元TBSアナ・39歳の私が回転寿司で「あえて隣に座ってくる女性」に遭遇しギョッ。冷静になって察したのは

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2024年10月18日 09:20  女子SPA!

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お寿司屋さんにて(※トナラーに遭遇したお店ではありません)
 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

 TBS退社後は一般男性と結婚、アナウンサーとしての活動を休止し、表立った活動はほとんどありませんでした。2024年8月31日、自身のインスタグラムで婚姻関係の解消を報告。故郷である北海道に“出戻り”、38歳で再スタートを切ったアンヌさんが、北海道での生活のようすや心境をつづる連載をスタートしました。
 第6回となる本記事では、回転寿司屋で出会った“トナラー”について考察します(以下、アンヌさんの寄稿)。

◆“トナラー”とは?

 トナラー。

 私の友人たちはその響きに「なんのこと?」と首を傾げましたが、「明らかに他にスペースがたくさんあるのに、真横にいきなり座ってきたりする人」と説明すると、「あるある!」と大きく頷いていました。

 地下鉄の座席や飲食店、はたまたヨガスタジオ、駐車場などでも起きがちな「トナラー」現象に、みなさん一度は違和感を覚えた経験があるのでは?

 性的な目的は言語道断、糾弾する他ありませんので今回この場では考慮に入れませんが、そもそもどういう心理で……ということに率直に疑問を持っている方もいらっしゃることでしょう。

◆お寿司でビールをちびちびとやっていると……

 先日、じつは私も体験したトナラーの怪。私は昔からどこでも一人行動、一人ご飯と言うのがまったく苦ではないタイプ。ある、カウンター席のみのコンパクトな回転寿司店に足を運んだときのことでした。

 ランチの時間帯からは少し過ぎていたせいか、お客さんはまばら。意気揚々と席につき、一人、昼ビールをちびちびとやりながら、壁にかかっているお品書きを眺めつつ、何を注文しようか……いやいや、レーンに流れてきたものを取るのが楽しいよね、なんてウキウキとお寿司を満喫しておりました。

 ちなみに一人で外食する際のポリシーとして、食べながら携帯電話を見たりというのは邪道。黙々と食べ、さっと席を立つと言うのが信条ですので早々にお店を後にしようと考えていた矢先、おもむろに私の真横、右隣の席の椅子がガっと引かれた気配が。

 納豆巻きを口に運びながら、ん? と顔を向けると、赤いウィンドブレーカーを着用したボブヘアー、40代半ばほどの女性がさっとそこに腰を下ろしたのです。

 あれ? お店の中、これだけ席が空いているんだけど…… 1席開けることもなく、ぴったりと私にくっつくような形で、女性が隣に座ってきたのです。さて次は何を食べるかとレーンへ伸ばしかけていた手を、思わず引っ込めてしまいました。

◆冷静になり、なんとなく察したこと

 そんな私の戸惑いに満ちた視線を尻目に、赤ウィンドブレーカーの女性は無表情でさっと私の目の前にあった醤油の瓶を取り自分の目の前の小皿に入れ、そしてすみやかに戻し、さらに私の右肘のあたりにあったお茶用の給湯器にグッと湯のみを押し付け、緑茶をテキパキと作り始めています。

 あまりの近さに、その湯のみから飛び跳ねたお湯のしずくがこちらに飛んできそうなほど……。彼女はこちらを一瞥することもなく、レーン内に立っていた大将に声をかけ、お任せセット1人前を注文したのでした。

 当初ドギマギした私でしたが、徐々に冷静になりなんとなく察したことは、周りから見ると、私たちは女性2人連れでお寿司を食べに来た友達同士に見えなくもないのではないかということです。

 これはもしかして、彼女は仲良しの女性2人同士でお寿司を食べに来たというふうに周囲に見せるべく、ここに座ったのではないか……と想像しました。入店してすぐになんとなく年恰好が似た同性を選びとり、隣にすみやかに着席したのでは、なんて私は直感的に感じた訳です。

◆堂々と、好きなものを好きなときに食べるべき

 これは、特に女性でたまに聞くことなのですが、一人でレストランに入れない、一人で食べていると周りから思われたくないというタイプの方がいらっしゃいます。

 もしかしたら彼女はそのタイプではないのかと。これはあくまでも想像ですが、私は彼女にとって簡易的な“エア寿司友達”となったのではないかと今では思ったり。私を、横に座っても問題なさそうな人畜無害そうな人物と判断していただけたのだとしたらそれは光栄なことですが、ひとつお伝えしておきたい!

 これからの時代、未婚率の増加、核家族化、ライフスタイル選択の多様化などの影響で、私のようなおひとり様という存在は増える一方だと言われています。どんなところでも一人で足を運び、一人で楽しめるような、自分で自分をもてなすパワーが多くの日本人には不可欠になっていくと思うのです。

 もし一人でご飯を食べていると思われるのがつらい……と言う理由で、「トナラー」的行動をされている人がいるならば、そんな事はもう考えずに、堂々と好きなものを好きなときに食べていこうじゃないかと声高に言いたいのです。

◆私はトナラーではなく…

 私だっていまだに、初めて入るラーメン屋さんなどは結構緊張します。他に女性いるかな、とか気にしてしまいます。でもね、みんなお互い良い大人なんだから、「わあ! 見て! あの人ひとりじゃああああん!!」なんて、指差してきたりする人も当然ですがいないわけで。

 日本経済新聞にまで“一億総おひとり様時代”に突入かと掲載されている昨今、みんなで堂々と、心地よいスペース感でひとりご飯を楽しみましょうよ。

 私はトナラーではなく、むしろ大人の距離感を演出できる「微笑みながら二つくらい隣をそっと陣取ラー」として慎み深く生きていきたいと感じている今日この頃です。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中

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