“元メガバンク勤務のアイドル”としてSNSで話題。「NightOwl(ナイトオウル)」のメンバーである折原伊桜さん。
彼女はメガバンクを辞めたことに後悔はないという。銀行員として約束された未来を捨てる決断には、“忘れられない出来事”と“絶対に叶えたい夢”があった!
◆「地下アイドルでしょ?」とバカにされても
安定した将来を約束された銀行員から、不安定なアイドルに転身した彼女は、周囲から「もったいない」と言われてしまうことも多いようだ。
「就活のときに、私がすごくピリピリしながら頑張っている姿を見ていた友人からは、『なんでそんな不安な道を選んだん? あほやん!』と言われていますね。確かに、他にやりたいことがなかったら、絶対にメガバンクを辞めることはなかったと思います」
ときには「地下アイドルでしょ?」とバカにされてしまうこともあるんだとか。
「やっぱり真剣にやっていても“アイドル”というだけでバカにされてしまうことは多いです。私はアイドルだとか、バンドのヴォーカルだとか、ジャンルにこだわりはないんです。歌で大きいステージに立ちに行く。挑戦できる環境を探していただけなので」
◆もう1度満員の「Zepp Namba」で歌いたい
現在の事務所を選んだ理由は、「所属グループの映像を見て、ここならきちんと活動できそう」と判断したからだという。
「ただ“歌うだけ”なら社会人でもできるんですよね。母校の軽音部はOB・OGが集まって定期的にライブをしているので、別にそれでも良いってことになるので。でも私は、大きい場所で歌いたい、もう1度満員の『Zepp Namba』で歌いたくて」
折原さんは以前、「OLDCODEX」という音楽ユニットが「Zepp Namba」で行ったワンマンライブで歌った経験があるそうだ。
「ライブ中に曲のワンフレーズを客に歌わせるというパフォーマンスがあったんです。メンバーさんが『歌えるやつはいるか!』と言って、私がすぐさま手をあげたら『そこの赤髪の子!』と選んでもらえて、歌うことになったんです。
そのときの光景が忘れられないというか。フロアにパンパンになったお客さんの熱気、声援、その中で自分の声がマイク越しに響く。
今でも寸分の狂いもなく鮮明に覚えています。この出来事が、メガバンクのキャリアを捨ててまで歌うという選択につながっています。どうしても時間と共に記憶は薄れていってしまうものなので、もう1度あの感動を体感したくて。やっぱり自分の手で叶えにいくしかないって」
◆歌うきっかけをくれたアーティストと対バン
その後、「OLDCODEX」は解散してしまったが、元メンバーのHALさん(※YORKE.さんが現在活動しているバンド「Rest of Childhood」での名義)との対バンが実現した。
「ライブを見に行って、手紙を書いたんです。『あのとき、ステージに上げてくれたおかげで、夢を追うことができています』と。それで、私がグループとは別にソロライブをすることになって、思い切って出演依頼を出したら快諾してくれたんです」
折原さんはライブ当日のMCにて、「OLDCODEX」のライブでステージに立った経験があることを明かし、「絶対にもう1度ZeppNambaのステージに立ちます!」と宣言したのだ。
「私のことを覚えてくれた方もいました。『あの時の子か!』って。夢みたいでしたね。記憶が薄れていくのが怖いと思うほどに」
◆まだまだ夢の途中
最後に、筆者がキャリアを捨てたことに後悔はないのか?と改めて問うと、折原さんは「全くありません」とキッパリ。
「将来の不安や、家族やまわりの人たちを裏切ってしまったんじゃないかという後ろめたさがなかったといえば、それは嘘になります。ただ、歌う決断をしないまま、5年、10年と時間が経っていたらと思うと怖いですね。ぜんぜん人生が変わっていたと思うので」
失ったものも多かったが、得たものも多かったという。
「自分たちのステージがあって、楽曲があって、衣装があって。そのひとつひとつが尊いし、すごいことだなって。何よりファンの方たちの存在は大きいですね。
まだまだ私は夢の途中。もうすでにZepp Nambaに立つことは、私一人の夢ではないんです。ファンの人たちの想いも背負っているから。私は“有言実行”を掲げているので、宣言したことはすべて叶えたい。覚悟を持って突き進んでいきたいですね」
折原さんの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。
<取材・文/吉沢さりぃ>
―[折原伊桜]―
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720