橋本環奈さんがヒロインを務め、平成ギャルにフィーチャーするという異色のストーリーが話題の朝ドラ『おむすび』(NHK)。
2004年からスタートした物語はギャル姿の橋本さんが大きな注目を集めましたが、ギャルタレントのみりちゃむ(大木美里亜)さんがギャル軍団リーダーを演じたこともSNSを沸かせました。
“旬のギャルタレント”だったという理由が大抜擢の理由でしょうから、そう考えるとこれまでの歴代ギャルタレントたちの功績もあってこそのキャスティングだったとも言えます。
そこで今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、みりちゃむさんに繋がるギャルタレントの系譜を振り返っていきます。
◆本流は2大ギャルファッション誌の出身者
2000年代以降、バラエティ番組で欠かせない存在となっていったギャルタレント。
明確にギャルタレントとして認知されていたわけではありませんが、若槻千夏さんや木下優樹菜さんらはブレイク当初、茶髪にギャルっぽいメイクをしていたため、広義の意味でギャルタレントとカテゴライズしてもいいでしょう。
ただ、ギャルタレントの本流は2大ギャルファッション誌とも言える『Popteen』モデルと『egg』モデルの出身者です。
『Popteen』モデルからテレビのバラエティ番組でも人気となった小森純さんや、『egg』モデルとして活躍し、恋愛リアリティショー『テラスハウス』(フジテレビ系)で脚光を浴び、「バイブス」という流行語を生み出した今井華さんらは、ギャルタレントの本流。
『Popteen』と『egg』はそのときどきで旬のギャルタレントを輩出してきているのです。
◆『Popteen』みちょぱやにこるん以外にも多数
『Popteen』出身者は小森さんのほかにも益若つばささん、鈴木奈々さん、くみっきー(舟山久美子)さん、にこるん(藤田ニコル)さんらがおり、特にみちょぱ(池田美優)さんの大ブレイクは特筆すべきところでしょう。
ギャルタレントというと、おバカっぽい発言がウケてバラエティ番組に引っ張りだこになっていくケースが多かったのですが、その“流れ”を変えたのがみちょぱさんだったのです。
みちょぱさんは、ズバズバとストレートな発言をするというのは従来のギャルタレントと同じでしたが、彼女の発言は物事の本質を突いていることが多かったため、ワイドショーのコメンテーターとして呼ばれるようになり、ついにはMC業にも進出。おバカキャラという固定観念をぶっ壊し、ギャルタレントを次のフェーズに推し進めたという功績があります。
◆『egg』ではゆうちゃみも現役ギャルタレ
一方、『egg』出身者は今井さんのほかにもゆきぽよ(木村有希)さん、ゆうちゃみ(古川優奈)さんがおり、そしてみりちゃむさんにそのバトンが渡されているのです。
ちなみに、ゆうちゃみさんは大阪出身のネイティブな関西弁で、ギャル特有のズバズバと斬り込んでいくトークを武器に、現役ギャルタレントとして活躍中。長嶋一茂さんやFUJIWARA・藤本敏史さんといったオジサン2人を「飲み友」と公言するなど、年上男性の懐に入り込むコミュ力の高さも強みです。
さて、今井さんが『テラスハウス』で脚光を浴び、ゆきぽよさんも日本版を経てアメリカ版の本家『バチェラー』(Amazonプライムビデオ)に出演して逆輸入的に注目を集めたので、恋愛リアリティがブレイクのきっかけになるパターンがあったのですが、みりちゃむさんが脚光を浴びた経緯は少々特殊でした。
◆みりちゃむがブレイクしたきっかけはYouTube
みりちゃむさんが“売れた”きっかけは、元テレビ東京のテレビプロデューサー・佐久間宣行さんのYouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCKTV』への出演でした。
佐久間さんのYouTubeで口喧嘩(くちげんか)女子オーディションが開かれ、みりちゃむさんは“口喧嘩最強ギャル”として大ウケ。その後も同YouTubeチャンネルで罵倒系企画にたびたび登場し、お笑いファンに一目置かれてブレイクしたのです。
『おむすび』でのみりちゃむさんは、ヒロイン・橋本環奈さんやギャル軍団の仲間とともに、パラパラダンスを披露する名シーンもあり、『おむすび』が斬新(ざんしん)な朝ドラとして認知されることに大きく貢献しました。
橋本さんとみりちゃむさんたちは、クランクイン前からこのパラパラシーンの特訓をしていたそう。その努力が結実したことで、みりちゃむさんのギャルタレントとしての格も上がったと言えるでしょう。
<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。