ケビン・マグヌッセンは、来季2025年にBMWの最高峰スポーツカーレースプログラムへの参加を表明した後、ドイツメーカーのLMDhカー『BMW MハイブリッドV8』での最初のレースが1月の『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』であることを認めた。
先週末のアブダビGPでハースでの最後のF1出場を果たしたデンマーク人ドライバーは、2021年以来となる耐久レースへの復帰にともないBMW陣営に加わることが12月5日に発表された。
■BMWチームのボスが幼いマグヌッセンの命を救う
BMWは先週木曜日、新たに加入したスター選手がWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテックスポーツカー・チャンピオンシップのどちらに出場するのかを明らかにしなかったが、マグヌッセン自身はデイトナで行われるウェザーテック選手権のオープニングレースからシーズンが始まると明言した。
「スポーツカーレースに復帰できてうれしい」とマグヌッセンは先週末、アブダビでの最後のF1レースを前に報道陣に語った。
「そこは僕が育った場所のようなものだ。父(コルベット・レーシングなどで活躍したスポーツカーのベテラン、ヤン・マグヌッセン)は僕が物心ついた頃からずっとスポーツカーレースに参戦していて、(デイトナのような)ビッグレースでは僕もサーキットにいた。だから、ある意味では故郷に帰るような気分だ」
「デイトナはその最初のレースで、BMWはすぐに残りのプログラムを発表するだろう」
マグヌッセンは、WECでBMWのハイパーカーファクトリーチームを運営するWRTのボス、ヴァンサン・ボッセとの長年の関係が決断のカギだったと説明し、WECが彼のプログラムの焦点になる可能性を示唆した。
「僕は幼い頃からボッセのことは知っている」とマグヌッセン。「彼は僕が2歳のとき、スパにある彼の家のプールに落ちた僕の命を救ってくれたことがあるんだ」
「プールに飛び込んだけど泳げなかった。彼は何かの祝賀会のためスーツを着ていたのだけど(僕を助けるために)プールに飛び込んだ。あのときは彼の一日を台無しにしてしまった。でも、今なら埋め合わせができると思うよ!」
「彼とはずっと連絡を取り合っている仲なんだ」
WECとウェザーテック選手権の両方に同時に参加したいかと尋ねられたマグヌッセンは、次のように答えた。「可能ではあるけれど、それは好ましくないね」
■インディカーへの移籍も検討
2020年の加入以来初めてハースを離れたことでF1キャリアが一時的に中断された後、マグヌッセンはチップ・ガナッシ・レーシングが運営するキャデラックのワークスプログラムに加わってIMSAのフルシーズンを走り、2022年には自身2度目のデイトナ24時間レース出場を果たした。
その2022年にはプジョーのWECドライバーになる予定だったが、ニキータ・マゼピンの後任としてハースに復帰するという土壇場のオファーを受け入れ、フランスメーカーとの契約を撤回している。
2025年のF1グリッドに残るという試みに敗れたマグヌッセンは、さらなるキャリアを積むためにNTTインディカー・シリーズへの移籍を考えていたことを認めたが、「家族と一緒にアメリカに引っ越すのは現実的ではなかった」と語った。
また、彼はF1でリザーブドライバーの役割を追求することは否定したが、BMWとの新たな契約に加えて、ハースでより幅広いテストの役割を担うことは否定しなかった。
マグヌッセンはまた、BMWとの新たな関係によって「クラシック耐久レースのいくつかに出場し、勝利に挑戦することができるようになった」と述べたが、来年のLMDhプログラムにGT3の一部のレースを追加する可能性については否定的だ。
「バサースト(12時間)やノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク24時間)のようなクールなGTレースあいくつかあり、将来的には楽しめるかもしれない」と彼は言う。「しかし僕にとって、それらは近い将来の計画ではない」