【写真】井上芳雄、大原櫻子、浅野和之ら芸達者が勢ぞろい!
帝政ロシア末期を舞台に、没落してゆく貴族社会と人間たちをみつめた悲喜劇を世に遺した劇作家アントン・チェーホフ。ある者は過去の栄華にしがみつき、ある者は新しい時代を夢見て前へ前へと歩み始める…。そんな人々の姿を描き、いつの時代にあっても観る者の心をざわつかせてきたのが、チェーホフ四大戯曲(『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』)だ。
その四大戯曲に、鬼才ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が独自の視点から上演台本と演出を手がけ、真っ向から取り組もうと2013年にスタートしたのが、本シリーズ【KERA meets CHEKHOV】。それから足かけ11年、いよいよその最終章である『桜の園』東京公演が12月8日に開幕の日を迎えた。
この最終章を彩る俳優陣は、主演の天海祐希をはじめ、井上芳雄、大原櫻子、荒川良々、池谷のぶえ、峯村リエ、藤田秀世、山中崇、鈴木浩介、緒川たまき、山崎一、浅野和之、といったそうそうたる顔ぶれ。KERAと共に、充実の布陣が総力でシリーズ集大成公演に臨む。
19世紀末のロシア。桜の木々に囲まれた、もはや没落している貴族の屋敷に、長く外国に滞在していた女主人ラネーフスカヤ夫人(天海)が、迎えに行った娘のアーニャ(大原)と家庭教師シャルロッタ(緒川)と共に数年ぶりに戻ってきた。兄のガーエフ(山崎)、留守中の屋敷を切り盛りしていた養女のワーリャ(峯村)や老僕フィールス(浅野)は再会を喜ぶが、実は屋敷の財政は火の車…。
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屋敷の事務員エピホードフ(山中)は、小間使いのドゥニャーシャ(池谷)に求婚しているが、当人は外国帰りの夫人の従僕ヤーシャ(鈴木)に夢中だ。そして、夫人の亡き息子の家庭教師だった大学生トロフィーモフ(井上)は、来るべき時代の理想像を、アーニャに熱く語っている。
様々な人間ドラマが繰り広げられる中、ついに抵当に入れられていた領地が、競売にかけられる日がやってきた。果たして、「桜の園」と呼ばれる屋敷の運命は…?
天海は「チェーホフ戯曲を演じるのは初めてです」と明かし、「ここに出てくるのは不完全で愛おしい人ばかり。大きな時代の流れの中で、誰もが皆一生懸命生きているんだと思うと胸が熱くなります」と作品の魅力を熱弁。続けて「それにしても、ご一緒の皆さん、本当にすごいメンバーばかりで、どこを見ても面白いんですよ。また、KERAさんに演出を受けるのも初めてなのですが、厳しくも優しい方で、毎日が楽しく勉強になることばかりです。こんな受け取り方や表現の仕方があるんだなと、KERA版『桜の園』を楽しんでいただけたら嬉しいですね」とメッセージを寄せた。
井上は「120年前に書かれた戯曲ですが、世の中のすべての人間のタイプが登場しているのでは、と思うくらい多種多様な人物が出てきます。それがチェーホフが世界中で上演され続けている理由かもしれません。これが喜劇なのか悲劇なのか、観客の皆さんも見終わった後に楽しく思いを巡らせてみてください」とコメント。
ケラリーノ・サンドロヴィッチは「11年かけてSISカンパニーとの共同作業を続けてきたチェーホフ四大戯曲の上演がついに完結する。掉尾を飾るに相応しい舞台に仕上がってるはず。キャスト、スタッフと共に、そりゃもう、頑張りました。天国のチェーホフを小躍りさせてみせましょう」と自信たっぷりに語っている。
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※コメント全文は以下の通り。
【コメント全文】
■天海祐希(ラネーフスカヤ夫人役)
チェーホフ戯曲を演じるのは初めてです。以前は、もっと難解で高尚なイメージをもっていたのですが、ここに出てくるのは不完全で愛おしい人ばかり。大きな時代の流れの中で、誰もが皆一生懸命生きているんだと思うと胸が熱くなります。
それにしても、ご一緒の皆さん、本当にすごいメンバーばかりで、どこを見ても面白いんですよ。また、KERAさんに演出を受けるのも初めてなのですが、厳しくも優しい方で、毎日が楽しく勉強になることばかりです。こんな受け取り方や表現の仕方があるんだなと、KERA版「桜の園」を楽しんでいただけたら嬉しいですね。
■井上芳雄(トロフィーモフ役)
派手な出来事は描かずに、その前後の状況や人々の変化を描いていくのがチェーホフ戯曲の作風ですが、そこにすべてのドラマがあるという見せ方は、自分にとって大きな発見でした。その周辺に何があるのかを探ることは、芝居でも人間を考える上でも重要だと思います。
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■ケラリーノ・サンドロヴィッチ(上演台本・演出)
11年かけてSISカンパニーとの共同作業を続けてきたチェーホフ四大戯曲の上演がついに完結する。掉尾(ちょうび)を飾るに相応しい舞台に仕上がってるはず。キャスト、スタッフと共に、そりゃもう、頑張りました。天国のチェーホフを小躍りさせてみせましょう。