限定公開( 7 )
「HD-2D版 ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(以降DQ3HD)が11月14日に発売されました。筆者は最近スマホゲーやオンラインゲームばかり遊んでいてコンシューマーゲームにはあまり手を出さない上、リメイク作は「同じゲームを2度やるのもなあ」という思想からあまり遊ばないタイプの人間なのですが、今回ばかりは世間の盛り上がりについつい手を出してしまい、クリアまでガッツリ遊んでしまいました。
DQ3をやるのは96年のSFC版以来。DQ3はゲームボーイカラーやスマホアプリなどさまざまな機種に移植されていますが、それらをプレイすることはありませんでした。そんな状況なので「懐かしい〜」と思うところもあるのですが、記憶が曖昧になっているため、なかなか過去作との比較ができない状況です。
とくに今回は新要素としてあちこちに新たなボスキャラが配置されているのですが「こんな敵いたっけ……?」となっておりました。私に限らず「ナイルのあくま」に疑問を覚えていた方は多かったと思います。
それに限らず旅の過程で見られるオルテガの思い出も盛りに盛られていたように思うのですが、これも記憶が曖昧です。ここまで明確に過去の思い出は語られていなかったように思うのですが。ただし、このあたりの記憶の曖昧さも含めてたいへん楽しませてもらいました。
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最後の最後には「これは過去なかっただろう」という、このリメイクが3から発売された理由が分かるエピソードが追加されており、今後「1&2」のリメイクも買うしかないと思わされるものになっていました。
以上、ざっくりと語ると「おおむね楽しかった!」となる作品ではありますが、ネットの反応を見ているとやや賛否が入り交じっているものを感じました。おもに話題になっていたのは難易度について。今回は難易度が3段階に設定できるというのが過去になかったポイントなのですが、一番難しい難易度でも簡単ではないか、という意見も聞かれました。その意見がなぜ出てきたのか、というところも含めて書いていきたいと思います。
●親切すぎる? ちょうど良い?
三段階の難易度は「楽ちんプレイ」「バッチリ冒険」「いばらの道だぜ」となっており、やさしい、ふつう、むずかしいという分類になっています。いちばんやさしい「楽ちんプレイ」は戦闘不能にならないという最大の特徴を持っています。どれだけ敵の大ダメージを受けてもHPが1残るのです。
ただし、死なないとはいえレベルを上げなければ敵にダメージが通らないので、レベル上げをせずに突進できるわけでもありません。今回はフィールドが広く遭遇率も高いことに加え、比較的序盤から複数回攻撃を行う敵もいます。そのため突発的なピンチに陥ることが多く、そういうアクシデントによる死を防ぐという意味での難易度低下策と考えています。
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一方「いばらの道だぜ」は入手経験値とゴールドが減り、敵のダメージが上がりますが、敵との遭遇率が変わるわけではありません。その上、今回追加・改良された多数の便利なシステムはそのまま使うことができます。ルーラがMP0で利用できる上、ダンジョンからの脱出にも使えます。
また、ルーラでは街だけではなくダンジョンの入口に移動できるため、ダンジョンに向かうまでの戦闘が回避できます。そのダンジョンでも中に入ればいつでも地図が見られ、右上にはミニマップが表示されています。戦闘においてもレベルが上がるタイミングでHPとMPが回復する上、万が一戦闘で全滅しても直前のオートセーブから復帰が可能。この状態で高難易度と言われても……となる人がいるのは分かる気がします。
ですが先にも書いたように敵の数の多さや遭遇率の高さに加え、新たに配置されたボスはどれも強敵ぞろいという印象があります。そのため何も知らずに挑むと戦闘は厳しこともあるのですが、レベルを上げ、転職できるようになるとどんどん戦闘の難易度は軽減されていきます。
特に、今回の新要素である魔物使いが別格の強さ。同じく新要素のはぐれモンスター集めがやりやすく、かつ集めたモンスターの数で強くなるという性能が非常に相性がよいものとなっています。中でも複数ターン2回行動できるビーストモードと、仲間を集めれば集めるほど与えるダメージが増えるまものよびで、ボス戦はほぼ余裕で抜けられます。
しかもラリホーが効くボスが多く、やまびこのぼうし+ビーストモードで1ターンに4回ラリホーを唱えていると大体ボスが寝てくれます。結局うちのパーティはみんな魔物使いを経由したため転職でどんどん強くなる仲間を尻目に勇者がベホマズン&けんじゃのいし係になっていました。
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「いばらの道だぜ」でボスに挑んではいないのですが、ボスが眠らなくなるなどの戦闘時の調整はなかったように思います。以上のような要素が相まって難易度は高くないと認識されているのではないでしょうか。遭遇率の多さについても盗賊のしのびあしがあれば軽減は可能です。
とはいえ、自分のようなヌルいゲーマーにはこれらの難易度の低さは気にもならず、むしろ快適にゲームをプレイできる要素ではありました。ルーラやダンジョンマップの改善についても大変好感が持てます。また、地上を旅するときにいろいろな落とし物を拾えるのですが、これがドラマを感じさせるもので大変良いです。
どうのつるぎとかわのよろいが複数セットで落ちていたり、なぜかバニー装備が一式落ちていたり……。ただ、この落とし物が結構豪華なもののため小さいメダルのプレゼントやダンジョンで拾うものの価値が若干落ちているようにも思えます。細かい不満を言えばこれらを拾い集めに世界を巡るようになるとラーミアや船の速度が若干遅いのが気になったりもします。ルーラが便利になっている分通常の移動の遅さが際立つとでもいいましょうか。
これらの利便性を考えると「ダンジョンのマップ表示はなし」「ルーラとリレミトの仕様は旧作」みたいなハードモードはあっても良かったかもしれません。移動速度の件も含め、今後アップデートに期待したいところです。
もうひとつ付け加えるとすれば、ゲーム内に新規に追加された「バトルロード」というはぐれモンスターを集めて戦わせるコンテンツ。「ガンガンいこうぜ」などの作戦を設定してオートでモンスターを戦わせるものなのですが、個人的にはこれがそこまで楽しいとは思えませんでした。強いモンスターを揃えて相手を倒すのを見ているだけなのです。こちらにも難易度低下が適用できるのでやる気がなくとも報酬がもらえるのはありがたいところ。
なおクリア後に戦闘できる相手にも難易度低下は適用できるので「何ターン以内に倒せ」というのはかなり楽に達成できます。自分のような楽できるところは徹底的に楽したい人間からすればありがたい限りですが、この辺りも歯ごたえを求めている人からすると「自力で縛らないとダメなんですか?」みたいな反応をされてしまいそうだなと思ってしまいました。
最後になりますが、FC版の当時は大魔王ゾーマの存在は隠されていたように思います。それが、今では大魔王が動画配信をする時代になってしまいました。こんなところにも時代の変化を感じます。
このような動画を見て「ゾーマか、昔DQ3やったなぁ〜懐かしいなあ」ぐらいの人に遊んでほしいゲームとして作られている作品だったように思います。オリジナルと比較されてしまうのはリメイクの宿命かと思いますが「なんか記憶と違う!」と明確に覚えている人よりは記憶が曖昧なぐらいのほうが楽しめる作品でした。
(ライター:怪しい隣人)
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