ジェネシス・マグマ・レーシングのチーム代表、シリル・アビテブールは、2029年に現在のLMDhルールサイクルが終了するまで、そして場合によってはそれ以降も同チームがLMDhへとコミットメントすることを表明し、この韓国メーカーのトップクラスのスポーツカーレースへの新たな関与は「長期的」プロジェクトであると表現した。
アビテブールは、新たに契約したドライバーのピポ・デラーニとアンドレ・ロッテラー、その他のジェネシスの幹部とともに、12月4日にドバイで新型LMDh車両『GMR-001』を発表した。
オレカ製のベースシャシーを持つこのLMDhカーは、2026年のWEC世界耐久選手権に2台体制でデビューし、1年後にはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にも登場する予定だ。
ドバイに招待されたメディアに対し、アビテブールはジェネシスのレース活動における継続性と安定性への願望を概説し、姉妹ブランドであるヒョンデの長年にわたるラリーへの関与を例に挙げた。
「我々は12年間、継続してWRCに参戦してきた」とアビテブールは語った。
「だから、何かに参入するときは、まずそれを機能させること、そして次に安定性が重要だ。パフォーマンスは、人材、テクノロジー、経験、専門知識を通じて構築されるのに時間がかかることを、我々は知っている」
「我々は、ただひとつのことだけをやって、別のことに移るためにここにいるのではない。我々はここに留まり、良い仕事をし、できれば競争力を保ち、物語も構築するために、ここにいるのだ」
「マーケティングの観点からも、毎年あるいは隔年ごとにプログラムを変えていたら、何かを構築することはきない」
「そして、それが耐久レースという伝統的なレースの世界と、ジェネシス・マグマとのつながりであり、まさに我々が望んでいることでもある。そして、それを実現できるのは長期的にのみだ」
ACOフランス西部自動車クラブは6月に、ハイパーカークラスの車両の現在のホモロゲーションサイクルを2029年のWECシーズン終了まで2年間延長すると発表し、その後IMSAも最高峰クラスGTPにおいて、これに追随した。
アビテブールは、ACOの決定はジェネシスにとって「朗報」だったと指摘したが、同ブランドは「それに関係なく、すでに(継続)参戦を真剣に検討している」と述べている。
■シャシーは4社すべてを検討
GMR-001は、ヒュンダイがWRC世界ラリー選手権で使用している現在のターボチャージャー付直列4気筒をベースにした、3.2リッターのツインターボV8エンジンを搭載する予定だ。
アビテブールは、プロトタイプの経験が不足していることを考慮して、ジェネシスがスピードを上げるための「近道」としてWRCエンジンの使用を挙げ、既存の設計に基づいたエンジンを使用しているLMDhメーカーもいくつかあると指摘した。
「実際にすべての競合相手を見てみると、プログラムを開始した時点で、ほとんどの人々がすでにエンジンを稼働させていた」とアビテブールは語った。
「だからこそ、WRCエンジンをベースエンジンとして使用するという近道を選ぶことにした。少し単純に聞こえるかもしれないが、実際には良い近道であり、他の人が使用してきた近道だ」
「ここは重要な部分だが、前進する方法はあると思う」
一方のシャシー側では、ジェネシスがLMDhのベースシャシーメーカー4社(リジェ、マルチマチック、ダラーラ、オレカ)すべてと話し合いを行い、4社のうちオレカを選んだとアビテブールは説明している。
「結局のところ、モータースポーツは人と情熱がすべてだ」と彼は語った。
「同じ情熱とモチベーション、同じ文化的参照を共有していないと、何かを逃していることになる」
「だから、ユーグ(オレカ社長、ド・ショナック)を選んだことにとても自信を持っているし、とくにヒョンデ・モータースポーツの人材と専門知識でそれを補完できると思う」