橋本環奈演じるヒロイン米田結がギャル文化と出合い、成長していく様を描くNHK連続テレビ小説「おむすび」。結の父米田聖人(まさと)には、北村有起哉(50)がふんしている。娘のことが心配で仕方ない生真面目な性格。奔放な自身の父永吉(松平健)とは言い争いが絶えない。元理容師で、現在は糸島で農業に励む設定だ。
北村は「朝ドラ出演」を目標に掲げ、俳優活動を続けてきた。それは、「おしん」に出演した父北村和夫さんを意識しての思いだったという。その北村が30日、NHK大阪放送局を通じてコメントを寄せた。
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−出演が決まったときの気持ちは?
北村 役者を始めた19歳の下積み時代に無謀な目標を掲げまして、そのひとつが朝ドラのヒロインの父親役を演じたいということでした。僕がヒロインの相手役というのはちょっと無理があるかなと、そこは謙虚に(笑い)。冗談はさておき、父の北村和夫が「おしん」のしゅうと役を演じていたというのも理由のひとつだったかもしれません。
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役者として父を超えてやるという若気の至りもありました。役者をやるなら、朝ドラに出演するぐらいの役者にならないと。おこがましいですけれど、目標が高くてもそこがひとつ通過点であるぐらいの役者にならないと、と思っていました。
今回、ヒロインの父役が決まって、僕としてはホッとしたという気持ちが強かったです。うちのおふくろもすごく喜んでくれましたね。
−演じる役「米田聖人」について
北村 聖人は、最近の僕が演じてきた役柄のなかでも、裏のない真面目な普通の役です。娘に対しては異常なほど心配性ですね。ドラマですから、その性格をどこかで共感してもらえるように、憎めない部分もみせないといけないと思っています。
実際の僕は、わりとのんびりと、のんきな方なので、父親はそこまで心配するもんかなと想像しながら、それを成立させるために現場でいろいろ試しています。聖人が心配性になった理由が、今後描かれますが、やりすぎかもしれないけれど、1本筋が通っていると思っていただけるのではと思います。
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聖人と永吉は非常に折り合いが悪く、相当仲が悪い親子です。健さん演じる永吉とはしょっちゅう親子げんかしていますね。監督とも相談して、けんかのシーンはなるべく派手にやった方がいいと、暴れさせてもらいました。
親子げんかというのは楽しくて、すごくすてきなことなのだなと感じました。僕の父はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました。
−阪神・淡路大震災の場面、聖人の神戸への思いは
北村 エキストラさん含め、本当にリアルに、学校内の避難所を再現していただきました。ここでなんとか歯を食いしばりながら頑張ったうちの1人ですから、この風景に溶け込めるようにしなければと思いました。
避難所に永吉が来て「糸島にいくぞ」と言った時に、聖人はまず反対しましたが、そのシーンのテストで、予想していたものとは違う感情が出てきたんです。本当に、「それだけはできない」って思いました。
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こんなに悲しくて悔しい。聖人ってこういうやつなんだ、と驚きました。永吉は聖人のそういう部分を見抜いているから、「子どもと、どっちをとるんだ」と迫るんですね。
ある意味、聖人は神戸におやじと離れたくて糸島から避難してきたようなもんですからね。右も左もわからない神戸で、とにかくがむしゃらにやっていたんだと思います。そんな時に、セリフにもありますが地元の商店街の人たちが温かく迎え入れてくれて、多分18歳の聖人を、親身になって支えてくれたのでしょう。
聖人はそういう恩を決して忘れないタイプ。ものすごく義理堅く、人並以上にそういうものを大切にするので、被災して神戸から離れることになったことを「ひどいことをした、中途半端なことをした」と、より強く感じているのだと思います。
−視聴者へのメッセージを
北村 登場人物のほとんどの人が、やさしくて温かい人たちばかり。それゆえに、人から頼まれたことを断れなかったり、巻き込まれたり、翻弄(ほんろう)されるヒロインが成長していき、父親である僕と親子げんかが起きたりと、日常によくあるような出来事が丁寧に描かれます。
そしてこのドラマは、明るいシーンの後に、大きなうねりとともに急にシリアスなシーンが起きるなど展開が読めません。そのあたりも楽しんでいただけたらと思います。
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