自民・公明両党の税制調査会長らは5日、2025年度税制改正における主要議題に関し、意見を交わした。今年の論議では、防衛力強化に向けた増税の開始時期も焦点だ。政府が同日示した試算によると、決定を先送りする場合、増税によって27年度に1兆円強の財源を確保するとの政府方針は実現できなくなる。衆院選で少数与党となった自公が、方針通りに増税時期を決められるかは不透明だ。
防衛増税は、23年度税制改正大綱で法人税と所得税、たばこ税を財源として「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」と明記した。ただ、増税開始時期の決定は2年連続で持ち越した。昨年の税制改正論議では、定額減税と負担増の議論を同時に行うことを回避しようとする思惑が働いた。
政府試算によると、年内に政府・与党が増税を決定した場合、法人税とたばこ税は26年4月、所得税は27年1月にいずれも税率を引き上げる。これにより、27年度は1.1兆〜1.2兆円の税収が確保できる。一方、決定を1年先送りすれば27年度の税収は0.8兆円にとどまるため、政府方針の1兆円強に届かず、財源不足に陥ってしまうという。
10月の衆院選で躍進した国民民主党は、防衛増税そのものが不要との立場だ。増税の開始時期を巡る自公と国民民主の議論は、入り口すら見いだせていないのが実情だ。