【写真】笑顔が爽やか! 相葉雅紀のソロカット
■連続共演で感じたお互いの印象は?
――相葉さんと大塚さんは、モルカーにどんな魅力を感じていますか。
大塚:まず、モルカーがかわいいことが1番の根幹にあって、その中で意外とシュールだったりする世界観が大人も愛でたくなるんじゃないかなと思います。何がいいって、モルカーたちは喋らないのに表情がとても豊かに見えるところ。「言葉にしなくても伝わるよね」っていうところが魅力なんじゃないかな。
相葉:僕も、メッセージがしっかりしているから大人も引きつけられるんじゃないかなって感じます。言葉を使わずに表現するのもすごいです。
――今回は映画化ということで、一歩踏み込んだストーリー展開が印象的でした。
大塚:そうですね。ただ、モルカーたちの世界観はちゃんとあるから、普段アニメではできないような長いお話でもストーリーに入ってちゃんと物語を楽しめる。
相葉:アニメとは別物のような、映画バージョンですよね。劇場版として、モルカーファンの皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。
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――本作で相葉さんは、AIモルカーを開発した、ベンチャー企業“メニメニアイズカンパニー”のCEOを、大塚さんは消えたモルカ―、ドッジの行方を捜しているニンジン農園“わいるどはぁ〜と農園”の農場主を演じましたが、ご自身とキャラクターに共通点はありましたか?
大塚:庶民的なところですかね。
相葉:大塚さんが演じると、大塚さんにしか作れない魅力的な役になるので、見ていてすごいなと思います。僕の役は、あまり共通点はないかな…CEOという響きに憧れはありますけどね。
――お互いの印象はいかがでしょう?
大塚:相葉くんは、自分の声を聞いて「これでかっこいいかな」っていう風に完結しないでちゃんと渡してくれるのですごくやりやすいんですよね。
相葉:うれしいです! 自分の声をかっこいいと思ったことがないので、そういう風に考えたことがないですね。
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相葉:大塚さんは大ベテランで、これだけたくさんの役を掛け持ちされている中で、作品それぞれの役をしっかりと作ってこられるので、そこに引っ張ってもらってますね。僕の役も委ねられるというか、何かを委ねて渡せば絶対に何かを返していただけるので、そのやり取りが楽しいなって思います。
大塚:それが楽しいか楽しくないかが、1番肝心なところじゃないかな。
相葉:そうかもしれないですね。確かに、1人で想像するよりも、大塚さんが作る役と実際に会って初めて「こういう反応なんだ、こうなんだ」っていう駆け引きができるのが楽しいです。
――撮影現場でお話するタイミングはありましたか?
大塚:すれ違いはしましたけども、一緒に収録はできなかったです。
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■台本に向かうときは苦しいけど楽しい
――俳優や声優として、お2人が考える“キャラクターを演じる醍醐味”とはどんなところでしょう。
大塚:日常の自分から逃げられるところじゃないですかね。
相葉:お疲れなんですね…。
大塚:(笑)。普段自分が、これはやるべきじゃないなとか自分に課した枷(かせ)みたいなものがいろいろとあるじゃないですか。でも、役の上だとそれを持っていたらだめなので、それを取り外せるんです。取り外したところで「それは役だからしょうがないじゃん」っていう大義名分があるので。それができるというのは、どこかで解放に繋がっているかもしれないですね。
相葉:僕は、台本に向かって1人で役作りをしてるときが、1番苦しいんですけれど楽しいです。演技について学校とかで習ったりはしていなくて、現場でいろいろな方々や監督から教えてもらったもので積み上げてきました。自分が作った役を持って行ったときに「違う、この方向じゃない」って言われたときに、それを持って帰ってまたやり直してっていう作業を家でやります。そのときの、この役はこういう性格やバックグラウンドで、スタンダードはこの辺のテンションでというように、キャラクターを構築していく時間みたいなものが1番楽しいですね。
――今回は声のみの演技でしたが、俳優として演技をするのと違いは感じましたか?
