『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
◆場所が変われば、着るもの、履くものも変わる
住むところ、あるいは働く場所が変わると、着るもの、履くもの、持つものなど、変わらざるを得なくなります。例えば東京の丸の内や表参道付近の会社で働いている人が、田舎の工場勤務になったら、通勤のための服も仕事着も必然的に変わってくるでしょう。
変えなくてはならない理由の一つは必要なものが変わるためです。例えば都会での通勤に革のパンプスを着用していたとしても、田舎の工場に行くときは、同じパンプスでは歩きにくいし、必要ないかもしれません。
もう一つの理由は、なんとなく周囲の景色と似合わなくなるから。
都会の街の多くはコンクリートとガラス、アスファルトでできています。色合いは白、グレー、黒のグラデーションです。そこに鏡の役目も果たすガラスが加わります。自分の周囲がグレー中心のくすんだ色だと、着るものもグレイッシュトーンに合わせたほうが、なんとなくしっくりくるように感じる人が多いかもしれません。
一方、郊外よりも外側、田舎方面へ向かうと、自分の周囲を埋める色がガラッと変わります。場所によって、それは木々や畑の緑、あるいは海の近くなら空と海の青になります。
木々の緑や海の青が自分の背景の多くを占めるところへ、都会にいるときにはぴったりだと感じた全身黒や白黒のスタイルでいると、なんとなく具合が悪いと感じるかもしれません。都会とは違って、ここでの保護色は自然にある色合いです。
田舎にいるときに都会に似合う格好をしていると、周囲の風景と合っていない、なんとなく浮いている感じがすると感じる人も多いでしょう。
◆湘南を離れて郊外の外側で暮らしたら想像以上に違っていた
要するに、その地域で生活するのに必要で、周囲の風景になじむ服、靴、バッグ、その他が、都会と田舎では違うのです。
そんなことは頭ではわかっていたので、同じことを皆さんにも説明していましたが、実際に自分がそれを体験してみると、郊外の外側の生活に必要なもの、似合うものは想像以上に違っていると気づきました。
現在、湘南を離れて、もう少し西の海と山の近くの海街で生活しています。郊外の、そのまた外側へやってきたら、今まで着ていたのに全く用がなくなってしまったもの、あるいは必要になったもの、両方出てきました。
まずあまり使わなくなったものが革のアウトソールの靴。出かけるときによく履いていた靴のアウトソールが革の靴。この靴で駅までの道を歩くとめちゃくちゃ疲れるのです。
理由はアスファルトの舗装がつぎはぎだらけででこぼこだから。革のアウトソールと、このでこぼこのアスファルトの道の相性がとても悪く、途中で滑りそうになったり、段差で転びそうになったりと、駅までの道のりがちょっとしたハイキングのようになります。
着る機会がぐっと減ったものは、なんといってもお出かけ用の服。私が好きなのはモードの服。特にお出かけ用はモード寄りの服ばかりでした。それが街の雰囲気に全く似合わない。
◆必要になった服と靴と、外出用のライト
逆に必要になったのは、イギリスだったらコッツウォルド、フランスだったらプロバンス、イタリアだったらトスカーナみたいなところで似合う服や靴。ちょっと歩いたら山ですよ、森ですよ、畑ですよ、ビーチですよ、みたいなカントリーサイドに似合う服と靴です。
カーキ色のフィールドジャケットとかカーゴパンツ、トレッキングシューズのような、そんな装いが必要になりました。逆にそれさえあれば、その格好でどこへでも出かけられます。
そして今まで全く必要に感じたことがないけれども、最も必要だと感じたのが夜の外出時に使うライトです。なんといっても道が暗い。県道から1本入っただけで、外灯の数がぐっと減ります。
また歩道がない道も多いにもかかわらず、乗用車やトラックが脇をすれすれにすっ飛ばしていくため、夜道が本当に危ない。ほかの人たちの様子を観察してみると、犬の散歩をしている人たちは皆、犬に何かしら光るものを装着させていますし、人によってはスマホのライトをつけながら道を歩いています。
◆好きなところに取り付けできるクリップ式のウェアラブルライト
ここは夜道を歩くのに携帯する光が必要な場所。どうせ買うなら、素敵なデザインのものがないかいろいろ探していてたどりついたのがスウェーデンのブランドの「エクリプス」という名のウェアラブルライト。クリップ式になっているので好きなところに取り付け可能です。
最近使い始めましたが、明るく光って頼もしい。これなら車の運転手からもばっちり視認されて、お互い安全でいられそうです。
◆暮らしに必要なものをそろえつつ…
郊外のそのまた外側での暮らしに必須のものは、まだ全部そろってはいません。
全部をいっぺんにそろえるのは無理なので、これから革のアウトソールにヴィブラムソールを貼ったり、セカンドハンドのバブアーのフィールドジャケットを探したり、街歩きにも使えるトレッキングシューズを買ったりしながら、徐々にそろえていきつつ、もう既に持っているお出かけ用のモードな服を着るために、定期的に都会にお出かけしたいと考えています。
◆筆者私物:BOOKMAN「ライト エクリプス」4620円
<文/小林直子>
【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。