俳優の趣里が主演を務め、ジェシー(SixTONES)が共演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”『モンスター』(毎週月曜 後10:00)の第6話が、18日に放送される。それに先立って、ドラマの設定を越え、高校2年生で司法試験に合格した“リアルモンスター”
【画像】カンテレ史上最年少ドラマプロデューサーと史上最年少で司法試験に合格した早川惺さんとの対談が実現した。
今作は、常識にとらわれず、感情を排除して相手と向き合う得体の知れないモンスター弁護士・神波亮子(趣里)が、時に法が追いついていない令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう、異色のリーガル・エンターテインメント。橋部敦子氏の脚本によるオリジナルストーリーとなる。
亮子は、高校3年生で司法試験に合格した人物で、膨大な知識と弁護士としてたぐいまれなる資質を持つ。日本最難関の試験とも言われる“司法試験”。司法試験に挑むには、法科大学院を修了するか、合格率3、4パーセントと言われる予備試験に合格する必要がある。なお、予備試験を受けるにあたり、年齢制限はない。
現在の試験制度において、史上最年少で司法試験に合格したのは、筑波大学附属駒場高校2年生・早川惺(はやかわ・しょう)さん(17)。早川さんは高校1年生で予備試験に合格し、今年、司法試験に合格した。
今回は、早川さんと今ドラマのプロデューサー・加藤春佳(カンテレ/入社7年目28歳)の対談が実現。加藤は、カンテレ史上最年少ドラマプロデューサーでもある。“リアルモンスター”×ドラマプロデューサーの対談をインタビュー形式で届ける。
【対談】
――司法試験合格おめでとうございます。今の心境は。
早川:やっぱりめちゃくちゃうれしかったです。試験は、最後まで何があるか本当にわからないので、自分の番号を見た瞬間はホッとして、喜びと安心感が混ざった不思議な感情になりました。これからさらに掘り下げて、著作権や特許など専門的に勉強したいなと思う分野もあって、今からワクワクしています。
加藤:終わったばかりで、もうワクワク。これからさらに知識を深めていこうという姿勢がすごいですね。昨年、予備試験に受かった際はいかがでしたか?合格率3〜4パーセントという狭き門ですが。
早川:そうですね、昨年もめちゃくちゃうれしかったですね。
加藤:そのうれしいっていうのは、努力が実ったことがうれしいのか、その先を見据えてのことがうれしいのかでいくと?
早川:それは後者ですね。これからいろいろできることが増えるっていう。
――改めて、司法試験に挑戦しようと思った理由を教えてください。
早川:僕は、中学受験をしまして、中高一貫校の筑波大学附属駒場中学校という学校に入学したのですが、中学受験が終わった後、将来何になりたいか、明確な目標がなくダラダラしていた期間が結構長かったんです。でも、その間も学校の友人たちはすごく頑張っていて。たとえば、化学で賞を総ナメにしていたり、プログラミングの分野で世界的に活躍していたり、すごい友人たちが近くにいて、彼らは自分たちのスキルを突き詰めて、多くの実績をあげていました。でも僕は何も夢中になれるものがなく、将来何をやりたいんだろうって、中学校3年生になり思い悩むようになりました。
それで最初に思い出したのが、公民の授業がめちゃくちゃ好きっていうことでした。討論形式で、日常的な題材をもとに議論するのですが、それがもう面白くて面白くて、かじりついて授業を聞いてたんです。
それで、もしかしたら、これなら夢中になってやれるんじゃないか、将来やりたいことに繋がるかもしれないと思い、中学3年生のクリスマスプレゼントに六法全書をお願いして、勉強するようになりました。実際に勉強を始めてみたら、これがもうめちゃくちゃ面白くて。社会の仕組みや法の仕組みを勉強すればするほど、もっと知りたいっていうスパイラルに入っていった感じです。それで、司法試験には年齢制限がないので、受験資格を得るための予備試験をまずは目指してみようと思い、中学3年生が終わる2月から伊藤塾のオンライン講義を受講しました。
――そこから勉強して、高校1年生の夏の予備試験に合格されているので、実質半年くらいで合格されたということですよね。それが、伊藤塾の先生からすると、すごいことだとおっしゃられていました。
早川:確かに期間は短いと思います。僕としては、学んでいくことが楽しくて夢中になって取り組んだことと、逆に夏の試験まで時間が限られていたので、ギュッと集中して勉強したことが合格につながったのかもしれません。
加藤:すごいですね。中学生のときにすでに目標を明確に見つけられたと。私は中学3年のとき何をしていたんだろう(笑)。実際合格してみて、周囲の反応はどうでしたか。
早川:家族も友人も、「おめでとう!」と喜んでくれました。ただ、家族は「まだ受かっただけだからね」と。「入口に立っただけだから、ここから先の方がずっと大事だから」と言われました。それは本当にその通りだなと思っています。
加藤:それは、お父様からですか?
