ルーキーレース延期の理由のひとつはロジスティクス問題。F1昇格の決まっているドライバーの出場に難色を示すチームも

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2024年10月05日 07:40  AUTOSPORT web

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2023年F1アブダビテスト ヤス・マリーナ・サーキット
 アブダビでのオフシーズンテストの最後に、史上初の“ルーキー限定”レースを開催する計画をF1が延期した背景には、ロジスティクス上の問題と、2025年シーズン開始前に一部のチームが不当な優位性を得ることへの懸念があった。

 すべてのチームが最初に認識した問題は、たとえスプリントレース形式であっても、このようなイベントを開催することがすでに明確に決定された計画にどのような影響を与えるか、ということだった。スケジュールの唯一の内容が通常のテストである場合、ほとんどのレースチームは、いくつかの重要な要素のみを残し、2回の過酷なトリプルヘッダーの後に取るべき休暇を始めるために家に帰る。

 しかし、この新しい計画が実行に移されれば、スプリントレースの予選セッション中に1台のマシンに完全なクルー陣を配置する必要が生じ、かなりの数のレースチームのメンバーがアブダビに3日間余分に滞在せざるを得なくなるため、クルーとチームに人的および金銭的犠牲が伴うことは明らかだ。

 それに加えて、このイベントではどのパーツが許可されるかという問題もあった。なぜなら、すべてのチームの目標のひとつは、テストの最終ラップでパワーユニットとギヤボックスの割り当ての限界に到達することだからだ。ドライバーひとりあたり平均18周のスプリント予選と19周のレースを追加すると、一部のチームがその制限を超えてしまう可能性があり、新しいパワーユニットやギヤボックスを使用すると、チームに大きな経済的影響が出ることになる。

 計画に疑問を投げかけた3番目の要素は、そのスプリントイベントのスケジュールだった。ほとんどのチームは、予定されているテスト日を自分たちが準備しているプログラムに完全に費やし、予選とスプリントレースを水曜日に開催することを望んでいた。つまり、全員が少なくとも12月11日(木)の早朝までアブダビに留まらなければならず、マシンがファクトリーに戻るのは次の土曜日より前にはならないということだ。2025型マシンに向けた新しいパーツの製造が最優先事項であるときに、ファクトリーのクルーには方向転換しなければならない大きなプレッシャーがかかることになる。

 一方で、スプリント予選とレースはテスト日である火曜日の終わりに行うべきだと主張したチームもあった。予選が午後6時にスタートし、レースが午後9時以降に開催される可能性があるが、その計画だと全員の労働時間が短くても16時間に延長されることになる。チームはテスト開始の少なくとも2時間前には現場に到着する必要があり、レース終了後2時間は作業を終えることができないためだ。これは事実上、レースチーム全員が8時間ずつの2交代制に分かれて残らなければならないことを意味するが、誰もそのようなことを本当に望んではいなかった。

 さらに、一部のチームとドライバーが、2025年のF1世界選手権に向けて準備を先行させるという、決して小さくはない問題もあった。アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)、オリバー・ベアマン(ハース)は間違いなくレースに参加し、2025年シーズンに向けて万全の準備を整えるだろうが、一部のライバルチームのチーム代表たちは、彼らをレースに出すことにあまり乗り気ではなかった。

 最終的に、商業権所有者とチームは、火曜日や水曜日に貴重なリソースを使ってルーキーレースを生放送することにテレビ局がほとんど、あるいはまったく関心を示しておらず、それについて1セントでも追加の支払いを行う意志を持つ者がいないことにすぐに気づくことになった。それでもなお、F1がイベントを放送するために数人のクルーを派遣する必要があることを考えると、F1にとって金銭的な損失となるだろうし、それはこの革新的な計画の棺桶に打ち込まれる最後の釘となるかもしれなかった。

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