マンモのみでは“乳がん”見落とす!日本女性の7割が該当する「高濃度乳房」に要注意

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2024年09月24日 11:10  web女性自身

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乳がんのなかでも5%という比較的少ない“浸潤性小葉がん”のステージ3Aであることを告白したタレントの梅宮アンナ(52)。抗がん剤治療で進行を止め、そのあと乳房切除の手術を受けるという。



毎年、人間ドックを受けていたにもかかわらず、今年5月下旬に「片方の乳房が小さくなった」ことで初めて異変を感じたアンナ。マンモグラフィーやエコー、MRI検査などを受けるも、はっきりした異常が見つからず、組織の一部を検査する組織診をして、ようやくがんと診断された。



女性がかかる“がん”でいちばん多い乳がん。だが、毎年、人間ドックを受けていた彼女が、なぜ早期発見にいたらなかったのか。



「アンナさんが罹り患かんした浸潤性小葉がんは、授乳期に母乳をつくる小葉という部分にできる乳がんです。このタイプは、明確な“しこり”をつくらず、エコーやマンモグラフィーでは見つけにくい特徴があります。彼女のように乳房全体が硬く縮んではじめて異常に気づくことが少なくありません」



そう解説するのは、これまで4500人以上の乳がん患者の手術を行ってきた虎の門病院(東京都)乳腺・内分泌外科・部長の川端英孝さん。



一般的に多いのは乳管にできる乳がんだが、このタイプでも、しこりをつくらず増殖するケースもあり、そうなると検査で見つけにくいことも多い。こうした見落とされやすいタイプの乳がんでも、早期発見する方法はあるのだろうか。



川端さんは、「造影剤を点滴しながら行う“造影MRI”検査が最も感度が高い」としたうえで、“症状がない人がやみくもに受けるのには注意が必要だ”、と続ける。



「検査にはメリット、デメリットがあり、造影MRI検査を受けることで、まれにアレルギー反応のアナフィラキシーショックが生じて重篤な症状になる方もいます。また、感度が高い半面、変化を病変として指摘してしまうことが多く、再検査が必要になり、心の負担になることも。造影MRIを検診に取り入れる場合は、ご自身が乳がんの“ハイリスク”群かどうか、確認してから受けるのが望ましいでしょう」



現在、ハイリスクとされているのが“遺伝性乳がん卵巣がん”(以下、HBOC)だ。2013年に米国の女優のアンジェリーナ・ジョリーがHBOCであることを公表。予防的に乳房の切除手術をしたことで話題を呼んだ。



「乳がん患者の5〜10%、一般的に200?500人に1人がHBOCに該当するといわれています」



そう明かすのは、NPO法人乳がん画像診断ネットワークの理事長で、相良病院(鹿児島県)放射線科主任部長の戸崎光宏さん。がん抑制遺伝子のBRCA1、BRCA2いずれかに変異があると、50歳までで16〜25倍、70歳までで8〜12倍にがん発症率が高まるというデータがあるという。



とくに、検査をすり抜けやすいのがBRCA1に変異がある場合。



「BRCA1に変異があると、半年に3センチとか急激にがんが大きくなることがあります。つまり、毎年検診を受けていても、検診と検診の間にがんができて大きくなってしまうのです。こうしたハイリスクの方は、小さな病変も見逃さない造影MRI検査が適しています。海外のガイドラインでは、BRCA1の方には半年に一度の造影MRIが推奨されているのです」(戸崎さん)



心配な方は、HBOCの遺伝子カウンセリングを受けてみよう。





■乳房のタイプによって、見落としの可能性が異なる



乳房のタイプによっても、見落としのリスクがことなる。特に乳がんが見落とされるリスクが高いのが、「日本人の約7割を占める“高濃度乳房(デンスブレスト)”だ」と前出の戸崎さんは警鐘を鳴らす。



高濃度乳房とは、乳房の中の乳腺が多く、マンモグラフィーを撮ったときに白く写るタイプの乳房のこと。がんなどの病変も白く写るため、白銀の中で白ウサギを探すように発見が困難なのだという。マンモグラフィーだけでは、精度が落ちることを示すデータもある。



「厚生労働省が立ち上げた乳がんに関するプロジェクトの調査結果によると、40代の女性7万人を対象にマンモグラフィーのみで検査した場合、がんが見つかったのは1000人中3人。一方で、マンモグラフィー+エコーで検査した場合、1000人中5人と、1.5倍に発見率が上がっています」(戸崎さん)



つまり、マンモグラフィーのみだと、5人中2人、4割のがんが見落とされている可能性がある。



ただ、乳がんの初期像の一つである石灰化はマンモグラフィーのほうが発見しやすいという利点も。



「高濃度乳房の方は、マンモグラフィーとエコーを併せて受けることが望ましいです」(戸崎さん)



だが、現在、国の乳がん検診の指針は、40代以上で2年に一度のマンモグラフィー検査のみ。エコーはオプションだ。自分が高濃度乳房かどうかは、検査後に問い合わせると教えてくれる。問い合わせてみて、該当する場合はオプションでエコー検査も受けよう。



■自らの胸の変化にも気を配って早期発見を



どこで検診を受けるかも、見落としを防ぐ重要なカギになる。NPO法人乳がん画像診断ネットワークの副理事長で、乳がんサバイバーの医療ジャーナリスト・増田美加さんは「クリニックで乳がん検診を受ける場合は、できるだけ乳腺外科専門医がいる医療機関で受けてほしい」と呼びかける。



「日本乳がん検診精度管理中央機構という組織では、マンモグラフィーの検査を行う技師や読影をする医師、マンモグラフィーの医療機器、医療施設の認定をして公表しています。



人間ドックや医療機関などの中には、認定を受けていない技師が検査を行ったり、医師が読影をしていることもあります」



資格がなくても違法ではないが、検査の精度を考えるなら、技師、医師、医療機器がそろって認定を受けているところで受けるのが望ましい。



こうした検診に加えて、日ごろからのセルフチェックも心がけたい。検診は100%ではないため、自分で発見する意識を持っておくことが大事だ。



「入浴の際に、石けんをつけた手で乳房をさわって、しこりがないか乳房を確認してみる。



胸の大きさが変わっていないか、ひきつれや皮膚の赤みがないか、乳腺から血が混じった分泌物が出ていないかなど、定期的に確認しておきましょう」(前出の川端さん)



万が一、乳がんが見つかった場合は、治療を受ける病院選びが重要になる。



「ひとつの目安として、手術の症例数が多い病院を選ぶという方法があります。また、乳がんは手術だけでなく、化学療法や放射線治療を組み合わせることも多いので、腫瘍内科医や放射線科医ほか、専門医が揃ってチーム医療を行っている病院だとベスト」(増田さん)



検診の受け方や体の変化に注意して早期発見を心がけよう。

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