早川:はい。父からそういう風に言われて、「その通りだな」と思いましたし、ありがたかったですね。
加藤:合格発表はご家族一緒に見に行ったのですか?それはどこかに掲示される?
早川:はい。両親と一緒に、法務省に貼り出されるので、見に行きました。ちょうど代休の日だったので、見に行くことができました。
――合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。
早川:中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした伊藤塾のオンライン授業を夜10時、11時まで受けるという生活でした。休日は、6、7時間は少なくとも勉強してました。なにより、興味が原動力だったので、効率的に計画的に勉強を進めるぞというよりは、わからないところとか、つまずいたところがあったら、徹底的に突き詰めて理解できるまで取り組むっていうやり方です。直前期は、もう限界まで頑張って、朝7時には起きて、夜11時まで1度も休まずに勉強するとか、本当に休憩はご飯とお風呂だけみたいな感じでした。
加藤:きついなとか、しんどいなとかは、思わずにですか?
早川:本当に、勉強自体が楽しいと思っていたから頑張れたんだと思います。夏休みは、遊びの予定とかも全部返上して、全力で勉強してました。
――独自の勉強法があれば教えてください。
早川:勉強を進める上で、一番意識していたのは、“暗記をするのは最終手段”ということです。もちろん、司法試験は覚えることが膨大にあるのですが、ただ丸暗記するのではなくて、こことここは共通点があるなとか紐づけられることが多いので、暗記ではなく、体系的に理解するということに、重きを置いてました。それがよかったんじゃないかなと思います。
――ご両親はどのような教育方針だったと思いますか。
早川:両親からは、好きなことをやればいいけど、やったことには責任を持ちなさいと言われてきました。これは中学受験の時も同じで、中学受験をしたいと言い出したのも僕でしたし、司法試験、予備試験を受けると決めた時も、受けたいなら受ければいいと。ただ、中途半端に投げ出したりせずに、覚悟を持ってやりなさいって言われて。だからこそ自分事として捉えることができたというか。自分が好きで自分がやりたくて、これに魅力を感じてやってるんだって思えたので、それは本当にありがたかったです。
加藤:ご両親は弁護士さんではないのですか?
早川:はい。弁護士ではないですし、法律に詳しくもないです。
加藤:心に残った言葉はありますか?
早川:そうですね。ここで上手くいかなかったからと言って将来どうにかなるわけではないし、未来が決まるわけでは全くないから、思い切ってやってこいと、言葉をもらいました。それは、どんなチャレンジをする時も、ずっと言われてきたことでしたね。
――司法試験の勉強以外に、今取り組んでることや、夢中になっていることはありますか?
早川:今までずっと司法試験の勉強をしてきて、これから大学受験もあるので、今特段、夢中になっていることをあげるのはちょっと難しいんですけど、司法試験はいったん区切りがついたので、これからどんどん世界を広げていけるなと思っています。司法試験に受かったといっても、社会経験が全然足りていませんし、これからいろんなことにチャレンジして夢中になれるものを見つけたいなって思っています。
加藤:すごい17歳。すごいという言葉しか出てこないのですが(笑)。テレビは見たりしますか?
