東京ガスが、東南アジアで5〜10件程度の風力発電プロジェクトを検討していることが5日、明らかになった。一部の開発計画は2025年にも「最終投資決定」を行う見通し。世界的に脱炭素化の流れが強まる中、海外の再生可能エネルギー事業を新たな成長の柱に育てる。
投資先はベトナムを中心とするメコン地域で、発電容量は1件当たり50メガ〜100メガワット級を想定している。地元企業と連携し、風速や風向き、送電線との接続などの面で発電に適した立地を選定する方針だ。
東京ガスは、海外事業の利益を30年に500億円へ引き上げる計画で、液化天然ガス(LNG)の関連事業に加えて再エネ分野にも軸足を置いている。米国では大型の太陽光発電所を稼働させたほか、欧州でもデンマーク企業への出資を通じて風力発電事業に参画している。30年を見据え、東南アジアでも再エネ事業を本格化させる。
東南アジアでは、シンガポール子会社の東京ガスアジアが主体となって案件開発を進める。同社の中尾孝社長は取材に応じ、「風力は1件当たりの投資規模が大きく、効率がいい」と事業拡大に意欲を示した。