日本の民間団体と中国側が共同で実施した世論調査で、「日中関係は重要」と答えた中国人がおよそ2割までに低下し、これまでで最も悪い結果になりました。
今回で20回目となる世論調査は、日本の「言論NPO」と「中国国際伝播集団」が2005年から共同で実施しているものです。今年は10月から11月にかけて実施され、2500人が回答しました。
日本への印象が「良くない」と答えた中国人は87.7%にのぼり、去年からおよそ25ポイント増え、調査開始以来、2番目に悪い結果となりました。一方、中国に対し「良くない」印象を持つ日本人は89%と、ほぼ横ばいでした。理由として、双方ともに尖閣諸島の問題が最も多い回答となっています。
今後の日中関係については、「悪くなっていく」と答えた日本人が32.9%だったの対し、中国人は75%と去年よりも35ポイントほど増え、調査開始以来、最も悪い結果となったことがわかりました。
また、日中関係は「重要である」と答えた日本人は67.1%でしたが、中国人は26.3%と去年よりもおよそ34ポイントまでに低下し、こちらも調査開始以来、過去最低となっています。
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「日中関係の発展を妨げるもの」に、去年8月から始まった「福島第一原発の処理水放出」を挙げた中国人が35.5%と去年よりも30ポイントほど増えたのに対して、日本人は「領土をめぐる対立」が50%を超える結果となっています。
調査を行った「言論NPO」の工藤泰志代表は、「国民間の交流が乏しい中、中国の閉鎖的なSNS上で、日本に否定的な報道が連日展開されているため、影響を与えたのではではないか」と分析しています。
一方で、ロシアのウクライナ侵攻に関する評価について中国側で最も多かった回答は、「国連憲章や国際法に反する行動であり、反対すべき」が41.3%と去年から25ポイント増加しました。さらに「国連憲章や国際法には反するが、ロシアの事情も配慮すべきだ」と答えた人が28.3%で、去年よりおよそ18ポイント減ったものの、あわせて7割近くの中国人がロシアのウクライナ侵攻に否定的な意見を持っていることがわかりました。