名作SFアニメとして有名な『銀河鉄道999』。1978年から1981年にかけて放映された同作は、主人公の少年「星野鉄郎」が機械の身体をタダでもらえる星へ行くために、謎の美女「メーテル」と地球から旅立つ物語です。
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宇宙を走る銀河鉄道には、実は鉄郎とメーテルが乗車する「999号」以外にも「111号」から「888号」までの8つの列車が存在しているのです。あまり多くの人に知られていない銀河鉄道の各車両について、『銀河鉄道999』ファンサイト「車掌さんの銀河鉄道株式会社」を27年間運営している管理人の「車掌さん」に話を聞きました。
──銀河鉄道のすべての列車は、TVアニメのCMアイキャッチに描かれていたそうですね。
CMアイキャッチは、銀河鉄道111号から999号の各列車、999号内部と車掌さんが描かれており、計10種類ありました。CM後半のアイキャッチは各列車の汽笛も鳴っていたんですよ。
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──素敵な演出ですね。それぞれの車両には特徴などがあるのでしょうか。
111号は、地球からニケ、エメラルダス分岐点へ向かう列車です。完全コンピューター化されていないので、運転士が搭乗していることが特徴ですね。トレーダー分岐点で999号と斜めに交差した1回のみの登場でした。
222号は観光に人気で、完全にコンピューター制御されています。時速400宇宙キロで大オリオン線を走行し、ローカル線の惑星間鉄道として999号とすれ違ったりしました。
333号は、TVシリーズで最初に登場する銀河急行です。鉄郎が重力の底で999号以外の列車で初めて乗る列車でした。
444号は内銀河を循環している銀河鉄道で、利用者が多いと思われるエリアを走行しています。完全にコンピューター化されているため、乗務員は車掌1名のみです。999号の走行に力が必要な時、先頭に444号2両が連結して三重連運転するために2回登場しました。
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555号は、時速1000宇宙キロで走行する特急列車です。「けんか別れの星」に到着する前に、遠くで555号が走っているシーンや、「救急医療小惑星オーバーホール」に急患対応で臨時停車していた際、郵便車が強盗に襲われたシーンで登場します。
666号は、運転システムは完全自動化されているので運転士は搭乗していません。トレーダー分岐点や「ざんげの国」に到着する前に999号とすれ違い、「化石の星」では脱線した999号の脱出を補助する機関車として登場します。
777号は開発中の路線を走行しているため、終点が決まっていません。運転システムは完全コンピューター化されており、戦闘のために超彗星ミサイル20機を搭載しています。999号とは何度もすれ違いで登場しますが、最終回のメーテルと鉄郎が別れるシーンで登場するのがこの777号。「惑星こうもり」から鉄郎が乗車した999号とメーテルが乗車した777号が併走して分かれていくシーンは忘れられない一コマです。
888号は、クラシックな外観でローカル線も走行します。運転システムは完全コンピューター化されており、トレーダー分岐点と「野の花星」間を走る888号に鉄郎とメーテルが乗車しました。
──では、最後に999号の特徴もお願いします。
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999号は、銀河鉄道の列車のなかで最高の性能を持つ「スリーナイン号」です。時速3000宇宙キロで走行可能な最速の超特急列車で、2番目に速い555号の3倍の速さです。エイリアン・ザンテ・カウンター99年型というコンピューターで制御されています。この列車を動かしている機関車さんは、規則に則り乗客の安全を第一として、自らの判断でトラブルに対処できるように設計され、時々車掌さんとケンカしたりすることもあります。
TVシリーズの999号のモデルとなったC62蒸気機関車は、「C6249」までしかなく、999号に付けられた番号「C6250」は未来のC62蒸気機関車を表した架空の番号だそうです。また999号が銀河鉄道の列車で最速という設定には諸説あると思いますが、私の推測では昭和29年12月に東海道本線スピードアップ計画の調査のため、C62が129km/hの狭軌軌道による蒸気機関車の最速記録を持っていることがヒントになっていると思っています。
『銀河鉄道999』には、9つの銀河鉄道の列車が登場していました。TVアニメの背景や、999号とすれ違うときにメーテルが行き先や列車の特徴を鉄郎に説明するシーンにも注目して、もう一度振り返るのも良いのではないでしょうか。
◆車掌さん(ハンドルネーム) 『銀河鉄道999』ファンサイト「車掌さんの銀河鉄道株式会社」管理人。2010年8月に放送されたNHK-BS2「全駅停車!銀河鉄道999すべてみせます」特別番組の1コーナー「銀河鉄道株式会社 徹底分析」への出演では、鉄道職員だった頃の知識を活かして銀河鉄道について解説を担当。
(海川 まこと/漫画収集家)