いざ勘九郎 コロナ禍中止から4年半「自信と経験」身につけ念願「一本刀土俵入」

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2024年10月17日 07:23  日刊スポーツ

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優しい笑顔にも、深みを増して風格も感じる中村勘九郎(撮影・浅見桂子)

<情報最前線:エンタメ 舞台>



歌舞伎俳優中村勘九郎(42)が「明治座十一月花形歌舞伎」(11月2〜26日、東京・明治座)出演を控えている。20年3月に同劇場で予定していた興行は新型コロナウイルスの影響で全公演中止になった。4年の時間は過ぎたが、公演を幻にせず、勘九郎は「自信と経験」を身につけたとする。また、22日に行う鹿児島県三島村・硫黄島での「俊寛」上演についても語った。【小林千穂】


   ◇   ◇   ◇   


★諦めたら試合終了


4年半前、勘九郎、弟中村七之助らによる明治座公演は上演が決まらない中、稽古が続けられ、その後中止が決まった。


「心を保つのが大変でした。初日が延びて、また延びて…。そのたびに気持ちをつくらないといけない。やらない可能性が80%まできていましたし、稽古しているものをお客さまに見てもらえるのか、気持ちで稽古していました」


今回は、前回上演できなかった「一本刀土俵入」も上演する。「瞼の母」など人情ものの傑作を数多く生んだ作家、劇作家長谷川伸による作品で、相撲取りから渡世人になった駒形茂兵衛が主人公。祖父17代目、父18代目勘三郎さんも大切に演じてきた役だ。


「茂兵衛だけ良くても成り立たない群像劇。みんなが意識高く、同じ方向を向いていないといけない。江戸のにおいを出すというのは、令和の時代になって難しくなってきていますが、諦めたら試合終了。追求していきたいです」


この4年半、「一本刀−」に関わる機会が多かった。今年、中村芝翫の息子たちが自主公演で上演した時には監修をつとめ、昨年9月の歌舞伎座では体調不良で一時休演した松本幸四郎の代役で茂兵衛を演じた。


「4年半いろいろな経験をさせていただいた。以前は出せなかった、及ばなかった気持ち、感情、技術も身につけてお目にかけられるのではと思います。精神は変わってないですが、経験を積んで自信につながっていると思います」


★テント芝居に出演


今年は父勘三郎さん十三回忌の年で、さまざまな初体験があった。父ゆかりの役では「籠釣瓶花街酔醒」の佐野次郎左衛門、「髪結新三」の新三を初役でつとめ、父が好きだったテント芝居にも出た。


「全部に(父が)絡んでる(笑い)。どっかで見てるんでしょうね」。


長男勘太郎(13)次男長三郎(11)の成長も著しい。勘太郎が16歳になったら「一谷嫩軍記」にそろって出たいと話した。


「勘太郎は根っからの芝居好きですし、長三郎も最近頼もしくなってきました。子供たちに憧れられる存在になり、ずっとなってなきゃいけないですね」


■22日硫黄島で「あこがれ」俊寛の初役


22日には鹿児島県三島村・硫黄島で「三島村歌舞伎」を行い「平家女護島 俊寛」に出演、俊寛を初役でつとめる。


源平の時代に政争に敗れた俊寛が流されたとされる硫黄島で、父勘三郎さんが96年、11年に上演した。勘九郎も2回の公演に出演している。俊寛について勘九郎は「あこがれのお役です。父の俊寛は、目と耳にありますし、砂の感覚は今も手に残っています。俊寛の初役が硫黄島からというのはこれ以上ないことです」と気持ちを高めている。1年を通して行ってきた勘三郎さん十三回忌追善興行を締めくくる公演でもある。


硫黄島では、海岸近くにある秘湯を楽しみにしているという。話題は、温泉から、今はまっているサウナへと飛び「フィンランド公演をやりたいです。本当にどうにかしたいですね」とサウナの本場での公演も熱望した。


■公演概要


「三島村歌舞伎」▼10月22日午後7時▼硫黄島野外特設ステージ


「明治座 十一月花形歌舞伎」▼11月2〜26日▼昼の部「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引」「一本刀土俵入」「藤娘」▼夜の部「鎌倉三代記」「お染の七役」

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