話題の「電流スプーン」、減塩ラーメンは“しょっぱく”感じられるのか? 一風堂が限定商品 キリンと手を組んだワケ

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2024年12月07日 09:21  ITmedia ビジネスオンライン

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一風堂、「30%減塩」のラーメンを限定発売(編集部撮影)

 ラーメン店「一風堂」を展開する力の源カンパニーは12月13日から、キリンホールディングスと共同開発した減塩ラーメン「減塩白丸元味」(1000円)を期間限定で販売する。同商品はキリンが開発した、電流を流すことで塩味を補う食器型デバイス「エレキソルト スプーン」で提供。減塩食に対して「薄味で物足りない」「習慣化するのが難しい」といった悩みを持つ人に訴求する。


【画像】電流が流れる「エレキソルトスプーン」、どうやって使うの? 減塩ラーメンを実際に食べる様子などはこちらから(計8枚)


●「濃い味で食べたいもの」の1位


 エレキソルトは、スプーンの先端から微弱な電流を流すことで、食品の塩味を約1.5倍に増強する食器型のデバイスだ。2019年にキリンが開発に着手し、2024年5月にスプーン型の「エレキソルト スプーン」(1万9800円)として、公式オンラインストアなどで予約販売を開始した。


 持ち手に付いたボタンを押すと電源が入り、食べ物を口に運ぶと電流がスプーンから口に、そして腕から再びスプーンに流れる。こうして電流の循環を作り出すことで、塩味やうま味がより強く感じられるという仕組みだ。


 エレキソルトの形状や、合わせる料理を検討するに当たって、キリンは「減塩に取り組む人が、薄味ではなく濃い味で食べたいもの」を調査。その結果、2位の「みそ汁」と大きく差をつけ、1位に挙がったのが「ラーメン」だったという。


 そこで同社では「減塩に取り組む人に“ご褒美食”としてのニーズがあるのでは」との分析から、一風堂と「減塩ラーメン」の共同開発に乗り出すことに。一風堂の定番メニュー「白丸元味」をベースに、塩分を30%減らした商品を開発した。力の源カンパニー 商品本部 副本部長の冨田英信氏は「ただ塩分を減らすだけでは物足りない味になってしまうので、うま味や甘味で味付けを調整した。そのまま食べても非常においしい」と自信を見せる。


●その味は……?


 しかしスープはともかく、ラーメンの麺をスプーンで食べるのは難しい。そこでキリンは、エレキソルトを使った「ラーメンの食べ方」も合わせて考案した。具体的には、片方の手にスプーンを持ち、先端をスープに漬けたままにする。そして、もう片方の手には箸を持ち、ラーメンを口に運ぶ、というものだ。


 こうすることで、「スプーンの先端からスープに流れ出た電流が、麺を通して口に伝わり、スプーンを持った方の腕から再びラーメンに戻る」という循環が生じ、ラーメンの麺もより強い塩味で味わえるという。


 果たして本当に、塩味を感じられるのか。実際に試食会に参加した。


 まず通常のレンゲで減塩ラーメンを口にしてみると、「白丸元味」の味はするものの、薄味でやや物足りなさは拭えない。次に、エレキソルトスプーンを使ってみると、確かに塩味が増し、とんこつスープの味わいもより口の中に広がるように感じられた。


 電流の強度は4段階を用意してあり、電源ボタンを複数回押すことで変更できる。塩味の感じ方には個人差があるものの(筆者は弱めの電流で十分だと感じた)、物足りないようであれば自分に合わせた強さに調整できるというわけだ。


 減塩白丸元味は、12月13〜14日と21〜22日の計4日間、一風堂 浜松町スタンド(東京都港区)で販売。完全予約制となっており、計600食を用意する。


 キリンはエレキソルト スプーンについて、2025年からの3年間で約10万台の販売を目標に掲げる。今後も外食企業と連携してイベントなどを実施し、認知拡大を図りたい考えだ。


 開発を担当したキリンの佐藤愛氏(ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループ)は「健康経営に取り組む企業や、減塩支援を実施する自治体にも訴求していきたい」と意欲を見せた。飲食店に初導入されるエレキソルトスプーンは、「ラーメン好き」からの支持を得られるか。


【編集履歴:2024年12月6日午後16時00分、キリンホールディングスへの追加取材により、本文を一部変更しました】



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