高齢者虐待、幼少期の体験影響=暴力やネグレクトでリスク7倍―東京大など

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2024年11月01日 14:01  時事通信社

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団地のロビーを歩く高齢者(EPA時事)(写真はイメージ)
 家庭内暴力やネグレクト(育児放棄)といった「逆境的小児期体験(ACE)」を持つ人は、65歳以上の高齢者に対して暴言や暴力を振るうリスクが高いとする研究結果を、東京大などの研究グループが1日までに発表した。逆境体験がない人と比べると、高齢者への加害リスクは最大7.65倍に上った。

 東大先端科学技術研究センターの古賀千絵特任助教らは、新型コロナウイルス禍による暮らしや健康などの影響を尋ねたインターネット調査について、2022年9〜10月の回答データを分析。18歳未満で心的外傷を引き起こす可能性のある逆境体験をした20〜64歳の男女約1万3300人に関し、高齢者虐待との関連を調べた。

 その結果、家族を含む高齢者に対して、過去に虐待した経験があると答えた人は8.5%。逆境体験が全くない人と比較すると、親の離婚や虐待などを一つ経験した人は加害リスクが3.22倍、二つ以上では7.65倍だった。うつ病、適応障害や摂食障害などの精神疾患、メンタルヘルスといった心理的な要因が関連しているという。

 幼少期に負った心の傷は、自分の子どもに対する暴力として表れることもあるが、今回の研究では高齢者虐待への影響も明らかになった。古賀特任助教は「暴力の世代間連鎖は、あらゆる弱者に及ぶ可能性がある。暴力に至ってしまう社会・環境要因を特定し、適切な支援を受けられる社会システムを整備することが重要だ」と話している。 

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