【写真】Kōki,演じるミコはなぜ突然消えてしまったのか――『TOUCH/タッチ』場面写真
本作は、アイスランドの映画監督バルタザール・コルマウクルの最新作となる時と海を越えた壮大なラブストーリー。初期の認知症であることが判明した主人公のクリストファーが、人生でやり残したこと…50年前に愛した大切な人が突然姿を消してしまった謎を解き明かすことを決意。2023年コロナの世界的流行で国境が封鎖され始める中、アイスランドを出発し、ロンドン・日本を旅しながら彼女を探す姿を描く。
原作は、2020年にアイスランドで発表されベストセラーになったオラフ・オラフソン著の『Snerting(原題)』。この物語を手にしたコルマウクル監督は、「世界の国々と異なる人種、2つの時間軸と歴史的な出来事をパンデミックの世界に見事に織り込ませている」と、映画化を熱望。2022年の終わりにアイスランド・レイキャビクで撮影をはじめ、ロンドンでの撮影を経て、2023年に東京や広島で日本ロケを敢行した。
2020年のクリストファーを演じたのはアイスランドの俳優でシンガーであるエギル・オラフソン、対して若き日のクリストファーはオーディションを経てコルマウクル監督の息子であるパルミ・コルマウクルが演じた。そして、クリストファーが学生時代を過ごす1969年のロンドンで出会う最愛の人・ミコ役にKōki,、ミコの父でありクリストファーが働く日本料理店を営む高橋には本木雅弘。さらに、2020年の日本でクリストファーが出会い酒を酌み交わすクタラギ役を中村雅俊、ミコを探す中でクリストファーが出会うハシモト役を柴田理恵が演じ、中村は劇中で歌も披露している。
このたび、本作の場面写真が一挙解禁となった。若い頃のクリストファーとミコの出会いやお互いを愛おしそうに見つめ合う日々、何気ないデート中のシーンなど幸せな日々を描いている微笑ましいカットが印象的だ。
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さらに、50年後の現代を映したシーンでは、初期の認知症であることが判明したクリストファーが日本でミコを探す旅路を切り取っている。新宿のゴールデン街で中村演じるクタラギと盃を交して身の上話をするシーン、そしてミコに会うために花屋に足を運ぶクリストファー。いずれも実在する日本の店舗でロケを行っている。
2020年と1957年の2つの時代にまたがる恋を描いた本作。作品の中では重要な側面として、原爆が及ぼす影響や被爆者についての描写が含まれており、日本公開の検討中から、制作・配給サイドとして、大切な舞台の一つとなる広島で全国公開に先駆け上映したいと希望していた。そして今回、11月23日に広島国際映画祭2024の「ヒロシマEYE」の作品の1つとして上映されることが決定。コルマウクル監督が上映後のトークイベントに登壇し本作へ込められた想い、そして撮影地でもある広島についても語る予定だ。
広島国際映画祭は「ポジティブな力を持つ作品を世界中から集めた映画祭」をテーマに企画され、3日間で10ヵ国・地域の25作品が上映される。プログラムは主に5種類に分類され、最前線で活躍する国内外の映画監督を招へいする「特別上映作品」、「ポジティブな力を持つ作品」を世界中から集めて審査する「国際短編映画コンペティション」、広島にゆかりのある映画人や広島で撮影された映像作品を上映する「ヒロシマEYE」、監督や映画関係者によるトークイベント「ティーチイン」、映画監督が講師を務める「ワークショップ」だ。
コルマウクル監督は広島に訪れた時のことを振り返り、「広島を訪れることは、衝撃的な体験でした。広島で起こった恐ろしい出来事について、私はずっと考えてきました。資料館や平和記念公園を見学し、目の当たりにし、人々がどう向き合ってきたかを知ったことは大変な衝撃でした。それは、きっと一生続くことでしょう」と話している。
また、実際に本作のロケで訪問した際に、「とても印象的だったのは、滞在した住宅は伝統的な日本家屋で、その家主の女性が、自身の母親は『被爆者』であるという話を聞かせてくれたことです。彼女は私たちに家族の写真を見せ、原爆が自分たちにどのような影響を与えたかを話してくれました。それはとても心が打たれるもので、広島に暮らす人々にとって、原爆投下がどれほど最近のことであるか、どれほどリアリティのあることなのかを、より深く理解することができました」と、語り作品に大きな影響を及ぼしたことを明かしている。
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