ポケットが「8つ」も付いたジャケットが即日完売 「さっと取り出せる」にとことんこだわったワケ

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2024年11月02日 03:41  ITmedia ビジネスオンライン

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ニッセンの「毎日を生きる、私たちのためのジャケット」が話題(同社提供、以下同)

 「旅行にも使えそう」「飛行機の緊急脱出時にもいいのでは?」――ポケットがたくさん付いた女性用のジャケットが売れている。通販大手ニッセンが手掛ける、「毎日を生きる、私たちのためのジャケット」(1万6500円)だ。


【画像】ポケットが「8つ」あるジャケット(全6枚)


 10月4日午前9時から販売したところ、初回販売分が当日の午後7時頃に完売した。10月11日に予約販売を再開したものの、年内納期分の予約販売数量を超え、2025年1月納品予定分を追加。同社の予想を上回る売れ行きとなっている。


 最大の特徴は、ジャケット外側に3つ、内側に5つとポケットが8つ付いていること。もともとは、推し活をする人をターゲットに開発されたのだという。開発担当者の水谷莉奈氏(ニッセン ライフスタイル本部)に話を聞いた。


●自身の推し活体験から着想


 アニメや声優が好きで、チケット代やグッズなどに年間10万円以上のお金をかける「隠れオタク」だという水谷氏。自身の推し活を振り返り、今よりもっと自然体で過ごせるような推し活商品を作りたいと思ったのが開発のきっかけだという。オタク(推し活)市場が大きなマーケットであること、ニッセンが行ったアンケート調査から推しがいる人や推し活をしている人の割合が多かったことも、商品化を進める追い風となった。


 全部で8つポケットのうち、特にこだわったのが、内側の右下に位置する深めのポケットだ。このポケットには、最大17センチのアクリルスタンド(アクスタ)が収納できる。アクスタとは、好きなキャラクターなどをアクリル板にプリントしたグッズのこと。土台に差すと自立し、推し活の定番アイテムとなっている。「推し活中、好きなキャラクターのアクスタとカフェやライブ会場で写真をよく撮ります。ですが、アクスタは持ち運びがしづらいと感じていたため、さっとアクスタを取り出せるポケットを作りました」(水谷氏)


 アクスタは摩擦に弱いため、内側のメッシュ素材に柔らかく厚みのあるものを採用した。ポケットの中にさらにポケットを作り、アクスタの土台を収納できるようにしている。さっとアクスタを取り出せるよう、ポケットの幅のサイズも調整したという。


●「ビジネスでも使えそう」の声


 約1年半をかけて開発したジャケットを公式Xで紹介したところ、1万6000件以上の「いいね」(10月31日時点)を獲得するなど反響を呼んだ。水谷氏によると、ポケットが多いことへのコメントが一番多かった他、「飛行機の緊急脱出時にもいいのではないか」「ビジネスシーンでも着れそう」という声も聞かれたという。


 水谷氏によるとビジネスシーンでの着用も想定しており、開発時には名刺入れやスマートフォン、メモ帳、ペンなどを収納できるか確認したという。「弊社では他にもポケットが多い商品を展開していますが、カジュアルなアイテムが大半です。そのため、今回のようなオフィス仕様の商品に注目が集まったのだと思います」(水谷氏)


 ニッセンはこれまでも「多ポケットマウンテンパーカーコート(ハンズフリー)」などポケットが多い商品を開発してきた。冬物アウターの商品企画を検討していた時、「スマートフォンによる電子決済の利用が増えた」「外出時に荷物を持ち歩かない人が多い」といったことを当時の担当者が感じたという。そこで、もっと身軽に外出することができないかと思い、商品化に至ったそうだ。


 もともとニッセンでは、メンズ商品で「カバン要らず」というポケットが多い商品をシリーズ展開しており、開発ノウハウは社内にあった。「しかし、レディースファッションで展開するためには、着用している姿がイマイチでは『着てみよう』と思っていただけません」(水谷氏)。そのため、開発時には、「ポケットに物を入れないで着用しても、おしゃれに見える」ことを意識しているそうだ。


 今回話題となったジャケットは、ネイビー1色のみの展開だった。消費者からはサイズや色展開についての要望が多数寄せられているといい、開発を進めているという。並行して、ジャケットにとどまらずセットアップでの展開といった要望もあったそうで、パンツやスカートなど他アイテムとの展開も検討中だ。



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