【写真】大人の魅力が満載な田中圭の撮りおろしショット
本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードのウェルメイド・コメディ。1941年7月にロンドンのピカデリー劇場にてウエストエンド初演され、5年間で1997回という驚異的な連続上演記録を達成し、その熱も冷めやらぬまま1945年には名匠デヴィッド・リーン監督により映画化された。今日に至るまで、ブロードウェイを始め世界各地の劇場で繰り返し上演され、再び2020年に映画化されるなど、カワードの喜劇の最高傑作と言われている。
舞台は1941年、イギリス・ケント州にある小説家チャールズ・コンドマイン(田中)の自宅の居間。チャールズは再婚した妻ルース(門脇)と暮らしている。新しく雇ったメイドのエディス(天野はな)が不慣れで準備がままならないが、チャールズは小説の取材をしようと霊媒師アーカティ夫人(高畑)を呼んで、かかりつけの医師ブラッドマン(佐藤B作)とその夫人(あめくみちこ)を招待し、降霊会を催した。
霊は現れず、アーカティ夫人はイカサマだという結果に終わったが、客が帰った後、7年前に亡くなったチャールズの先妻エルビラ(若村)が幽霊となり姿を現す。しかし、エルビラの姿はチャールズにしか見えず、ルースはチャールズが酔っていると思いこみ、一方でチャールズは先妻がいると言い張る。エルビラはチャールズとルースの間に色々とちょっかいを出し、それは徐々にエスカレートして夫婦の間に諍いが生じ、やがてとんでもない結果を招いてしまう――。
ノエル・カワードは、1899年イギリス・ロンドン郊外生まれ。上流階級・中産階級を背景にした洒脱でウィットに富んだコメディの劇作家として成功し、俳優、作詞家、作曲家、演出家、映画監督、プロデューサーとして多彩に活躍し、社交界のセレブリティとしても有名だった。喜劇を中心に40数篇の戯曲を書き、その代表作のひとつが『陽気な幽霊』だ。
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この傑作コメディに挑むのは、演出家・熊林弘高。『おそるべき親たち』で毎日芸術賞千田是也賞を受賞(作品は、文化庁芸術祭演劇部門大賞を受賞)、人間の内面を深く掘り下げる演出は名だたる名優から厚い信頼を受け、数々の話題作を演出してきた。寡作で知られる鬼才が初めてのコメディに挑戦、独自の解釈で新たな作品を生み出す。
主演の作家チャールズ役は、数々の映像作品や舞台で主演を務め、シリアスな役から軽妙な役まで硬軟自在に演じ、さらにバラエティ番組やCM出演など幅広く第一線で活躍を続けている田中圭。熊林演出の舞台に参加するのは、『Tribes トライブス』(2014)『夜への長い旅路』(2015)『かもめ』(2016)に続き4作目となる。
田中は「約9年ぶりに熊林さんの演出でご一緒させていただきます! 最初に脚本を読んだ時に熊林さんらしくない戯曲だなとワクワクしました。会話劇は軽妙で、どのような表現になるのだろう、というト書きもたくさんあり、ご一緒するキャストの皆様も楽しみです。このキャストに熊林さんがどう味付けしていくのか、染めていくのか楽しみでなりません。きっと僕が今想像しているもの以上のものになるのだろうな。とワクワクしています。熊林さんとは久々なので、成長している姿を見せられたらいいなと。楽しんで臨ませていただきます。舞台『陽気な幽霊』ぜひ楽しみにしていてください!」とコメントを寄せた。
共演には、チャールズの元妻であり幽霊となって姿を現すエルビラ役の若村麻由美。ドラマや映画、舞台など多方面で活躍し、エランドール新人賞をはじめ、日本アカデミー賞優秀助演女優賞や、舞台『ザ・空気』『子午線の祀り』『Le Père 父』では読売演劇大賞優秀女優賞を受賞している。
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また、ドラマ・映画で活躍しながらバラエティでも軽妙なトークで知られる高畑淳子が、霊媒師アーカティ夫人を演じる。舞台出身で、読売演劇大賞最優秀女優賞など数々の賞を受賞し、2014年には紫綬褒章も受章している高畑が、舞台ではアンジェラ・ランズベリー、映画ではジュディ・デンチが演じた有名な役どころに満を持して臨む。
さらに、かかりつけの医師ブラッドマン博士役で佐藤B作、ブラッドマン夫人役で(実際の妻である)あめくみちこ、メイドのエディス役で天野はなが出演。多彩なキャストがそろった。
舞台『陽気な幽霊』は、東京・シアタークリエにて2025年5月、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて6月、福岡・福岡市民ホール 中ホールにて6月上演。