推し活うちわは「誘目性・視認性」がポイント! うちわにおすすめの配色とは?【色のプロが解説】

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2024年10月31日 20:21  All About

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色には距離感があり、近くにあるように見える色を「進出色」、遠くにあるように見える色を「後退色」と呼びます。推し活のうちわ作りには「色の進出・後退感」「誘目性」「視認性」が重要。今回は、おすすめの配色を解説します!
下の図をご覧ください。色によって近くに見えたり、遠くに見えたりしませんか? 近くにあるように見えたり、飛び出して見える色を「進出色」、遠くにあるように見えたり、引っこんで見える色を「後退色」と呼びます。
進出色と後退色の例

自然界でも色による距離感の違いを見ることができます。例えば、昼の青空は高く、夜空ははるかかなたなのに、赤やオレンジに染まった夕焼けの空は近くに迫ってくるように感じられます。これは、寒色系の後退色が遠くに感じられるのに対して、暖色系の進出色は手前にあるように見えるために起こる現象です。

進出色と後退色:色によって距離感が異なる

色の進出・後退感(色の距離感)は色彩心理の一つ。進出色・後退色は、主に色相と明度が関係しています。

◾️進出色
オレンジや赤などの暖色系の色
白やパステルカラーなどの明るい色

◾️後退色
青や青紫などの寒色系の色
黒や茶色などの暗い色

色彩心理学とは?

「色彩心理学」とは、色に対する人間の行動や反応を研究する学問のこと。色にはさまざまな特徴や性質があります。人間は視覚を通して得た色情報を大脳の中で展開・処理しており、その色情報によってさまざまな感情が生じると考えられているのです。

進出・後退感は、寒暖感(寒色・暖色)、膨張・収縮感、軽重感、柔硬感などと同じように、人種・性別・年齢を問わず、誰もが共通に感じる「知覚感情」に分類されます。

一方、「情緒感情」は各個人の人生の中での体験、記憶、知識などによって、感じ方に大きな差異が出てくる感情。色の好き嫌いは情緒感情に分類されます。

世界中の信号機が「赤は止まれ」「青は進め」となっているのは、進出・後退感が誰もが共通に感じる「知覚感情」であることを活用した典型的な例と言えるでしょう。

誘目性・視認性とは?

次は背景の色を変えてみましょう。背景を黒にすると、進出色はより前に浮き出て見えるのに対して、後退色は背景と同化して見えにくくなります。
背景を黒にすると、進出色はより一層飛び出して見える

誘目性とは、「人の注意を引きつける度合い」のこと。一般的に進出色(暖色系・明るい色)は誘目性が高く、後退色(寒色系・暗い色)は誘目性が低いとされています。

一方、視認性とは、目で見たときに認識や確認がしやすい様子のこと。明るい色と暗い色を組み合わせたときは、明度差が大きい配色ほど見やすく、小さいほど見にくくなります。このように、視認性は明度差に大きく影響されます。

例えば、セールの広告には、誘目性・視認性の高い配色が用いられます。鮮やかな赤や黄色を多用した誘目性の高い配色は人目を引きますが、いかにも「激安」といった風情になりがち。

高級品を販売するデパートやセレクトショップなどでは、赤や黄色の彩度を抑えたり、黒や青を使った視認性の高い配色にしたりと、高級感を損なわないようにする傾向があります。

推し活のうちわ作りに最適な配色は?

誘目性・視認性に優れた配色は、推し活のうちわ作りにも役立ちます。ここでは、うちわの土台と文字の配色例を見ていきましょう。
推し活うちわの配色例

◾️上段
黒×赤、黒×オレンジ、黒×ピンクの組み合わせは、暖色系の鮮やかな文字色がくっきりと浮かび上がります。

◾️中段
蛍光グリーン×黄色、蛍光イエロー×白、蛍光ピンク×紫は、それぞれよく似た色同士の組み合わせ。そのため、うちわの土台は目立ちますが、文字はそれほど目立ちません。

◾️下段
白×蛍光ブルー、白×蛍光グリーンはそれぞれ明るい色同士の組み合わせなので、文字はそれほど目立ちません。白×黒の組み合わせは文字はくっきり見えますが、インパクトに欠けます。

文字に縁取りをつけるとにぎやかに見える

次に文字に縁取りをつけてみましょう。うちわの土台・文字・縁取りの3色配色になるので、にぎやかな印象になります。
推し活うちわの文字に縁取りをつけた配色例

◾️上段
黒×黄色:明度差が大きい、黄色×赤:色相差90度
黒×白:明度差が大きい、白×オレンジ:明度差・彩度差あり
黒×黄色:明度差が大きい、黄色×ピンク:色相差120度

◾️中段
グリーン×ピンク:色相差150度、ピンク×黄色:色相差120度
黄色×青:色相差180度、青×白:明度差・彩度差あり
ピンク×白:明度差・彩度差あり、白×紫:明度差・彩度差あり

◾️下段
白×青:明度差・彩度差あり、青×蛍光ブルー:明度差あり
白×ピンク:明度差・彩度差あり、ピンク×黒:明度差・彩度差あり
白×紫:明度差・彩度差あり、紫×グリーン:色相差180度

うちわ作りの配色には、4つのポイントがある

隣り合う色の組み合わせ方には、次の4つのポイントがあります。
色相差を90度以上にすると、視認性を高めることができる

・明度差を大きくする
・色相差を90度以上にする ※1つ隣の色は30度の色相差がある
・明るい色と黒を組み合わせて、明度差・彩度差をつける
・暗い色と白を組み合わせて、明度差・彩度差をつける

うちわを作る機会があれば、色の距離感や誘目性、視認性を意識してみてくださいね!

松本 英恵プロフィール

カラーコンサルタント歴20年。パーソナルカラー、カラーマーケティング、色彩心理、カラーセラピー、ラッキーカラー(色占い)などの知見を活用し、カラー監修を行う。執筆、メディア出演、講演、企業研修の講師など幅広く活動。近著に『人を動かす「色」の科学』。
(文:松本 英恵(カラーコーディネートガイド))

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