレー決勝…前向きに再出発

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2024年09月19日 19:03  日刊スポーツ

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日本学生対校選手権 陸上男子100メートル予選1組に出場した柳田(撮影・藤塚大輔)

<陸上:日本学生対校選手権(日本インカレ)>◇第1日◇19日◇神奈川・川崎市等々力陸上競技場◇男子100メートル予選1組



柳田大輝(21=東洋大)が10秒33(追い風0・6メートル)の組2着で、20日の準決勝に進出した。100メートルの出場は、3位となった6月末の日本選手権以来。組1着の神戸毅裕(明治大)とは0秒02差で「いざレースとなると久しぶりな感じがあって、思ったよりタイムは出なかったですけど、悪くはなかったです」と振り返った。


パリオリンピック(五輪)では“リレー侍”の一員として400メートルリレーに出場し、2走を務めた予選では決勝進出に貢献した。しかし、翌日の決勝では出走はかなわず。日本は1走から坂井隆一郎→サニブラウン・ハキーム→桐生祥秀→上山紘輝とつなぎ、37秒78で5位となった。日本陸連で短距離種目の強化に携わる土江寛裕ディレクターは、柳田を起用しなかった理由について「(7月のダイヤモンドリーグの)ロンドンと予選でうまく走れなかった。ロンドン後に修正したが、予選でうまく走れずに外す決断となった」と説明していた。


パリの決勝直前、柳田は出走メンバーを見送ると、サブトラックで大粒の涙を流した。「あんな経験はどこへ行ってもしたことがなかった」。今季は4月に自己ベストタイの10秒02をマーク。6月には追い風3・5メートルの参考記録ながら9秒97を記録し、2走としての期待も大きかった。五輪会場には日本から両親も見に来ていた。「ごめんって感じで」。走る姿を見せることができず、申し訳なさも募った。


ただ同時に「決勝でメンバーを代えられる経験を五輪でできた。それ自体もなかなかないことだと思う」と自分を見つめ直す機会にもなった。この夏を前向きに振り返るためにも、今後が大切だと思っている。


「『良い経験』と言ったらきれいごとみたいになりますけど。でも東京での世界陸上やロス五輪で決勝を走ってから、初めて『良い経験』だと思えるようになると思う」


帰国後に友人と会った時には、パリでの涙を「話のネタ」にしているという。「むしろ友達が反応に困るくらいで」。それはこの夏の悔しさを吹き飛ばすためではなく、周囲を心配させないため。パリでの感情は、自分の胸に刻みこんでいる。「引きずりはしていないですけど、悔しい気持ちを忘れないでおきたいです」。来年9月の世界選手権東京大会、28年ロサンゼルス五輪へ、前向きに再出発を切っている。【藤塚大輔】

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