大幅節税も可能? 専門家に聞く、タイとシンガポールの移住事情 〜前編:どんな人に向いているのか〜

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2024年12月06日 17:11  マイナビニュース

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日本と距離が近く、時差の少ない移住先として注目が集まっているのが、シンガポールとタイ。富裕層・高所得層の移住の多くは節税目的だというが、シンガポール・タイ移住のメリットやハードルは? 東南アジアの移住事情に詳しい、シンガポール在住公認会計士・税理士の相川聡志氏に聞いた。



前編となる本記事では、それぞれの国にどんな人が移住者として向いているのかを解説。子どものいる家庭が移住する場合と、リタイア後の老後生活を送る場合には、選択肢が異なるそうだが、その理由とは?


■シンガポールとタイ、移住するならどっち?



――シンガポールとタイではどちらが移住におすすめでしょうか?



目的や移住者の年代によって変わってきます。



未就学児のお子さんがいらっしゃる場合は、シンガポールがおすすめですね。タイよりもシンガポールのほうが圧倒的に治安が良いですし、ベビーカーを押して歩ける道路が整備されていたり、日本人医師が多かったりと、安心して子育てができる環境が整っています。



小さなお子さんがいない場合は、その人の趣味嗜好次第ですが、個人的にはタイにより魅力を感じます。



シンガポールは国土が小さいので飽きてしまいがちですが、タイは海あり山ありですし、山岳部は肌寒い地域もあるなど、シンガポールでは感じられない季節感があります。タイはゴルフ場の数も多いので、ゴルフ好きな方にもいいでしょう。



また、日本への飛行時間もタイのほうが短いですし、LCC(格安航空会社)も含めてフライトの本数が多いので、日本との行き来がしやすいです。



シンガポールに比べ、タイは在住日本人の数も圧倒的に多いため、日本の食品などが安く手に入りやすい点もメリットです。仏教の国であるという点においても、日本人と親和性が高いのではないでしょうか。



ただ、タイは雨季に道路が冠水することがあるので、衛生面を重視するならシンガポールのほうが合っていると思います。



――シンガポールとタイでは、どちらが移住のハードルが高いのでしょうか?



シンガポールは現地法人を設立しないと移住ができないため、その意味でシンガポールのほうがややハードルが高いです。



タイは「タイランドプリビレッジ」と呼ばれる会員権を購入するだけで最長15年(インビテーションを受けて最上位のリザーブ会員権を取得した場合は最長20年)の滞在が可能になるので、事実上、お金さえ出せばビザが手に入ります。

とはいえ、シンガポールでの会社設立自体は簡単なので、シンガポール移住もそれほどハードルが高いわけではありません。

■シンガポール・タイ移住で大幅節税に


――シンガポールは富裕層・高所得層の移住が多い国ですが、シンガポール移住にはどのようなメリットがあるのでしょうか?



最大のメリットは、日本に住んだ場合と比べて税金が著しく安くなることです。



シンガポールは個人所得税の最高税率が24%と、日本の55%(住民税を含む)よりも大幅に低いことに加え、配当金や株式の譲渡益には税金がかかりません。また、シンガポール国外で稼いだお金をシンガポールに入れても税金はかかりません。



タイについては、タイ国外で得た所得(国外源泉)については、タイに送金しなければ税金はかからないため、やり方によってはかなりの節税が可能です。



タイランドプリビレッジでタイに住み、シンガポールの銀行口座に運用益や日本での役員報酬などが入金されるようにして、節税をされている方もいます。税金を抑えるには、税制上の日本の非居住者になることが何よりも重要です。



現状、1億円以上の有価証券などを日本国外に持ち出す際は出国税がかかりますが、仮想通貨(暗号資産)の場合はかかりません。今後仮想通貨にも出国税を課すように税制改正がなされるのではないかという見方もあり、今のうちに出国しようと考える方も増えています。そのような方々の移住先として、最近は、お金でビザを買えるタイに注目が集まっていますね。



――タイは老後の移住に向いているとも言われますが、その理由は?



一番は物価が安いことではないでしょうか。



ただ、近年はバンコクをはじめ都市部の物価が上がっています。現地人のようなライフスタイルを送るならそれほどお金はかかりませんが、タイに移住する日本人は高い生活レベルを求める方が多いので、年金だけで悠々自適な暮らしを送るのは難しいのが現実です。



資産のある方は、付きっきりで炊事洗濯の世話をしてくれるメイドやドライバーを雇って暮らしている方もいます。タイは日本人医師こそ少ないものの、医療施設で働く日本人スタッフや通訳者はいるので、タイ語ができなくても病院でのコミュニケーションは可能です。


後編では、日本人移住者が実際に住んでいる地域や家賃、海外不動産としての将来性などについて解説していただきます。(春奈)

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