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料理評論家で服部栄養専門学校校長の服部幸應(はっとり・ゆきお、本名染谷幸彦=そめや・ゆきひこ)さんが死去したことが5日、分かった。78歳。捜査関係者によると、4日に理事長も務める東京都渋谷区の同専門学校で倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された。病死とみられる。
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「僕は食育を提唱したいと思っているんです。知育、徳育、体育とともに、これから必要だと考えています」。服部先生は記者とのインタビューの最後に、こんな話をし始めた。もう30年近く前になる。フジテレビの人気番組「料理の鉄人」の解説をしていたころだ。軽妙な語り口、食に関する豊富な知識ですっかり人気者になっていた。「料理の鉄人はあくまで仮の姿。私は教育者ですから」。そう、解説者ではなく、服部栄養専門学校の校長という顔があった。
食育の重要性を説いたのは、「おふくろの味」が失われつつあるという現実に直面したからだ。おばあちゃんがその家で代々引き継いできた料理を「核家族化」で次に伝えることが失われている現実。豆腐を包丁で切れない、魚を3枚におろせないといった人が多くなり始め、「嘆かわしい」と危機感を抱いたからだという。
それがキッカケとなり弊紙で、連載「食育のススメ」を開始。「食」そのものに対する警鐘だけでなく、座敷での上座と下座、箸の持ち方などに至るまで、料理の周辺のありとあらゆる正しい知識を記者も伝授してもらった。
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先生が最も残念に思っていたのは、「大量廃棄問題」。日々の売れ残り、商品にならない作物など、「もったいない。食べ物を粗末にしてはいけません。そう教えてもらっているでしょう? どうにかならないですかねぇ」と疑問視し、どうしたら売れるかを考えていた。
世の中、SDGsでかなり緩和されてきているとは思うが、依然として廃棄は続いている。先生が見たら、あの「嘆かわしい」という口グセを発しているかもしれない。【赤塚辰浩】
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