所得税が課される年収の最低ラインである「103万円の壁」の見直しなどを巡り、自民、公明、国民民主3党の税制調査会長による協議が28日、行われた。自公両党は、目的や財源といった「論点」を提示。財源確保に関しては「歳出削減」「経済効果による増収」「家計の負担増とならない増税」の三つの考え方を挙げ、党としての方針明確化を求めた。
国民民主は、所得税の非課税枠を178万円まで引き上げるよう主張。政府はこの場合、国と地方を合わせて約7兆〜8兆円の税収減になると見込み、自治体からは財政運営への悪影響を懸念する声が出ている。
国民民主は、年収の壁の引き上げ財源の一部に税収の上振れ分を活用する考えを示している。これに関し、協議に同席した自民税調の後藤茂之小委員長は記者団の取材に「経済効果による税収は恒久財源ではない」と指摘した。
自公両党は論点で、地方税の個人住民税の扱いも取り上げた。非課税枠の引き上げは、国税の所得税だけでなく個人住民税も対象とするのか、地方の自主財源の恒久的減収を伴う見直しに対して地方団体の理解をどう得るのかといった点を挙げた。このほか、アルバイトをする学生らが年収103万円を超えると、その親が「特定扶養控除」を受けられない問題に対応するための年収要件の引き上げについても、財源などを論点として示した。
3党は論点に基づき、協議を継続する方針だ。