「肥満症」対策で愛知県春日井市とノボノルディスクファーマが包括連携協定、11月から試験事業開始

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2024年10月29日 16:10  QLife(キューライフ)

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保健指導や専門医療機関への受診勧奨、肥満症の啓発を実施

 みなさんは、「肥満」がさまざまな病気の原因となることを知っていますか? BMIが25以上で、過剰な脂肪が蓄積した状態を肥満といいます。肥満が原因となっているか、関連している病気を合併していて減量が必要な状態の「肥満症」は、治療の対象となる病気です。2型糖尿病や高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などさまざまな病気と密接に関係しています。

 肥満症についてこうした健康上の課題がある中、愛知県春日井市と製薬会社のノボノルディスクファーマは2024年10月23日、肥満症対策によって健康寿命延伸を目指す包括連携協定を締結しました。連携・協定項目としては▼肥満症対策の構築、▼健康・医療のデータ活用、▼医療政策の動向や全国の先進事例等の情報提供―を挙げ、「地域住民・医療関係者の肥満症認知向上」「肥満症患者さんが適切な治療を受ける機会の増加」「合併症予防による将来的な医療費など社会保障費の抑制」「肥満症治療薬の適正使用の推進」を目指すとしています。


春日井市の石黒市長(左)とノボ社のキャスパー社長(右)

 春日井市では、2024年11月からパイロット事業をスタート。人間ドックや特定健診を受診した市民のうち、BMIが35以上の高度肥満症が疑われる人を対象に、保健指導や専門医療機関への受診勧奨を行うとしています。

 2025年4月からは本事業を開始し、保健指導の対象者をBMI25以上に広げるほか、肥満症の周知啓発を目的にイベントや市のホームページ、SNS、デジタルサイネージなどを活用する予定です。

 同日の締結式で春日井市の石黒直樹市長は、さまざまな病気の原因となる肥満を減らし、「健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮めたい」と強調。「市医師会と協力しながら、春日井市全体で取り組みたい」と意欲を見せました。

 ノボノルディスクファーマのキャスパー・ブッカ・マイルヴァン社長は「肥満は個人の生活習慣の問題だという認識があるが、個人の問題ではなく、社会全体で介入する必要がある」と指摘。また、「肥満症と診断されている人は少なく、適切な治療を受けていない人が多くいる可能性がある」として、自治体と連携して肥満予防に取り組む意義を述べました。その上で「春日井市での肥満症対策事業を好事例として全国に発信し、普及を促進したい」と展望を語りました。

 肥満であることを個人の責任だと認識していた方も少なくないのではないでしょうか。肥満の要因には、社会的な環境や遺伝も関係しています。肥満症の場合は治療の対象となるので、気になる方は医療機関の受診を検討してみてくださいね。(QLife編集部)

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