日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」をベースにした山田風太郎氏の小説『八犬伝 上・下』(角川文庫)を、役所広司主演で映画化した『八犬伝』より、原作でも有名な「芳流閣」での戦いのシーンのVFXメイキング映像と、“死闘”を繰り広げた渡邊圭祐、水上恒司がその裏側を語る、特別映像が解禁となった。
【動画】『八犬伝』芳流閣シーンのVFXメイキング映像 滝沢馬琴こん身の作品である「八犬伝」は人気を博し、異例の長期連載へと突入していくが、クライマックスに差しかかった時、馬琴は失明してしまう。それでもなお書き続けた馬琴の創作への執念と壮絶な半生を描いた【実】パート。そして、馬琴が創作した「八犬伝」の物語をどこまでが実景でどこからがVFXなのかわからない、リアルとファンタジーが絶妙に融合した映像で表現した【虚】パートが交錯する前代未聞のエンターテインメント。
監督は『ピンポン』や『鋼の錬金術師』シリーズの曽利文彦。VFXスーパーバイザーとして、1989年にマットアーティストとしてジョージ・ルーカスが設立したILMに入社し、2017年まで『スター・ウォーズ』シリーズ、『ジュラシック・パーク』『アバター』など数多くのハリウッド超大作に携わった上杉裕世氏が参加している。
馬琴が書いた「南総里見八犬伝」で、八つの珠に引き寄せられ出会いを果たす八犬士たち。冒険のさなか、後に彼らのリーダーとなる犬塚信乃(渡邊)は、信乃を捕えようとする十手使いの豪快な男・犬飼現八(水上)と対峙し、芳流閣の瓦屋根の上で壮絶な戦いを展開することになる。
このシーンは、渡邉と水上以外は全てVFXで制作され、2人のアクションシーンの撮影は、富士山が見えるロケーションに十畳程のグリーンバックと屋根に見立てた30度の傾斜のセットで行われた。CGは屋根の瓦の形状の細部までこだわっており、平場で撮影したアクション映像の合成を考えると平瓦にしたほうがいいのではと曽利監督は考えたそうだが、最終的に丸瓦にする難題にチャレンジし、より迫力のあるシーンを作り上げている。
解禁となった特別映像では、『八犬伝』の世界を忠実に再現するために最新VFX技術と実景の撮影を巧みに融合させる過程が映し出されており、さらに実際に撮影に挑んだ渡邊と水上の2人の撮影秘話も聞くことができる。
芳流閣のシーンは「原作ファンの方からも再現してくれてよかったと一番言われることが多い気がします」と語る渡邊。グリーンバックや高所での撮影も多く、「物理的に過酷な状況でのアクションシーンの撮影で、そういう意味での大変さも心に残った」と振り返る。
水上は、主演の役所にも「やっぱりVFXはいいな、【虚】のほうはいいな、カッコいいな」と絶賛されたことを明かし、現八として劇中で初めて台詞を言うシーンでもあったことから、撮影現場の環境は気にならないほど集中していたという。
苦労の末完成したシーンを観た渡邊は、「当時撮影していた情景と画が一致しない。観客の皆さんと同じリアクションで観ていました」、水上も「どれだけの時間と工程を踏んでこれを僕らが今目の当たりにできているのか、わからないぐらい」と驚嘆の声を上げている。
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