22日に本番を迎える漫才頂上決戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)を前に、TVerで「M-1レジェンドヒストリー」という動画が公開されている。
その第1回として取り上げられたのは、2017年〜19年に3年連続ファイナリストとなったかまいたち。ABCテレビに膨大に残されている記録映像で、1年目の挑戦からラストイヤーとなった19年までを、本人たちのコメントを交えながら振り返っている。
その中で、濱家隆一がこんなことを言っていた。秋に『キングオブコント』(TBS系)で優勝を果たした17年、敗退直後のコメントである。
「意図的に自分たちで言ってなかったんですけど、2冠獲りたかったなぁ」
過去に、漫才の『M-1』とコントの『キングオブコント』で2冠を獲得した芸人は存在しない。マヂカルラブリー・野田クリスタルと霜降り明星・粗品が『M-1』『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の2冠を獲得、ゆりやんレトリィバァが『R-1』と『THE W』(日本テレビ系)で勝っているが、漫才とコントの頂上を両獲りすることがどれだけ難しいかを、その事実が示している。
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過去にもっとも2冠に近づいたのが、17年『キングオブコント』で優勝、19年『M-1』で準優勝を果たしているかまいたち、それに07年『M-1』優勝、09年『キングオブコント』準優勝のサンドウィッチマンの2組だ。その次にくるのが、15年18年の『M-1』で3位に入り、20年の『キングオブコント』で優勝しているジャルジャルになる。
そのほか、双方のファイナリストとなっているのが、アキナ、銀シャリ、さらば青春の光、タイムマシーン3号、男性ブランコ、ダンビラムーチョ、ニューヨーク、ピース、マヂカルラブリー、モンスターエンジン、ロングコートダディ。その中で結成15年以内という『M-1』の出場資格を来年以降も残しているのはアキナ、男性ブランコ、ダンビラムーチョ、ニューヨークの4組だが、ニューヨークはすでに「賞レース引退」を宣言しており、事実上、『M-1』現役のダブルファイナリストは3組となる。それに19年の『M-1』王者・マヂカルラブリーを加えた4組が、現時点でもっとも「2冠」に近いコンビといえるだろう。
また、過去の『M-1』王者で『キングオブコント』に積極的に挑戦する姿勢を公言しているのはマヂカルラブリーのみ。霜降り明星は21年に準決勝で敗退して以降、エントリーしておらず、ウエストランドも12年に準決勝に進んだ経験があるが、16年以降出場していない。
一方、『キングオブコント』王者では15年王者のコロコロチキチキペッパーズと22年王者のビスケットブラザーズが毎年『M-1』に挑戦している。コロチキは準々決勝に3度、ビスブラは22年に準決勝まで進出したが、決勝の厚い壁に跳ね返されている。しかし、この2組もまた2冠候補といえるだろう。
果たしてこの中から2冠王者が生まれるのか、あるいはまだ知らぬ新星がかっさらうのか。お笑い史に残る偉業を待ちたい。
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(文=新越谷ノリヲ)