2006年にディープインパクトが制して以来、18年連続で日本馬の優勝が続いているジャパンカップ(JC)。今年は、G?6勝の超大物が海外から参戦!日本の現役最強馬との2強ムードが漂う世紀の一戦を、ふたりの馬券名人が大予想!
※騎手は予想です。また、予想は本誌49号締め切り時点のものです
■芝2400mの適性がポイント!
海外競馬にめっぽう強く、JRAが発売した海外馬券108レースのうち、なんと52レースも的中させている競馬ライターの平松さとしさん!
9番人気、1番人気、7番人気で決着した今年の日本ダービーを、たった4頭で予想を当てた競馬大好きタレントの廣岡まりあさん! そんなふたりの馬券名人が、JCで一獲千金の大予想!
――今年は国内外から10頭のG?馬が出走するなど、豪華なメンバーが集結しました。中でも、G?6勝を挙げ、あのディープインパクト産駒の最終世代ということで話題のオーギュストロダンがアイルランドから来日! 日本の現役最強馬、ドウデュースとの2強ムードが漂います。
|
|
平松 ポイントとなるのは、芝2400mの適性と、実力に見合った人気になるのかどうかというところですね。
――それでは予想をお願いします!
廣岡 私の本命はスターズオンアースです。前走のドバイシーマC(クラシック)は残念ながら8着に敗れましたが、それを除けば12戦してすべて3着以内と堅実性は抜群! しかも、昨年のJCでは、イクイノックス、リバティアイランドに続く3着と大健闘の走りを見せました。
今年はJCを目標にしっかり調整されていて、追い切りの動きもすごくいいと伺っています。ここは大きく勝負したいですね。
平松 前走は初めての海外遠征に加えて、直前に急遽(きゅうきょ)、騎手の乗り替わりもあったことを考えれば、それほど悲観する内容ではないと思います。
|
|
逆に、初めて馬券圏内を外したことで人気が落ちると思うので、ここは絶好の狙い目! 仕上がり具合が少し気になるところですが、僕も印を打ちました。
――そんな平松さんの本命はドウデュース!
平松 前走の天皇賞・秋はものすごかったですね。ゆったりとしたスローペースの中、道中は後方2番手で競馬をして、最後の直線は上がり32秒5の鬼脚で差し切り勝ち! 逃げた馬が3着に残ったように、前に行った馬が有利な流れで、あの勝ち方ができるのは底力がある証拠です。
廣岡 ものすごい脚で飛んできましたもんね。疲労が少し心配ですが......。
平松 この秋は1回しかレースを使ってない上に、前走はスローペースだった分、最後の600mくらいしか本気で走ってないんですよ。だから疲れはまったくないはず。
|
|
また、武豊騎手とのコンビも心強くて、普通なら焦って道中で動いてしまうところを、じっと我慢して後方で待機していました。馬を信じているからできるんですね。
廣岡 私はドウデュースを対抗にしました。天皇賞・秋は現地の東京競馬場で観戦したんですが、あの目が覚めるような末脚には本当にシビれました。JCは基本的に上がり勝負になるので、この馬にとってはピッタリの舞台だと思います。
■3頭の外国馬で一番狙いたいのは?
平松 僕の対抗はフランス馬のゴリアットです。前々走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(ステークス)では、後に凱旋門(がいせんもん)賞を勝つブルーストッキングや、ブリーダーズC(カップ)ターフの勝ち馬レベルスロマンスなど、そうそうたる強豪を撃破!
それでいて、おそらくそれほど人気にならないので、馬券的な妙味からも積極的に狙いたい一頭です。
廣岡 実際のキングジョージの映像を見たんですが、直線一気の末脚で、強烈なインパクトを残す勝ち方でした。しかも、全6勝中5勝が芝2400mと距離適性もバッチリ! いまだに底を見せないスケールの大きさを感じています。
――ふむふむ。3番手評価の馬はどうでしょう。
平松 僕の▲は、今年の牝馬(ひんば)2冠馬のチェルヴィニア。単純に3歳牝馬はJCで好走することが多いんですね。
その理由として、天皇賞・秋から参戦するよりも、秋華賞からのほうが間隔が2週間長くアドバンテージがあること。2週間の余裕がある分、前走の疲労が回復しやすいんですね。また、古馬の牡馬(ぼば)と比べて、斤量が4?も軽くて済むのも大きなプラス材料です。
廣岡 前走の秋華賞は、中団追走から直線で馬群を割って突き抜けて快勝! JCと同じ舞台のオークスを勝っているのも魅力的で、何より鞍上(あんじょう)がこの秋にG?を2勝している絶好調のルメール騎手です。
世代屈指の実力馬がトップジョッキーと共にどんな競馬を見せてくれるのか。期待を込めて、私も印をつけました。
――そんな廣岡さんの▲はジャスティンパレス。
廣岡 23、24年で8戦して、掲示板を外した(6着以下)のはたったの1回だけという、いつも堅実な走りを見せる馬です。前走の天皇賞・秋は出遅れながらも、勝ったドウデュースに次ぐ上がりの脚を繰り出して4着。負けて強しの内容でした。
今回は約3年ぶりにC・デムーロ騎手とのコンビになります。名手の手綱さばきに期待!