早川:テレビはよく見てますし、アニメやドラマも好きです。実はそのことが、将来やりたいことにも少しつながっています。司法試験を目指す過程でできた夢なのですが、将来は、日本のクリエイターを守る弁護士になりたいなと思っています。というのも、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、音楽といったコンテンツは、やっぱり日本が世界に誇れるものだと思います。でも、今、生成AIの台頭によって大きな変化が起きています。生成AIで、これまで大人数で取り組んでいたことを、少人数で作ることも出てくるでしょうし、すでに生成AIで権利が侵害されている事例もあると聞くので、今が節目というか、重要な局面にあるのかなと思うんです。
日本のコンテンツ産業にとって大きな飛躍のチャンスでもあると思うんですけど、逆に言えば、著作権とか法的な整備が整わず、そのチャンスや成長が阻まれてしまうこともまた同様にあると思います。だからこそ法律の知識や法整備がめちゃくちゃ大事だと感じていて、日本企業や日本のコンテンツビジネスに携わるクリエイターたちを法的にサポートしたりとか、法整備に携わったり、日本のコンテンツビジネスが世界で活躍するための助けになれればというか、かげながらサポートしたいなって思っています。
司法試験の選択科目で僕は知的財産法という、著作権や特許などが含まれる分野を選択したのですが、それらの法律を学ぶことで、将来やりたいことを考えるきっかけになりました。
加藤:ちょうどドラマ『モンスター』の2話で、AIが作成した歌詞は著作権侵害といえるのか?というテーマを扱いました。まだ基準や法整備が整っていないグレーな分野ですもんね。
早川:そうですよね。今は過渡期なので、これから日本のコンテンツがどうなるか、すごく重要な場面だと思います。技術の発展に法整備のスピードが追い付くことは簡単ではありません。司法試験に早く合格できたことで、これからの時間を別のことに割けますし、たくさんのことが学べる猶予があるので、この時間を活かして知識を深めたいなと思っています。
――ドラマ『モンスター』については、ご存じでしたか。
早川:はい。もちろん知っていました。この取材のお話しをいただく前から、母が「面白いドラマあるよ」と教えてくれて、初回放送から最新話まで全部見ていました。そのあと、このお話をいただいたので、びっくりしました(笑)。楽しく拝見しています。
加藤:ありがとうございます。早川さんから見て、いかがですか?直接感想を聞けることはなかなかないので…。
早川:やっぱり趣里さん演じる神波先生のキャラクターが魅力的だなと思います。裁判だけではなくて、そこに潜んでいる問題や、まだ起こっていないことなど、すごく広い視野で物事を見ている感じがして、神波先生のミステリアスな視線は、遥か先のことを捉えているんだろうなと。それがすごくかっこいいです。
加藤:ありがとうございます。ドラマの核となる部分をちゃんと見抜いてくださっていてありがたいです。流し見ではなく、しっかり見ていただいているんだなというのがわかるというか。亮子は、普通の人が見ていない、見えていないものを見ている、深さのあるキャラクターというのが、伝わっているというのは、すごくうれしいです。そこは1つ意識して作っています(笑)。今日お話を聞いて、早川さんは、高校生で司法試験に合格したという共通点意外にも、亮子に似ているなと感じました。法律にのめり込んでいくところはもちろんですが、亮子は自分の興味があることに対して、ずっと邁進していく人なので。そういった部分が似ているなというか、亮子ってもしかしたら、こうやって育ってきたのかなと(笑)。
――亮子は「高校3年生で司法試験に合格」ということで、早川さんはモンスターを越えた実在するリアルモンスターという感じですね。
早川:神波先生より1年早く司法試験に合格はしているのですが、本当にただ合格しただけというか、自分はまだまだなので、洞察力や人間力などあらゆる面でいたってないなと感じます。これから経験を積んで、僕が神波先生と同じ年齢になった時、神波先生と肩を並べられるような弁護士になれたらいいなと思います。
――(加藤に)「高校3年生で司法試験に合格した主人公」という設定は、どのようにできたのですか。
加藤:
彼女の人物像を作っていく過程で、15歳で合格など、“最年少で合格”という設定にすることもできたのですが、あえて最年少にしようという意識はなくて。彼女と父親がコミュニケーションをとる方法が、法廷につれていくことだったり、ただ法律の勉強が楽しくてのめり込んだり、たまたま受けたのがこの時期だった。みたいな形にしていて、すべての行動にあまり意味を持たせてないんです。
