SOPHIA松岡充「あなたは私と思えたら…」新曲&デビューオマージュ最新アルバム徹底解説

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2024年10月23日 12:30  日刊スポーツ

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松岡充

2022年に復活した5人組ロックバンドのSOPHIAが、約11年ぶりのオリジナル作となる最新ミニアルバム「BOYS and」を23日に発売した。結成30周年。来年のメジャーデビュー30周年に向けて、“もう一度デビューする”ことをテーマに、95年発売のメジャーデビューアルバム「BOYS」をオマージュした。このほどボーカル松岡充(53)が取材に応じ、作品にかける思いや、収録曲について熱く語った。【聞き手=大友陽平】


◇  ◇


22年に日本武道館公演で復活し、23年にデビュー当時に所属したレコード会社「トイズファクトリー」と再びタッグを組むことを発表していた。


「周り回って、この30年目を一緒に迎えられるということになりました。当時とはハードもソフトも当時とは様変わりしてるんですけど、社長さんとお会いして話をした時に、音楽に対する姿勢というか、時代が変わってもあの頃のままで、スピリットがあって、すごくかっこいいなと思ったんです」


95年10月発売の「BOYS」は、メジャーデビュー作品だ。


「心新たにできる相手とやるんだっていうことから、じゃあもう1回『BOYS』に立ち返ろうと。でもそれは“側”だけで、作品自体は、当時まだSOPHIAがあまり認知されてない頃のものなので、『知らねえよ』っていう人がほとんどだと思うんです。今のSOPHIAを好きで、支えてくれている方からすると、ちょっとリアルタイムじゃないかもしれないけど、ここからスタートするのが一番いいんじゃないかなと。ファンの皆さんに対しても、ここからもう1度一緒に行くんだ、ちゃんと刻んで、生きていっているという意味も込めて『and』を付けました」


今回の「BOYS and」の収録曲は、レコード会社ら同バンドのチームに一任したという。「BOYS」に収録されていた3曲をはじめ、新曲2曲、セルフカバー2曲を収録しているが、それぞれの楽曲が“呼応”した形に仕上がった。


「『State of love』(96年)と『Like Forever』(「BOYS」収録)は、できた時期はずれているんですけど、実は同じテーマで書いてるんです。『Like−』は、デビューの年に阪神・淡路大震災が起こって、偉そうにデビューとか言いながら、自分たちが被災者に対して何もできないというか…。やろうと思えばできたんでしょうけど、それをやらなかった臆病者だった。その臆病者たちには何ができるんだ? 曲を書くしかないと。時間がかかるかもしれないけど、俺たちは忘れないというメッセージを書きました。それをもう一つ違う目線から俯瞰(ふかん)でみたのが『State−』。“愛のありさま”という同じテーマなので、この2曲が入るということは僕はすごくいいなと思います」


「Secret Lover’s Night」と、代表曲の1つ「Believe」も呼応しているという。


「(デビュー前の)まだ3人体制の頃、ギターのジル(豊田和貴)に『自分の中のSOPHIAってどういう音楽?』という曲を作ってきてくれ、俺も作るといって生まれたのが『Believe』(豊田作曲)と『Secret−』(松岡作曲)なんです。その時にこの2つがすごく近いように感じたというか、俺たちいけるね! ってなった。その後『Believe』はライブでもずっとやり続けてたんで、お決まりの大切な曲になってくれたし、『Secret−』は意外とライブでもやってなかったので、これをもう1回この30年目でやるっていうのはすごくいいなって思います」


新曲「I & I Wish」も書き下ろした。


「30年間の“まとめ”みたいなのを書きたいんですけど、1曲に入りきるわけもなく…(笑い)。でもすごく俯瞰で、大きい目線で、SOPHIAとして生きてきた僕の人生において、いろんな人との出会い、裏切り、支えがあったということを、僕はリアルに書いたつもりです。二人称で別の人間ではなく、あなたのことを自分自身だと思えたら…。もしかしたらもっと世界も、この国も、自分自身も、パートナーがいる人もいない人も、誰かと絶対つながってしか生きていけないし、『I&I』って思えた時には、実はもっと笑顔があふれて、もっと幸せになれる気がすると。戦争もまたどんどん激化してるし、自然災害、コロナ…もういろんなことが山積みで、目を背けたくなる。すごく温度差のある世界の中でも、宇宙に逃げることなんてできない中で、あなたは私、私の痛みはあなたの痛みで、あなたの喜びは私の喜びで…って思えたら、いろんなことが解決するんじゃないかな…。それを願うとタイトルに込めました」


13年8月から9年2カ月の活動休止期間をへて22年に再始動した。今年結成30周年、25年はメジャーデビュー30周年の節目を迎える。これから、伝えていきたい思いがある。


「僕らが勝手にやれてる気になっちゃいけないと思うし、アーティストとしてそこに存在できるのは、それを求めてくれる人がいるからです。僕らも稚拙な人間で、みんなと同じように迷うし、ビビるし、うそもつく。でもそれを隠したりするんじゃなくて、自分で受け入れることで実はこれだけ強い一歩を踏み出せるんだということぐらいは言ってあげられる…。僕らが特に届けなきゃいけないのは同世代や、当時からずっと聞いてくださって、いまだに応援してくださっている方たち。その方たちも年齢を重ねて、お子さんがいらっしゃったり、仕事で責任あるポジションに就いている方もいるでしょう。若い頃は早くそういうポジションにいきたいと思っていたけれど、そこにはそこの大変さがあったり…。青春時代にビビットに反応した時と、SOPHIAの音楽の響き方が違うと思うんですけど、その方々が必要としている音楽というものを僕らの音楽で還元できるんじゃないかなと。そういうニーズというか、僕らもまだまだやることがあるって、メンバーとも話してます」


記念イヤーに向けても「1つずつちゃんと踏みしめたい」と話す。色あせないメロディーとともに、今を刻んで、時代、世代を超えていく。


◆SOPHIA(ソフィア) ボーカル松岡充、ギター豊田和貴(53)ベース黒柳能生(52)ドラム赤松芳朋(50)キーボード都啓一(53)の5人組で、1994年(平6)に結成。翌95年メジャーデビュー。おもな代表曲は「little cloud」「街」「黒いブーツ〜oh my friend〜」など。結成20周年を目前にした13年8月の日本武道館公演をもって、一時活動休止。22年10月の武道館公演で復活。


◆「BOYS and」 “もう一度デビューする”をテーマに、SOPHIAにとって11年ぶりのオリジナル作となる最新ミニアルバム。ジャケットや初回限定盤に封入されるミニポスターも「BOYS」当時の写真をオマージュ。収録曲は(1)State of love、(2)Like forever、(3)あなたが毎日直面している 世界の憂鬱、(4)Secret Lover’s Night、(5)Kissing blue memories、(6)Believe、(7)I & I Wish

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