サンフレッチェ広島は8日、明治安田J1リーグ最終節でガンバ大阪と対戦し、1−3で敗れた。広島は最終節を前に2位につけて、首位のヴィッセル神戸とは勝ち点差が「1」。優勝の可能性を残していたが、神戸が湘南ベルマーレに勝利し、広島はG大阪に敗れて逆転は叶わなかった。
ラストマッチで紫の18番が意地を見せた。MF柏好文は今シーズン限りで11年過ごした広島を退団するため、敵地でのG大阪戦が広島の選手として最後の試合となった。出番が訪れたのは1点を追う78分、MF東俊希との交代でピッチに入った。
「11年分の思いというよりは、目の前の試合に勝たないことには(優勝の)チャンスがないことがわかっていたし、神戸の結果を踏まえても自分たちがまず勝ち点3を取らないと 1位は難しかったので勝つことだけに集中して僕自身はピッチに立ちました」
左サイドに入った柏は、3点ビハインドの後半アディショナルタイム1分、MF中島洋太朗のパスを受けてペナルティエリア左で絶好のチャンスを迎えたが、シュートは相手GKの好セーブに阻まれた。それでも、直後の後半アディショナルタイム3分には、切り返しから正確なクロスを上げて、柏らしいプレーでFW加藤陸次樹のゴールをアシストした。
ラストマッチでチーム唯一の得点を演出したが、柏は「優勝して終わることが、離れる選手としては1番大事だったので、いち個人の結果にはさほど左右されてないです」と冷静にコメント。ミヒャエル・スキッベ監督は試合後の会見で、「カシ(柏)の良さが出たアシストだった思います。切り返してフィーリングのいいクロスだった。すごくいい形でチャンスを作れていた」と称えた。
逆転優勝のために勝利したい試合だったが、チャンスを決めきれず、3失点を喫して敗戦。柏は、「勝ち切れなかったところは、広島がもう1つ上のステージに行くところで1つの課題だと思う。ここ3シーズンで3位、3位、2位と来て、あと1歩のところにいる。そのあと1歩のところを突き詰めていく必要がある」と指摘した。
最終節で敗れたものの、今季は19勝11分8敗の2位で終了した。前半戦の勝ち切れない時期には10位に沈み、夏にはFW大橋祐紀やMF川村拓夢ら主力が海外移籍。大事な終盤に痛い3連敗を喫したが、最後の最後まで優勝を争った。柏は、「(この試合の)結果というよりは、チームの年間通しての結果にフォーカスしたいし、決して自分たちが納得いく結果ではなかったけど、1年通しての結果は胸張っていいと思う」と話し、「僕個人は来年以降チームを離れるけど、本当に伸びしろがあって、いい選手がいっぱいいるので、今シーズンの2位に自信を持って来季に生かしてほしい」と仲間にエールを送った。