第78回ヴェネチア国際映画祭・最高賞を受賞した『あのこと』のオードレイ・ディヴァン監督が、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランを主演に迎えた『EMMANUELLE/エマニュエル』(原題)の日本公開が決定。サン・セバスティアン国際映画祭のオープニングを飾ったワールドプレミア上映の模様が到着した。
スペイン現地時間9月20日(金)に開幕した第72回サン・セバスティアン国際映画祭(SSIFF)。ヨーロッパでカンヌ・ベルリン・ヴェネチアに次ぐ国際映画祭とされており、スペイン語圏最大の映画祭となる。
72回目を迎える今回のオープニングを華々しく飾ったのが本作。60年代のフランスで禁止されていた中絶について描いた『あのこと』(22)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した新鋭女性監督オードレイ・ディヴァンが、1974年に映画化作品が全世界を熱狂で包んだ官能文学の傑作「エマニエル夫人」を全く新しい解釈で現代に甦らせた。
本映画祭で初めて世界にお披露目される運びとなった本作の主演を務めるのは、『燃ゆる女の肖像』『TAR/ター』などで知られるノエミ・メルラン。
共演には、ウィル・シャープやナオミ・ワッツ、ジェイミー・キャンベル・バウアー、チャチャ・ホアン、アンソニー・ウォンらが名を連ねている。
オープニング上映前に行われた記者会見では、「今作はかつての『エマニエル夫人』からは監督の手法もアプローチもまったく違いますが、リメイクされるにあたって苦労されたことは?」と聞かれると、監督は「今作をリメイクとは考えていません。“エロティシズム”というのは何を隠し、何を見せるかということだと考えています」と回答。
「70年代最初に映画化された作品は、その枠を拡大しようとするものでした。そして、実際に拡大されたため、人々の記憶に強く残りました。私は、今回異なる試みをしました。あえて枠を設けてみたのです。観る者の想像力をかきたて、画面外の状況も利用して引きこめるのか。いまはすべてを見たければ、インターネットやポルノがあります。そういう時代でも、エロティックな映画に人を引きこめるのか。それを考えて取り組みました」と語り、1974年の日本公開作品とは異なるアプローチで、新たなエロティシズムを描きだすことに挑戦したことを明かした。
さらに主演のメルランは本作への出演について「私はオードレイ監督も『あのこと』も大好きで、彼女のまなざしや作品のファンなので、お声がけいただいて嬉しかったですし、興味をそそられました。ワクワクしながら脚本を読んで、とても強いつながりを感じました」と語る。
「エマニュエルの中に、私がいたんです。映画の冒頭では、エマニュエルは抜け殻のように心と身体が解離しています。彼女は社会の要求に応えていて、自身の悦びはありません。そこから、本当のエマニュエルになろうとする彼女の旅、物語がはじまります。本当の自分とつながり、悦びを得て、すべてから解放されるために。私にはストーリーがすんなり腑に落ちたので、お受けしました」と、自身とエマニュエルというキャラクターについてや、監督への信頼について明かした。
オープニングでは、スタンディングオベーションが巻き起こり、9月25日(現地時間)のフランス公開に向けても弾みのつく上映となった。
また、日本公開決定に合わせて場面写真も3点解禁、メルラン演じるエマニュエルの姿を映し出している。
10月28日(月)〜11月6日(水)に開催される第37回東京国際映画祭の「ガラ・セレクション」部門での上映も決定している。
『エマニュエル(原題)』は2025年1月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)