国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の研究情報を中国企業に漏えいしたとして、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)罪に問われた中国籍の元主任研究員、権恒道被告(61)の公判が10日、東京地裁(馬場嘉郎裁判長)であった。検察側は懲役2年6月、罰金200万円を求刑し、弁護側は改めて無罪を訴え結審した。判決は来年2月25日。
検察側は論告で、権被告が産総研に研究コストを負担させ、その成果を自身が設立した中国企業に漏えいして利益を得させたと指摘。「背信的で、極めて悪質だ」と非難した。
弁護側は最終弁論で、研究情報を企業側に送ったのは別の職員で、「紛れもない冤罪(えんざい)だ」と主張。最終意見陳述で権被告は「不実の罪で起訴された」と述べた。
起訴状によると、権被告は2018年4月13日、営業秘密に当たるフッ素化合物の合成技術情報の研究データをメールで中国企業に送信したとされる。