このドラマ自体、すべてそうともいえるんですが、人間ってすべての行動に意味や意志があるわけではないよねというのを脚本の橋部さんとよく会話するところなんです。行動理由がはっきりしている人間ってそんなにいないよねと。今後明かされていく、亮子が弁護士をやってみようと思ったきっかけもそうなんですけど、一時の衝動や何かのきっかけで、ふと行動してしまう。人間ってそういうものだよねというのが、モンスターの大きなテーマでもあり、各話で登場するモンスターが持つ“人間の危うさ”や“曖昧さ”みたいなものを描いてるつもりです。高校3年生でというのも、若くして合格してやるぞというような意志で受験したというより、彼女にとっては、ただそのタイミングだったという感じですね。
早川:僕もそういうところがあるのかなと思います。法律を勉強してみようと思えたこと自体、偶然だし奇跡のようなものだったので。人生設計をして狙って最年少を目指したわけではなかったので。
加藤:そうですよね。最年少をとってやる!というような考えで行動されているのではないのかなと感じました。
――“最年少”にこだわりがないという流れのなか恐縮ですが、加藤プロデューサーは、カンテレのドラマ制作としては“史上最年少”プロデューサーで、早川さんと最年少つながりということで。早川さんから加藤プロデューサーに何か質問ありますか。
早川:最年少でプロデューサーになられたっていうことで、やっぱりそれで批判されたりとか、あることないこと言われることがあると思うんですよね。そういうのに対して、どういうメンタリティーで臨まれているのかお聞きしたいです。
加藤:若くしてプロデューサーになったことについては、意外と誰からも何も言われることはなくて、カンテレの人たちもむしろ応援してくれる感じですね。ドラマに関しての批判に関しては、甘んじて受けたいと思っているのと、ドラマを作る上では、嫌な気持ちになっている人はいないかなというベースで、SNSをチェックしたりもしています。内容が難しいとか、ここ変じゃない?みたいなコメントには、そうだよね、わかるわかるとか、あ、バレたかと思ったり(笑)。賛否両論はすべて受け止めつつ、視聴者の方が自分の嫌な思い出を彷彿とさせてつらい気持ちになっていないかという視点を持つことを心がけています。
――好きな弁護士ドラマはありますか。
早川:『リーガル・ハイ』は、好きでしたね。DVDも持っています。ドラマでいくと実は、『モンスター』の脚本を書いている橋部敦子さんの『僕らは奇跡でできている』も好きです。高橋一生さん演じる、生物の不思議に夢中な主人公の言葉に共感することが多々ありました。
――苦手なことはありますか。
早川:苦手なことだらけです(笑)。運動も苦手ですし、整理整頓も苦手。苦手なことを1つ上げることが難しいくらい苦手なこと多いです。
加藤:いやいや。話をしているだけでも、だいぶ大人な方だなと感心します。
――高校2年生で司法試験合格という快挙を達成し、まさに天才かと思いますが、早川さんが「この人はすごい!」と思う人物は。
早川:本当に僕自身は、自分のことを天才だと思ったことは1回もなくて。僕がそもそも司法試験を目指したのも、先ほど申し上げましたが、学校の友人たちの影響が大きいんですよね。中学生の段階から化学の賞を総ナメにしている井戸沼くんとか。プログラミングで世界大会に出ている太田くんとか、AIの世界大会で活躍している鈴木くんとか。彼らは、自分の好きなことをとことん突き詰めていて、本当に尊敬しています。彼らに憧れて、自分も好きなものを追求してみようと思い司法試験を目指したので、同級生の彼らこそ“すごい人だな”と思う存在です。
加藤:同級生を、友人を尊敬できるって、口に出して言えるのは、すごくいいことですね。
――将来の夢や直近の目標を教えてください。
早川:将来は、日本のクリエイターの権利を守る弁護士になりたいなと思っています。直近の目標としては、法律だけしか知らないっていう状況にならないようにしたいです。例えば海外でいろいろな経験したりとか、たくさんのことに挑戦して、人としてひと回りも、ふた回りも成長していきたいです。司法試験の合格は、法曹の入り口にたっただけなので。
――最後に互いにメッセージお願いします。
加藤:きょうお話しできて、自然体に好きなことを突き詰めている“モンスター”だなと感じて、それがすごく亮子と近い気がして、そんな人が現実にいることを目の当たりにして、すごく嬉しいです。亮子に仲間がいたみたいな(笑)。亮子に教えてあげたいと思いました。
早川:きょうは本当にありがとうございました。ドラマの撮影現場も見学させていただき、プロデューサーさんとお話しさせていただいて、自分自身のこれからの糧にしていきたいなと思いました。自分がより視野の広い人間になるための大事なステップとして、ありがたい機会をいただいたなと思います。
加藤:趣里さん、ジェシーさんに、実際お会いしてみていかがでしたか。
早川:いや、もう、本当にお会いできて光栄でした。ありがとうございました!