Jリーグ残り4試合のクライマックスを福田正博が解説 優勝&残留争い、中位の試合も面白い

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2024年11月01日 07:31  webスポルティーバ

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福田正博 フットボール原論

■J1は残り4試合(チームによって残り3〜5試合)。優勝争い、残留争いともに絞られてきたが、まだまだわからない状況だ。見逃せないシーズンクライマックスのポイントを福田正博氏が解説する。

【優勝争いは広島と神戸のマッチレースか】

 J1の優勝争いは首位サンフレッチェ広島と2位ヴィッセル神戸のマッチレースになってきた。勝ち点差はわずか1差しかなく、最後の最後まで目の離せない展開になりそうだ。

 広島の残り4試合の対戦相手は京都サンガF.C.、浦和レッズ、北海道コンサドーレ札幌、ガンバ大阪。追う神戸はジュビロ磐田、東京ヴェルディ、柏レイソル、湘南ベルマーレと対戦する。両チームともリーグの合間に、広島はACL2があり、神戸は天皇杯決勝とACLエリートがある。

 3位のFC町田ゼルビアは勝ち点で広島と5ポイント差がある。サガン鳥栖、FC東京、京都、鹿島アントラーズとの残り4試合に全勝したとして、広島が2勝1分1敗で勝ち点が並ぶ計算だ。しかし、得失点差は現在、広島の+31に対し、町田は+19。逆転優勝には相当厳しい状況にある。

 ただ、今シーズンのJ1を盛り上げたのは間違いなく町田だ。J2から昇格し、初めて戦うJ1の舞台で、終盤戦まで優勝争いを演じている。攻撃の中心だった平河悠(ブリストル・シティ)が海外移籍したり、故障者が出るなどで夏場からは失速が見られたが、実に見事な戦いぶりだ。

 それだけに来季に向けて、3位は死守してもらいたいと思う。4位G大阪とは勝ち点3差、5位鹿島と6位東京Vとは勝ち点6差。シーズン最終戦までチャレンジャーとしての戦いに徹してもらいたい。

【夏場の移籍・補強がポイントだった】

 振り返れば、今シーズンのJ1優勝争いは、夏場の移籍市場が明暗を分けたと言ってもいいだろう。広島は前半戦で2桁得点をマークしていた大橋祐紀がブラックバーンに移籍し、攻守の要だった川村拓夢がザルツブルクに移籍したが、3年ぶりに広島に復帰した川辺駿が川村の穴を埋め、新たに獲得したトルガイ・アルスラン、ゴンサロ・パシエンシアの外国人選手もハマったことで、大橋が抜けて懸念された得点力低下を解消した。

 町田も戦力補強に動いたが、得点力のところで思い描いたようにはならなかった。優勝争いをするチームは、夏場に若い主力選手が海外クラブに引き抜かれる可能性も高い。前半戦はそうした選手がいることで優勝争いに加わるのだが、その選手が抜けたあとのシーズン途中の補強が課題になって優勝を逃してしまう。

 これは町田に限らず、上田綺世(フェイノールト)が引き抜かれたシーズンの鹿島などもそうだった。夏場の移籍という課題を見越したチームづくりも、今や優勝を手繰り寄せる要素になっているだろう。

 その点で言えば、神戸はシーズン通じてメンバーの顔ぶれが大きく変わらない強みを生かして、優勝争いに最後まで残っている。大迫勇也や武藤嘉紀らの経験豊富な元日本代表選手たちを基軸にしたチームは、シーズンを通じて成熟した戦いぶりを見せてきた。

 大迫が抜けると攻撃力や得点力がガタ落ちになる弱点はあるが、今季はその大黒柱が安定して試合に出続けてポイントを上積みしてきた。ボールを奪ったら素早く展開して相手ゴールに迫る、神戸ならではの理詰めのサッカーは、ここからの終盤戦でも陰ることはないだろう。

 2連覇を狙う神戸が追う立場にいるのは、広島にとってはプレッシャーになるかもしれない。ただ、優勝するためには重圧があって当たり前で、広島の戦いぶりも重圧を受けてもブレる要素は小さい。それだけに最後の最後に優勝シャーレを掲げるのが、どちらになるのかはまったく見当がつかない。最後のホイッスルが鳴る瞬間まで優勝争いを楽しみたいと思う。

【J1残留の行方は?】

 一方J1残留争いのほうは、大勢が決まりかけている。

 20位の鳥栖は現在勝ち点26で降格が決定。過去数シーズンにわたって育てた選手を引き抜かれ、そのたびに降格候補に挙げられながらも生き延びてきたが、さすがに今季は苦しかった。

 19位の札幌は現在勝ち点32で、残り4試合を全勝すれば勝ち点44まで行く。だが、このあとセレッソ大阪、湘南、広島、柏という相手に対して全勝できるチーム力があるならば、シーズン最終盤でこの位置にはいないものだ。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもとで2018年シーズンから攻撃的なサッカーで魅了してきたが、今季は非常に厳しくなってきた。

 3つ目の降格枠18位には現在磐田(勝ち点35)がいるが、17位の柏(勝ち点39)との勝ち点差は4。磐田は消化試合が少なく、残り5試合あるがどうなるか。このあと神戸、G大阪、横浜F・マリノス、FC東京、鳥栖と対戦する。

 残留ボーダーラインの目安と言われる勝ち点40まではあと5ポイントだが、20チームリーグになった今季は試合数が増え、ライバルチームたちが勝ち点40からさらに伸ばす可能性がある。昇格1年目の町田が優勝争いに加わり、同じく今季昇格し、シーズン開幕前は降格候補にも挙げられた東京ヴェルディは現在6位。それだけに磐田も残り5試合で、残留争いするライバルを上回る勝ち点を奪いたいところだ。

 FWジャーメイン良をはじめ、期待されながらくすぶっていた選手たちがそのポテンシャルをようやく発揮できたシーズンだけに、最後までその感覚を突き詰めていってもらいたい。そして今季つかんだ感覚を、来季さらに進化させてくれることを願っている。

 柏は戦力的に見れば、細谷真大やマテウス・サヴィオなどがいて、残留争いに巻き込まれるような顔ぶれではなかった。ただ、9月にあった磐田との直接対決で0−2と敗戦して3連敗と窮地に陥った。そこから1勝3分1敗と持ち直して勝ち点を39まで積み上げてきたがどうなるか。残り4試合は、アビスパ福岡、アルビレックス新潟、神戸、札幌となる。

【中位の試合も面白い】

 シーズン終盤戦は、優勝争いと残留争い以外はどうしても注目されなくなるが、面白い試合が多いのは実は中位の対戦だ。各チームとも自チームの来季につながる戦いにしようと、スタイルやフォーメーションなどで理想形を追求する傾向にあるからだ。監督交代になるチームは、監督の花道を飾ろうとするし、選手たちは来季の契約のこともあるのでアピールをしなければならない。

 それぞれのチームにあるドラマがクライマックスを迎えるだけに、各チームの終盤戦に注目してもらいたい。

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