相葉:すごく新鮮でした! 俳優としての演技と大きくはそんなに変わらないですけど、絵だと台詞のタイミングが決まっていたりするんです。例えば、この秒数しかこの絵はないから、それが漏れちゃうと次のカットに進んでしまうとか。技術的な難しさはすごくありました。すごいんですよ、声優さんたちの技術って! 改めて声優さんというお仕事に対してそう思いましたし、自分にはなかなか難しいなとも思ったんですけど、キャラクターを構築していくという点において、家でやる作業の本質の部分は変わらない気がします。
それから、声だけで表現する難しさというものも感じました。というのも、体とかアクションを封じられているので、自分はそのつもりでやっていても「あ、この声じゃ伝わらないんだ」って気づきがあったり…この難しさは、日々すごく感じています。
――大塚さんは、これまでの経験から“声だけで演じる”上でどんなことを大事にしているのでしょう。
大塚:作品のスパンが短いものですから、例えば収録を1日や半日でやらないといけないとすると、作り込んで、これやってみよう、こうやってみようということが許されないんです。みんなで「僕こうやってみたい、ああやってみたい」ってやっていると終わらなくなってしまうので。だから、合わせるという技術も声優をやる場合には必要になってくるんですが、そこばっかり気にして暮らしていると、じゃあ好きにやっていいよって言われたときに手も足も出なくなってしまうケースもある。なので、その辺りで自分を見失わないようにというのは心がけていますね。
――今回で言うと、庶民らしさとか。
大塚:そうですね。“真っすぐなやつ”っていう感じで。人間って、真っすぐな人もいるかもしれないけど、でも全部が全部そうじゃないじゃないですか。そういうところに、自分の中にあるものをちょっと削ったり足したりしながら役を作っていくのが僕のスタイルなんです。何と言っても数が多いもので、1から土台を作っていくと大変なんでね(笑)。中には集中して、撮影の期間ずっとその役の気持ちになっている役者さんもいますが、それが許されないスパンで僕らの仕事は回転していくので、どうしてもそういう意味ではやっつけ的になることもあるのかもしれない…その辺はちょっと反省しないといけない、忘れちゃいけないことですね。
――柔軟性が必要になってくるんですね。
■大塚明夫が相葉雅紀へラブコール「連絡先つないでほしい」
大塚:その役にどっぷり首まで浸かってしまって、演技者としての大切な部分がだんだん薄れていってしまうと嫌だなって思うんです。
――では、相葉さんは俳優として、大塚さんは声優として、お互いのお仕事について聞いてみたいことはありますか。
相葉:大塚さんは、さっきもおっしゃっていましたけど、声のお仕事を何個も掛け持ちしてやられるんですよね。
大塚:そうですね。
相葉:声ももちろんいいんですけど、そのキャラクターの役がしっかりあるのですごいなと思って。どうやっているのか気になります。
大塚:切り替えなんでしょうね。何かスイッチがあるんだと思います。この役をやるときはこのスイッチ、何々やるときはこのスイッチみたいな。そういうのを自然に作らないと、さばけなくなっちゃうので。
――大塚さんはいかがでしょう。
大塚:もうね、大変な仕事をしているんだなっていうのは聞かなくても分かります。やっぱり、一流のアイドルの皆さんをテレビ越しとかで見たり聞いたりしていると、僕らみたいに人の見えないところで台詞だけ言っているのと全然違うなと思って尊敬します。
相葉:いやいやいやいや!
大塚:いや、すごいと思いますよ。特に相葉くんは人当たりも柔らかくて腰も低くて、それでいて気を遣える人じゃないですか。時には「そんなのは知らないんだ。俺はこうなんだ」っていうスタイルもあるかもしれないですけど。なおかつ相葉くんの場合は、スタッフの皆さんのことも「不快な思いをしてないかな」って常にアンテナでサーチしている感じがしてすごいなと思います。
――刺激を受けたこともあったり?
大塚:人間ですから、不愉快なことやカチンとくることがいっぱいあると思うんですけど、そういうのも全部飲み込んで「僕は相葉雅紀なんだ」ってしゃんと立っている。これにつきますよね。素晴らしいと思う! 連絡先つないでほしい。
相葉:ぜひ! 大レジェンドの大塚さんにそう言っていただけるなんてうれしいですね。僕も、こうやって一緒に作品に出させていただいたり違う現場でも掛け合いとかさせていただいたりして、やる度やる度にいろいろな発見が出てきます。同じ作品で読み合わせをしても毎回同じにならないので。
大塚:同じにできないんです(笑)。
相葉:いやいや(笑)。すごく刺激をいただけますし、楽しいんですよね。今度ゆっくりお酒を飲みながらお話ししたいですね。
(取材・文:杉崎絵奈 写真:上野留加)
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