色彩心理学はファッションやインテリアなどの「カラーコーディネート」、色で人を癒す「カラーセラピー」、色を戦略的に活用してビジネスを発展させる「カラーマーケティング」といった分野にも活用されています。
今回は「カラーセラピー」に着目し、「イライラする」「肩がこる」といった心身の不調を和らげてくれる色についてご紹介します。
色で心を癒すカラーセラピー
日常生活に支障はないとしても、なんとなく気分が重かったり、精神的に不安定になってしまったりすることはありませんか? そのようなときは、心の状態に合った色をファッションや身の回りのものに取り入れてみましょう。色を上手に取り入れると、心のダメージを和らげたり、気持ちをポジティブにしてくれたりするのに一役買ってくれますよ。
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動揺しているとき:精神を鎮めてくれる「青」
ショックな出来事があると、動揺してしまうものです。そんなときは、呼吸数や心拍数を減少させる「青」を取り入れましょう。青を見ているうちに心が落ち着き、冷静さを取り戻すことができます。深い青は鎮静効果に優れていますが、「ブルーな気分」という表現があるように、憂鬱(ゆううつ)になってしまうことも。青の種類には、花嫁が身につける希望のシンボル「サムシングブルー」のような明るい色もあります。青を取り入れるときは、自分に最適な青を探してみましょう。
日中、眠気が襲ってきたとき:体温を上げる「赤」
仕事中なのに、うとうとしてしまうことってありますよね。眠気の原因の一つは、身体の深部体温の低下です。暖房が効いた室内などでは、身体の放熱が進んで深部体温は急激に低下するため、眠くなります。「赤」には血圧や体温を上げる働きがあるので、昼間に眠気を感じたときは赤が目に入るようにすると、血流がよくなって眠気が覚めます。さまざまな赤の中でも、いちごやりんご、トマトなど、フレッシュな果物や野菜のような赤がおすすめ。
赤は色の中で最もエネルギーが強い色なので、取り入れる際は分量を少なめにすることがポイントです。
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イライラするとき:緊張を解きほぐす「緑」
「緑」は人の目に優しい自然の色。みずみずしい植物を連想させる緑は、体の細胞を活性化させる働きがあり、筋肉の緊張を解きほぐす作用があるといわれています。虹の中央に位置する緑は、バランスを整える色でもあります。目が疲れたら遠くの緑を眺めなさいといわれるように、緑は目にも心にも優しい色です。イライラして頭に血がのぼっているときは、緑を取り入れてリラックスしましょう。
緑あふれる公園で過ごす心地よさは、緑のイメージそのもの。爽やかなミントグリーン、静かで力強いダークグリーンなど、自然にある緑を探してみてもいいでしょう。
肩がこるとき:疲労感を軽減する「ベージュ」
筋肉が緊張して血行不良になると、肩こりになります。デスクワークやパソコン作業など、ずっと同じ姿勢を続けるのはよくないのですが、仕事であれば仕方がないのかもしれません。「ベージュ」はぬくもりのある暮らしの色。疲労感があるときは、くつろぎの時間を象徴するような穏やかなベージュを取り入れましょう。派手さはないけれど、真の優しさを感じさせるベージュは、心を静め、安心感と懐かしさをもたらします。
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自律神経の乱れを感じたとき:回復力を高める「白」
心身のストレスや不規則な生活が続くと自律神経のバランスが乱れ、頭痛や肩こり、手足の冷えやしびれなどが起こりやすくなります。自律神経は全身の隅々に張り巡らされており、内臓や器官の働きを調整しています。そのため、自律神経の機能が乱れると体を最適な状態に保つのが困難になり、さまざまな症状が出てくるのです。自律神経の乱れを感じたときは、太陽光線の色に最も近い「白」を取り入れてみましょう。太陽光線を浴びるとやる気やスタミナが出るように、白を身近に置くと心身が浄化され、生まれ変わったように感じられるでしょう。
今回はお悩みに合わせて、5つの癒しの色をご紹介しました。カラーセラピーを利用すれば、薬に頼らなくても症状が改善されることもあります。心身の不調が気になったときは、ぜひ参考にしてみてくださいね!
松本 英恵プロフィール
カラーコンサルタント歴20年。パーソナルカラー、カラーマーケティング、色彩心理、カラーセラピー、ラッキーカラー(色占い)などの知見を活用し、カラー監修を行う。執筆、メディア出演、講演、企業研修の講師など幅広く活動。近著に『人を動かす「色」の科学』。(文:松本 英恵(カラーコーディネートガイド))