ランド・ノリス(マクラーレン)が2024年シーズンのF1最終戦となる第24戦アブダビGPをポール・トゥ・ウインで制し、マクラーレンが26年ぶりとなるコンストラクターズチャンピオンに輝いた。
逆転王座に挑んだフェラーリはカルロス・サインツが2位、シャルル・ルクレールも19番グリッドから3位まで追い上げを見せた。しかし、イタリアの跳ね馬は逆転に14点届かず、マクラーレンが逃げ切ってタイトルを決めた。
チェッカー直後のノリスは無線で、「君たちスタッフのことを誇りに思う。みんながこのタイトルにふさわしい。特別な1年だった。本当にありがとう」と、彼を支えてくれた全員の努力を讃えた。そして最後に「来年は僕の年だ」と、締め括った。
その言葉には、ドライバーズタイトルを逃した悔しさと、2025年シーズンに向けた手応え、というふたつの意味が込められていたように思う。
2024年シーズン中盤以降はマクラーレンのマシン戦闘力がレッドブルを凌いでいるのは明らかだったが、それでもノリスはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を仕留めることはできなかった。
「今のマックスには弱点がない。1年を通してミスをしない、完璧なドライバーだよ」というノリスのフェルスタッペン評は、2024年シーズンのノリスに足りなかったものを示していたと言える。
しかし最終戦アブダビGPでのノリスの強さは、圧倒的だった。前日の予選で、チームメイトのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に0.209秒の差をつけてポールポジションを獲得。レースも危なげなくスタートを決めると、一度も首位を譲ることなく58周を走り切った。
今回の勝利はノリスにとってシーズン4勝目。ポール・トゥ・ウィンとしてはシンガポールに次ぐ2回目となるが、今回の方が走りは安定し、力強い勝利だったと言える。本人もそのことに大きな手応えを感じ、それが「来年は僕がタイトルを獲る」という決意表明に繋がったのだろう。
F1ではシーズン終盤の勢いが、翌年の序盤戦に持ち越されることが少なくはない。2025年シーズンは車体もパワーユニットもテクニカルレギュレーションは大きくは変わらないため、その法則はいっそう説得力を持つ。ちなみに第20戦メキシコシティGPから今回のアブダビGPまでの2024年シーズン終盤5レースは、『フェラーリ→レッドブル→メルセデス→レッドブル→マクラーレン』と、トップ4チームが毎回入れ替わるかたちで勝利を挙げている。
とすれば2025年も(少なくともシーズン序盤は)、誰が勝つか予想しにくい戦いが毎回期待できそうだ。ただしこれら4チームのなかでドライバーラインナップが不変なのは、マクラーレンだけであり、それは無視できないアドバンテージとなる。
さらにこの最終戦での堂々たる勝利は、ノリスの内面に少なからぬ変化を及ぼすはずだ。2025年はノリスとマクラーレンが、さらなる強さを見せるシーズンになるかもしれない。