「登場人物は個性豊かな人ばかりですが、本当にいそうだなという世界観が広がるなかで、鷹野だけは、ありえないくらいの無能ぶり(笑)。触れ込みどおり、膝カックンしてしまうような作品になっていると思います」
超脱力系お仕事コメディとして注目の深夜ドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)で、主人公の鷹野と同期の新入社員・鶸田道人を好演中の塩野瑛久(29)。有能そうな見た目なのに、コピーもできない、パソコンも起動できない、と全く仕事ができない鷹野を演じる菜々緒について「説得力がある」と称賛する。
「菜々緒さんの“デキる人”オーラは本当にすごくて、一緒にロケをしていても、彼女が歩くだけでみんなが見とれているんですよ。ドラマのワンシーンみたいなことが実際に起きているのを目の当たりにして、リアルだなあ、と(笑)」
いっぽう、本当は仕事ができるのに、気弱そうな雰囲気から無能に見える鶸田。演じるうえで意識していることは、「引き算の演技」だ。
「姿勢や声の大きさなどでひ弱な部分を強調しています。でも、僕自身は、弱々しく作るというよりも平坦な演技を意識して、頑張りすぎないことを目指しているんです。なるべく印象に残らないようにすることで、それが一つの個性になったらいいなと思っています」
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さらに、コミュニケーション下手な鶸田に共感も。
「学生時代は集団のなかにいるのが得意なほうではなくて、一人で絵を描いているようなときもありました。その性格は今もさほど変わらず、仕事が終わってみんなで飲みに行こうというような場面でも、自分から声をかけるようなことはほとんどないです。誘ったら迷惑かなあという思いが先に立っちゃうんですよね」
今年は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の一条天皇役で一躍、その顔が全国区に。
「これまで培ってきたこと、意識してきたことを役に投影することができました。みなさんからいいお声をいただけて、とてもうれしかったですし、今までの努力が報われたような気がしました。僕の俳優人生のなかで、大きな転換期になったと思います」
年が明けると30歳だが、年齢にはこだわらないという。
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「俳優をやっていくうえで、わざわざ年齢を公表する必要はないと考えています。それよりも、人からどう見えるのかが大事だと思っていたら、一条天皇の母役の吉田羊さんも同じ考えをお持ちだと聞いて、ますます好きになりました。役の幅も広がると思いますし、いい年の取り方をしたいです」
(ヘアメーク:下川真矢/スタイリング:能城匠)
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