“悪い噂”で地上波から遠ざかった42歳俳優、ネトフリで一気に“V字回復”したワケ

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2024年10月25日 16:10  女子SPA!

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Netflixシリーズ『地面師たち』7月25日より独占配信中
彼の俳優としての類まれなる魅力を考えれば、復活を果たしたこと自体に驚きはありませんでしたが、さすがにここまで一気にV字回復したのは予想外でした。

Netflixの日本トップ10(テレビ部門)にて、7月25日の配信開始から6週連続1位という記録を打ち立てた『地面師たち』に、豊川悦司さんとダブル主演した綾野剛さん。

今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、綾野剛さんのこれまでの俳優キャリアを振り返りつつ、『地面師たち』で見せた演技のすさまじさを解説していきます。

◆ガーシー砲直撃後に「日曜劇場」主演

綾野さんは、今年3月に懲役3年・執行猶予5年の有罪判決が確定したガーシー(本名・東谷義和)から、ターゲットにされていた一人。芸能活動に多大な悪影響を及ぼすイメージダウンを被っていました。

ガーシーが脅迫などのYouTube投稿をしていた2022年6月には、日曜劇場の主演作『オールドルーキー』(TBS系)が放送スタート。綾野さんが演じたのは情に厚い熱血漢だったため、ガーシーによって流布した噂がドラマにも悪影響を及ぼしていたのです。

ガーシー砲の被害に遭うまで『MIU404』(2020年/TBS系)、『恋はDeepに』(2021年/日本テレビ系)、『アバランチ』(2021年/フジテレビ系)など、主演俳優として引っ張りだこでしたが、『オールドルーキー』以降は地上波ドラマへの出演はしていません。

テレビ各局が綾野さんへのオファーを控えていたのか、オファーがあっても綾野さん側が出演を控えていたのかは定かではありませんが、ガーシー砲が彼のテレビドラマ出演に悪影響を与えていたことは間違いないでしょう。

◆Netflixオリジナルドラマで大復活!

そんな綾野さんがNetflixオリジナルドラマで大復活。

昨年12月から配信開始された『幽☆遊☆白書』(Netflix)ではラスボス・戸愚呂(弟)役で圧倒的な存在感を示していましたが、やはり完全復活を印象付けたのは『地面師たち』でしょう。

本作は2017年に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」から着想を得た、不動産詐欺集団・地面師を描いた全7話のクライムサスペンス。

豊川悦司さん演じる主人公・大物地面師を中心に結成された地面師チームが、前代未聞の時価100億円超の土地をエサにして、大手デベロッパーに詐欺を仕掛けて巨額を巻き上げるまでを描いています。

◆綾野剛の“なりすまし”に脳がバグる

綾野さん演じるもう一人の主人公も地面師チームの一員。冷静沈着な交渉役なのですが、ターゲットを騙すため、ときには物腰の柔らかいビジネスパーソン、ときにはホストクラブの下っ端従業員と、違う人物になりすましていくのです。

この“なりすまし中”こそ綾野さんの演技力に脱帽させられるのですが、我々視聴者は彼の演じるキャラが本当は詐欺を働こうとしている犯罪者であるとわかっていながら、どこかなりすました人物にも惹かれてしまいます。

温和なビジネスパーソンの語り口についほだされそうになったり、悲惨な人生を送っているという設定の下っ端従業員につい同情しそうになったり、脳がバグる感覚を味わえるのです。

◆“愛されクズホスト”の魅力を引き出す

余談ですが、綾野さんはとある歌舞伎町のNO.1ホストに近付くために従業員として潜入したのですが、そのホストがとにかくクズすぎて、それゆえに視聴者から“愛されキャラ”、“イジられキャラ”になっています。

調子に乗って綾野さん演じる下っ端を嘲笑してアゴで使っていたものの、弱みを握られて立場逆転したと思ったら、気持ちいいほどプライドを捨ててヘコヘコ。口調が「〜っす」と変わり、「おつかれさまです」「すんません」と態度も低姿勢に劇変するので、その変わり身の早さは必見。

この見どころも相手の魅力を引き出す綾野さんの演技があってこそでしょう。

◆50億円突破の映画『ラストマイル』にも貢献

綾野さんは8月の公開直後から大ヒットして興行収入50億円を突破した映画『ラストマイル』にも出演。この映画は『MIU404』と共通の世界観で描かれるシェアード・ユニバース作品のため、『MIU404』で演じた刑事役を再演しています。

『MIU404』で演じたのは、運動神経はピカイチで考える前に行動を起こす野性的な熱血バカ。冷静でインテリ感が漂っていた『地面師たち』の交渉役とは真逆の役どころと言えるでしょう。

役者・綾野剛は、『地面師たち』と『ラストマイル』というこの夏を席巻したヒット作で、演技の幅の広さを改めて見せつけて、ガーシー砲という災厄を自らの実力で振り払ったのでした。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。

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