○ ヤクルト 5 − 3 広島 ●
<23回戦・神宮>
ヤクルトの青木宣親外野手(42)が自身の引退試合に「1番・中堅」で先発出場。2回の第2打席に左前打、6回の第4打席では右翼線を破る二塁打を放ち、日米通算2730安打をマークし現役生活を終えた。
9月13日に今季限りでの引退を発表した安打製造機。試合前に始球式を行った長男の捕手役を務めると、プレーボール前から涙が溢れた。ファンの大声援を浴びながら慣れ親しんだ中堅のポジションに就き、1回裏の第1打席は広島先発・床田の前に遊ゴロ。二死一塁で巡って来た2回の第2打席は、外角球を鮮やかに左前へ弾き返し、これが日米通算2729安打目となった。
3回の第3打席は三邪飛に倒れ、6回の第4打席に再び快音。広島3番手・九里から右翼線を破る痛烈な二塁打を放ち、これが日米通算2730安打目となった。
守りでは8回から左翼、9回は右翼のポジションにつきフル出場。試合後の引退セレモニーでは、恩師でもある日向高校野球部の元監督・田平裕三氏、早大の同期で元阪神の鳥谷敬氏、元ヤクルトのマクガフ、バレンティン氏、そしてWBCで共闘したパドレスのダルビッシュ有、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が登場し、惜別の言葉を贈った。
イチロー氏の「最後バシっとな!」とのメッセージを受けマイクを握った青木は「イチローさん、バシっと決められるかわかんないけど、とにかくしゃべります」と語り出し、「ついにこの瞬間が来てしまいました。気付けばプロに入って21年間、夢中になって突っ走ってきました。引退発表後、各球団の方々の心温まるセレモニー、本当にうれしかったです」と、球団関係者やこれまで関わったスタッフに感謝の言葉を連ねた。
両親や佐知夫人、治療を続けてくれたスタッフへの感謝も伝えながら、涙が止まらない青木。観客から「泣かないで!」との声が飛ぶと、「泣きますよ。21年も野球やったんですよ」と即答し、ファンとのやりとりに球場からは笑いも起こった。
ワールドシリーズを経験するなどメジャーでも実績を重ね、2018年にヤクルトに復帰。2021年には日本一に輝き「アメリカから帰ってきて、素晴らしい仲間に囲まれ、本当に豊かなものになりました。その仲間たちに囲まれ、こうやって送り出してくれること、本当にうれしく思います」とチームメイトにも感謝した。
そして最後にファンへ向け「いつも本当に、温かい声援をありがとうございました。そして、この自分が愛したこの球団をよろしくお願いします! また会いましょう!」とスピーチを締めくくり、ファンの「青木コール」に包まれながら、チームメイトたちにの手で5度、宙を舞った。