市川團十郎、初の「連獅子」に挑む息子新之助の将来に期待「時代の流れを感じられる役者に」

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2024年10月09日 17:44  日刊スポーツ

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成田山大阪別院明王院(大阪成田山不動尊)の御本尊出開帳開白法要に出席した市川團十郎(撮影・阪口孝志)

歌舞伎俳優市川團十郎(46)、と長男市川新之助(11)が9日、大阪松竹座で、成田山大阪別院明王院(大阪成田山不動尊)の御本尊出開帳開白法要に出席した。


22年10月に13代目團十郎を襲名。2年にわたって行われてきた襲名披露公演「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」の締めくくりとなる大阪松竹座公演「十月大歌舞伎」は10日の開幕を控え、26日に大千秋楽を迎える。


昼の部では、2代目市川團十郎が280年前に演じた「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」、夜の部では新之助と「連獅子」を披露する。「雷神−」上演にあたり、成田屋と縁の深い成田山大阪別院より、襲名披露興行成就と大入叶(おおいりかなう)を祈念し、御本尊不動明王出開帳が行われた。


法要を終えた團十郎は「成田山の金剛主監のお言葉をちょうだいして、ありがたく胸に響いた。明日からまた改めて、市川團十郎家の信念を考え直して挑みたい」と気持ちも新た。


もともと20年から予定されていた襲名披露興行は、コロナ禍の影響も受け2年間の延期を経て締めくくりを迎えるが、「困難の中を乗り越えるのは並大抵ではない。歌舞伎の世界の中でしか分からない苦しさがあった。難題に向き合った2年間。順風満帆の中でやっているより、コロナの中でいろんな事を考えながら過ごした2年間は、私にとって大きなこと。学ぶ力が付いた」と振り返った。


一方、新之助は「連獅子が初役になるので、いつも以上に緊張してます。あと、僕は踊りが苦手なのと、毛振りをするのが初めてなので大変だなと思うので、もう明日かと思うと緊張してます」と初めて挑む連獅子への思いを吐露。


父からも稽古をつけてもらい、「厳しいときもありましたけど、すごい丁寧に教えてくれました優しかったです」と感謝した。


そんな息子に團十郎は「現時点ではよく頑張っている」と評価する一方で、稽古については「難しいですね」とこぼした。


自身が初めて連獅子を演じたときは、周囲から厳しく指導を受け、「それが愛だった。感情で怒っているのではなく、彼らも伝統を継続して次の團十郎を作っていくという愛情があった」としみじみ。ただ、昨今の倫理観に照らし合わせると厳しいだけではいけないし、一方で、芸事の本質を考えれば、流れに迎合しすぎてもいけない。


時代の変化の中で「教える側も、そういうさじ加減を考えないといけない。伝承しづらくなっていると踏まえた上で、あえて厳しく稽古をつける。ひたすら続ける。それが愛ですけど、彼に伝わっていれば。ゆくゆくは彼も教えるときが来るし、次の世代に荷物を渡すときが来る。父やおじいちゃんはどうだったんだろうと、時代の流れを感じられる役者になってもらえたら」と、歌舞伎界の将来を担う息子に期待していた。

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