俳優の浅野忠信が伝説の写真家・深瀬昌久を演じる、フランス・日本・スペイン・ベルギー合作映画『レイブンズ』(2025年3月公開)に、古舘寛治、池松壮亮、高岡早紀が出演していることが発表された。高岡は34年前に公開された映画『バタアシ金魚』(1990年)で共演した浅野と「30数年ぶりの共演なので、再会はとても感慨深いものがありました」とコメントしている。
【画像】新宿ゴールデン街の店主を妖艶に演じる高岡早紀 同映画の監督、脚本は、『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』のマーク・ギル。1950年代の北海道、70年代のNY、2010年代東京まで、稀代のアーティスト、深瀬昌久の78年にわたる波乱万丈の人生を、実話とフィクションを織り交ぜて大胆に描く。深瀬の写真の被写体にとどまらず、時代の先端をいく女性として独自の道を切り開いた妻・洋子役で瀧内公美が出演。
加えて、古舘は、深瀬の父親の深瀬助造役。北海道で老舗写真館を経営し、戦争で心を病み、息子に厳しく接する複雑な心情を抑えた演技で表現。池松は、写真家深瀬(浅野忠信)の助手・正田役。60年代から晩年まで、公私ともに師を支え、深瀬がアル中になっても見捨てなかった。深瀬のぎりぎりの精神を支えたリスペクトをやわらかな演技で表現した。高岡は深瀬の行きつけの新宿ゴールデン街のバー「南海(なみ)」の店主。泥酔する深瀬を見守りつつ、写真家としての才能を信じ続ける。懐深い役を知的にエレガントに演じた。
■マーク・ギル監督のコメント
古舘寛治について:イギリスで公開された彼の作品はたくさん見ています。彼が助造の役を引き受けてくれたときはとてもうれしかった。寛治は深瀬の父親像に真に迫る迫力を与えてくれました。他のキャストと同様に私の脚本を彼自身のものにしてくれました。私は俳優たちがそのように脚本を自分のものにしてくれるのがとてもうれしいのです。
池松壮亮について:欧米の多くの観客と同様に池松さんを初めて観たのは『ラスト・サムライ』でした。彼は小さいころから偉大な俳優になると誰もがわかっていました。池松さんは正田というキャラクターに温かさを与えてくれた。それは深瀬がたびたび陥る負の状態を際立たせたのです。
高岡早紀について:実際の南海さんはエレガントでとても格好いい女性です。なので、高岡さんは完璧な選択でした。また、私は映画に登場するすべての女性キャラクターに深瀬を畏れ敬ってほしくなかった。高岡さんは持ち前の知性でそこのところを上手に表現したと思います。
■古舘寛治のコメント
いつも同じことを言ってるが、自分が参加した作品を客観的に観ることは難しい。しかし『レイブンズ』はとても楽しく観ることができた。
外国の監督が日本で日本人の映画を撮るのはとても難しいに違いない。自分の理解しない言語だけでなく、知らない慣習や文化まで撮る必要があるからだ。しかし『レイブンズ』は日本人監督にはないセンスをしっかりと作品から醸しながらも、ちゃんと日本人を描いていた。
破滅的芸術家、深瀬昌久を余計なものを足すことも引くこともなく描きながら、ただの伝記に終わらずに、ギル監督がなぜ彼を映画にしたかったのかが最後にしっかり伝わってきた。いい映画です。ぜひご覧ください。
■池松壮亮のコメント
『レイブンズ』という素晴らしい作品に参加できたこと、とても光栄に思っています。深瀬昌久さんの人生と死生観を、静かに見つめるマーク・ギル監督の知性と勇気に感銘を受けました。その瞳を通した美や精神性は、静謐でクールでとても深い余韻をくれました。
深瀬さんの隣で長年を過ごした相棒のような役を演じさせていただきました。浅野さんとの共演はとても瞬発的で感覚的で愉快なものでした。浅野さんと深瀬さんの時代を越えた奇跡の邂逅を特等席で見せてもらえて、とても幸せな時間でした。
■高岡早紀のコメント
浅野さんとは 30数年ぶりの共演なので、再会はとても感慨深いものがありました。海外の監督が、日本人のカメラマンの生涯を描いている作品なので、客観的な感覚が、この作品を更に興味深いものにしてくれているのではと思います。