ROLLY「ロックバンドをやっているだけでは決してかなわなかった自分の夢をかなえることができる」ミュージカル出演への思い【インタビュー】

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2024年10月19日 08:10  エンタメOVO

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ROLLY (C)エンタメOVO

 イギリスのルイス・キャロルが1865年に刊行した児童小説「不思議の国のアリス」を原作に、誰もが知っている「ALICE」の誰も知らなかった物語が展開する、ミュージカル「ALICE THE MUSICAL〜『不思議の国のアリス』より〜」が11月4日に開幕する。本作で帽子屋ハッターを演じるROLLYに本作の魅力や役柄について、ミュージカルに出演する思いを聞いた。




−本作への出演を決めた思いを聞かせてください。

 これまで、いろいろな方から『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカや「不思議の国のアリス」の帽子屋、それから『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のヘドウィグなどをやらないのかと言っていただいていたんです。きっと、そういう雰囲気が僕から出ているんだなとすごくうれしくて。意図的にそうして生きてきたわけではないですが、なんとなくそうなってきちゃったんですよ(笑)。なので、今回、帽子屋の役をいただいたので、本当に光栄だと思い、お引き受けしました。

−まさに帽子屋はROLLYさんにハマっていますね。

 昔、白井晃さん演出の「星の王子さま」という作品に出演し、キツネとうぬぼれ男という2役を演じたことがありましたが、うぬぼれ男は、帽子屋にそっくりで(笑)。極上文學「人間椅子/魔術師」の魔術師もそうです。自分の好きなキャラクターをコレクションしているようなイメージなんです。僕の心の中に自分の人生の棚があるんですよ。ミュージシャンのROLLYが、フィギュアのように自分が演じたキャラクターをその棚に並べているんです。その棚には、「ロッキー・ホラー・ショー」のフランク・N・フルターもいたりして。もちろん、今回の帽子屋も並びます。

−なるほど。普段ミュージシャンとして活動されていますが、こうしたお芝居の仕事との垣根はあまりなく、自分に合うものであればというスタンスなのですか。

 そうですね。自分に合った、自分にできそうな役でお声がかかったら出させていただいています。ありがたいことに自分を必要としてくださっているのであれば、僕としては断ることはできないと思っていますから。それに、僕はロックバンドで1990年にデビューしましたが、そのときのキャッチフレーズが「夢の国風のオペラミュージカルロックバンド」だったんですよ(笑)。自分で言ったのかもしれないけれど(笑)。とにかくクイーンが好きで影響を受けていたので、それにさらに夢の国っぽさを加えたいというイメージだったんだと思います。ただ、それをロックバンドでやるには限界があるので、こうしたミュージカルのお話は、ロックバンドをやっているだけでは決してかなわなかった自分の夢をかなえることができると思っています。

−ROLLYさんは「ものがたりの劇場『不思議の国のアリス』」と題して原作の「不思議の国のアリス」を朗読するステージも行なっていますね。

 それもまた偶然なのですが、すごくご縁があるなと思います。

−ミュージシャンとして活動し、朗読も継続して行い、こうしてミュージカルにも出演されて、かなり精力的に活動されていますが、ROLLYさんにとって、活動の原動力は?

 「血を吐きながら続ける、悲しいマラソン」ですね。この言葉は「ウルトラセブン」の諸星ダンの有名なセリフです(笑)。僕は血を吐き続けているわけではないですが、それでも、今回の作品は楽勝だと思ったことはこれまで1回もないんですよ。毎回、ほかの皆さんはすごくうまくできているのに、自分だけ誰よりも全然できていないといつも思っていました。この仕事を受けなければよかったかもしれないと途中で思うんですが、立ち向かっていくとやって良かったと思える。そう思うためにはきっと一回、地獄に落ちないといけないんですね。本当は全く自信ないんです。

−やって良かったなと思うというのは、どういったときですか。

 お客さまの声援が聞こえたときですね。自分の中でほんの少し成長したのかなと思えることがやりがいなのかなと思います。それから、先ほど話した自分の心の中の棚に新たな役のフィギュアを飾ったとき。大好きでやりたいと思っていた役のフィギュアを並べると、攻略したという気持ちになれるのかなと思います。

−今回の帽子屋は、どのように演じたいですか。

 お芝居で「帽子屋になる」というよりは、「ROLLYがやっている帽子屋」でいようと思っています。役者さんは完全に役になりきりますし、作品が変われば全く違う人になりますが、僕は役者ではないのでそういうことができない。僕の好きな俳優さんに岸田森さんという方がいますが、彼はドラキュラのような役を演じるととにかく似合うんです。でも、どの作品に出ていてもそんな空気感があって、彼が出ると途端に変な空気になるんです。僕はそれが好きで。ありがたいことに、僕も出演すると変な空気になると言っていただけるので、それは大事にしたいですね。

−そうすると、何かをイメージして役を作るというよりは、ROLLYさんらしさを大事にして演じるのですね。

 もちろん、帽子屋らしさは出したいですが、自然に不自然な感じを出していきたいです。

−作品としては、どんなところをお客さまに楽しんでいただきたいですか。

 原作本はすごく難しいと思います。自分は、朗読をやっていますが、読んでいてもクエスチョンマークが浮かぶところがあるんです。でも、この作品はすごく分かりやすく作られているので誰にでも見やすい作品になっていると思います。

−最後に改めて公演を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

 おそらくこの作品を見れば、これがROLLYの帽子屋だなと感じていただけると思いますし、魅力的な帽子屋を演じたいと思っております。この作品で、僕のことをこれまでよりもほんの少し好きになってくれたらうれしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「ALICE THE MUSICAL〜『不思議の国のアリス』より〜」は、11月7日〜9日まで都内・きゅりあん大ホールほか、全国13都市で上演。


ミュージカル「ALICE THE MUSICAL〜『不思議の国のアリス』より〜」

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