連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第75回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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私が配達をする東京では10月後半になっても最高気温が25度を超える日があるなど、今年は昼間の暑さに苦労しましたが、気づけばもう11月。朝晩は寒いなと感じる日もあり、ファミレスや牛丼チェーンには「あったか鍋膳」といったのぼりが出るようになりました。
冬は温かいものが食べたくなる季節。温かい食べ物といえば汁物。そして汁物といえば、配達中に中身をこぼしてしまうリスクの高い商品です。
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そこで今回は寒くなってきたこの季節に注文が増える汁物の中から、配達員である私ができれば運びたくない、リュックの中身を常に気にしながら配達する商品をランキング形式で紹介したいと思います。
第3位は牛丼チェーンの豚汁。
全国に店舗を展開する三大牛丼チェーンのすき家、松屋、吉野家。ボリュームがあって体も温まる豚汁は牛丼との相性が抜群。そんなわけで、冬になるとこれらのチェーンから豚汁の注文がものすごく増えます。
ですが、牛丼チェーンで配達員に渡される袋に詰められた商品は縦長に汁物が上になるように積まれています。文字だとわかりづらいので、アスキーアートで表現するとこんな感じです。
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豚汁
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牛丼
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ふたり分を注文される方の場合、こんな感じになることも。
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玉子
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玉子
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豚汁
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豚汁
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牛丼
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牛丼
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歩いて持ち帰る場合は縦長に積まれていたほうが運びやすいのですが、このままの状態でリュックに入れると豚汁は確実にクラッシュ。リュックの中が汁まみれになります。そのため、注文内に豚汁がある場合は一度袋から商品を取り出し、こぼれないようにリュックに配置。配達先に到着したら袋の中に入れ直しています。
すき家では牛丼とサラダのセットなどを注文した場合、厚紙でできた転倒防止用のトレーのようなものに商品を差し込んだ形で渡されることがあるのですが、この厚紙も歩いて持って帰る場合に適した厚さというかなんというか、ぶっちゃけますとペラペラなので配達中の揺れに耐えられません(あの安さで牛丼などを提供するので、薄いのは仕方のないことだと思います)。
なので、トレーに豚汁が差し込まれていた場合も豚汁だけ取り出して、自分で用意した汁物用をこぼさないようにするためのケースの中に入れて運び、配達先に着いたら入れ直しています。
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第2位は専門店のこだわりスープカレー。
適度な熱さと辛さで体の芯から温まるスープカレー。私の配達するエリアには人気店が多いのか、寒くなるとスープカレーを運ぶ機会がものすごく増えます。
スープカレーの醍醐味は大きな具材。半分にカットしたジャガイモ、ナス、4分の1にカットされたニンジン、唐揚げよりも大きくカットされた鶏モモ肉などがゴロゴロ入っています。
そんな商品を配達員用の大きなリュックに入れ、背負って自転車を漕ぐと、カーブに差し掛かったり、段差に乗り上げると、大きな具がゴロンと動く感覚が背中に伝わってきます。スープカレーの専門店の方が梱包しているので、ウーバーの配達程度で中身がこぼれることはないと頭の中で理解はしていますが、ゴロンとくる感覚が背中に伝わると、今でもドキドキしてしまいます。
そして第1位は二郎インスパイア系のラーメン。
私が主に配達するエリアにはウーバーイーツをやっているラーメン二郎はありませんが、二郎インスパイア系のラーメン店でウーバーイーツによる配達を行なっている店は結構あります。
丼から溢れるほどの麺とスープ、その上に山盛りに盛られたモヤシ、さらにその上からかけられた味付き背脂。そんなラーメンを提供する店の商品は、袋に入った状態で渡された時点で袋の外側に脂がついてしまっていることがほとんど。そのため、リュックに入れる前にティッシュで袋を拭いています。
お店の方がしっかり梱包してくれるので、こぼしてしまったことは一度もありません。なのになぜこれが1位なのか。それはプライベートで一度こぼしてしまったから。
現在やっているかどうかはわかりませんが、コロナで外出が制限されていた時期、二郎でテイクアウトのサービスを行なう店がありました。鍋や器を店に持って行くと、鍋にスープ、器に麺や野菜を入れてくれるというもので、鍋を運ぶのにちょうどよかったのでウーバーイーツのリュックを使いました。しかし家に帰ると、何度か上下に揺れた影響で、鍋のフタにある穴から汁がこぼれていました。
すぐに汁を拭き取って、ラーメンを食べた翌朝、配達をしようとリュックを開けるとツンとくるニンニクの匂い。そしてリュックの底はギトギトに固まった脂。結局その日はリュックの掃除をしなければならず配達はお休み。匂いが取れるまで丸5日、配達を休みました。
テイクアウト時のスープの量が多かったのが一番の原因であり、店の方がしっかり梱包されていることは重々承知していますが、今でも二郎インスパイア系のラーメンを運ぶときはリュックを掃除した日々のことが頭をよぎってしまいます。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明