季節のバロメーター「立山の初冠雪」大幅に遅れる 冬の降雪量との関係は

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2024年10月31日 14:54  日本気象協会

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日本気象協会

季節のバロメーター「立山の初冠雪」大幅に遅れる 冬の降雪量との関係は

立山の初冠雪の平年日は10月12日。2023年は同月8日、2022年は同月6日に観測されていますので、本年は大幅に遅れて11月にずれ込むことが確実となっています。「初冠雪が遅いと冬の到来も遅くなるのか?」「初冠雪が遅いとその後の冬のシーズンの降雪量にも影響するのか?」などについて見ていきたいと思います。



●初冠雪とは 山頂で初めて雪が降った日と同一日になるとは限らない


以前の北陸地方では、新潟県の妙高山や金北山、石川県の高州山、福井県の野坂岳等も観測対象となっていましたが、現在は、富山県の「立山」と石川県の「白山」のみとなり、それぞれ富山地方気象台と金沢地方気象台が観測をしています。

初冠雪とは、「山麓の気象官署から見て、山頂付近が初めて積雪などで白く見える状態のこと」をいいます。

このため、初冠雪の日と山頂付近の初雪の日は、必ずしも同じ日にはなりません。今秋の立山山頂付近では、10月28日に既に今年初の雪が降ったようですが、2024年の初冠雪の発表がまだないのはこのためです。

麓で観測されるまでに、山頂付近で「降水があること」「降水が降雪となる寒気が流れ込むこと」「降雪が積雪となること」「山頂で積雪が解ける前に天気が回復して麓の気象台から観測出来ること」などいくつかのハードルがクリアされて初めて初冠雪の日となるのです。


●初冠雪は年々遅れる傾向か


グラフの●印は、データのある1939年から2023年までの約80年分の初冠雪の日をプロットしたもの、青い直線はこれらの変化傾向を示したものです。(赤の点線は現在の平年日の10月12日)

その中で赤い●印が2個あり、グラフの上部中央付近にあるのが、過去最も遅い観測となった1977年の11月9日。下部の中央付近にあるのが、過去最も早い観測となった1981年の9月14日です。

初冠雪の日は、1966年以降9月中旬の観測は無く、2009年以降は9月下旬の観測もありません。長期的な傾向は分かりませんが、約80年分のデータを見る限り、初冠雪は徐々に遅くなっているようです。


●初冠雪の時期とその後の冬の降雪量の多寡に相関はない


立山の初冠雪の平年日は10月12日で、過去最も早い9月14日と最も遅い11月9日からそれぞれ数えてちょうど28日目の中間に位置します。また、富山の冬の期間(12〜翌2月)の平年降雪量は235cmです。

これを確認した上で、平年日の10月12日を中心とした10日〜14日の計5日間に初冠雪となった年度の冬の期間の降雪量の平均を計算すると261.6cmとなり、これは平年並みとなっていました。

同様にして、平年日より早いグループと遅いグループの計5日間に初冠雪となった年度の冬の期間の降雪量の平均を計算すると、それぞれ293.6cm、345.9cmとなり、こちらはともに平年より多くなっていました。

初冠雪の日が平年日からずれ込む年は、何かが起こっていて冬の降雪量が多くなるのではとも考えられますが、初冠雪が10月22日と平年より遅かった2019年は、冬の降雪量が34cmと過去最も少なかったり、反対に初冠雪が9月30日と平年より早かった1971年も、冬の降雪量が83cmと過去4番目に少なくなる事例も確認されました。

晩秋の1日の出来事が、冬の期間を通して降雪量の多寡に影響を与えることは無く、初冠雪の時期とその後の冬の降雪量に相関はなさそうです。


●※紅葉情報 北陸を含む東日本で平年より遅い 紅葉と初雪のコラボも


日本気象協会では、今日10月31日、第3回目の「紅葉見頃予想」を発表しました。

北陸地方の平均気温は、9月に引き続き10月も平年よりかなり高くなりました。(10月は30日迄)

この先、11月にかけても気温は高く推移する見込みで、多くの地点で紅葉の色づきはゆっくり進みそうです。それでも、次の三連休の11月3日(日)からの週は北日本方面を中心に気温が平年並みか低くなる日があり、北陸地方でも、新潟県と群馬県境付近の三国峠など標高1000m以上の峠道では降水があれば雪の降る所もある見込みです。

最低気温が1桁台となる日が徐々に多くなり、平野部でも紅葉の色づきが進みやすい条件の日が次第に多くなるでしょう。石川県の特別名勝兼六園では11月下旬〜12月上旬には見頃となる見込みです。身近な街路樹でも次第に色付きが進み、初冬にかけて紅葉シーズンはフィナーレを迎えていくでしょう。



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