平松 この馬は芝3200mの天皇賞・春を勝っているように、長距離のほうが力を発揮しやすいんですね。そういう意味では、前走の天皇賞・秋から400m距離が延びるのは明らかにプラス。
さらに、天皇賞・秋でいい末脚を使った馬はJCで好走するケースが多いので、軽視はできない一頭です。
■馬券的な妙味がたっぷりの特注馬!
――それでは、人気薄で面白そうな特注馬を教えてください。
平松 僕はドイツ馬のファンタスティックムーンです。前々走のバーデン大賞は、最後方から大外を回して、直線だけで突き抜けためっちゃ強い競馬でした。
それ以上に衝撃的だったのが昨年のニエル賞で、逃げた馬に自ら動いて鈴をつけにいき、そのまま押し切るという完勝劇。9着に大敗した前走の凱旋門賞は、苦手な道悪だったので度外視してOK。人気のなさと実力を考えたら、とてもおいしい馬ですね。
廣岡 私の特注馬はダノンベルーガです。毎回、期待はされるけど、あまりいい結果が出せていない馬。でも、昨年のJCと今年の天皇賞・秋以外は、掲示板を外していないんですよ。安定感は素晴らしいですね。この馬もいい末脚を持っているので、うまく歯車が噛み合えば馬券圏内は十分あると思います。
――どちらの馬も買いたくなってきました。ところで! なんと2強の一角であるオーギュストロダンが、ふたりそろってまさかの無印に!
平松 この馬は芝2400mのG?をいくつか勝っていますが、最近のレースを見ていると、どうも2400mは少し距離が長いんじゃないかって。前走のアイルランドチャンピオンSはクビ差の2着と好走しましたが、勝ち馬のエコノミクスは次のレースでボロ負けしてるんですね。そういう不安要素があっても、過剰な人気になることは確実。それならばと思って、今回はバッサリ切りました。
廣岡 世界的なホースマンのエイダン・オブライエン調教師が管理するディープインパクト産駒で、イギリスとアイルランドの両ダービーを制覇したG?6冠馬―もう、これだけで評価が爆上がりするのもわかります。確かに、怖い存在ですが、私も馬券的な妙味から無印にしました。
――まあ、手を広げすぎると、的中してもマイナス収支になることもありますからね。
平松 ともあれ、今回で44回目になるJCですが、僕は第1回からずっと見続けてきました。国内外の好メンバーがそろった今年は、願わくば、昔のような強い外国馬と日本馬がしのぎを削って、心からワクワクできる競馬が見たいですね。
廣岡 私は初めて見たレースがJCなんです。アーモンドアイの引退レースで有終の美を飾った2020年ですね。当時、競馬は何もわからなかった私が、自然と涙が流れ出るくらい脳裏に焼きついているレースなので、今年も記憶と記録に残る戦いに期待しています!
――勝つのは日本の現役最強馬か、ディープインパクトの忘れ形見か、それとも......!? 決戦は11月24日だっ!
●平松さとし(Satoshi HIRAMATSU)
海外競馬の鬼! 『スポーツニッポン』などに予想コラムを持つ競馬ライター。海外競馬の取材も精力的に行ない、ほぼすべての日本馬の海外G?勝利を現地観戦している。予想は緩急自在で、超伏兵馬に敢然と本命を打つことも。海外馬券にめっぽう強く、収支は大幅プラス!
●廣岡まりあ(Maria HIROOKA)
競馬大好きタレント。昨年まで『タートピッ!』(JRA公式チャンネル)のリポーターとして美浦トレセンを担当。現在は『競馬BEAT』(東海テレビ)などの競馬番組に出演。競馬場でイベントのMCも担当している。トレセン取材を生かした堅実な予想に定評があり、万馬券ゲットも
取材・文/浜野きよぞう 撮影/内山一也