前澤友作氏のカブアンド、なぜ不具合多発で批判が噴出…モバイルは魅力に疑問も

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2024年12月11日 18:20  Business Journal

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「KABU&」の公式サイトより

 ZOZO創業者・前澤友作氏が手掛ける、利用料金に応じて株がもらえるという画期的なサービス内容で話題の「KABU&(カブアンド)」。11月20日にサービス提供が開始され、20日間で会員数100万人を突破するほど高い人気となっている一方、モバイル通信(MVNO)の「KABU&モバイル」では、「開通できない」「SIMカードが届かない」といった不具合の続出とサポート対応の遅さに批判が巻き起こっている。何が原因なのか、業界関係者の見解を交えて追ってみたい。


 前澤氏が社長を務めるカブ&ピースが運営するKABU&モバイルは、MVNOの利用料金に応じて、同社株式への交換やサービスの割引に使える割引券に交換できる株引換券を付与されるという点が特徴。たとえば20GBプランを通常会員として契約して月額基本料金2178円(税込み、以下同)が発生した場合は217枚(43株相当)を獲得。同社株は未公開であり、将来上場すると株の売却益を得られる可能性がある。


 利用できる通信回線は大手キャリアのNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社。現在契約中のキャリアがMNPワンストップ対応であれば、MNP予約番号なしで現在のキャリアのマイページとKABU&モバイルのサイト上で簡単に乗り換えが可能。プランは以下の計5つとなっている。

・3G:1078円
・5GB:1298円
・10GB:1738円
・20GB:2178円
・50GB:3828円


 このほか、カブアンドのサービスとしては、「KABU&でんき」「KABU&ガス」「KABU&ひかり」「KABU&ウォーター」「KABU&ふるさと納税」がある。これらを利用すれば、より多くの株引換券を得ることが可能。たとえば「KABU&でんき」は現在契約中の電気会社への解約手続きや申し込み手数料、工事が不要で、料金は地域の電力会社とほぼ同じ。公式サイトによれば、月に9519円利用した場合、株引換券を95枚(19株相当)獲得できる。


サポート窓口にメールを送っても返信がない

 その「KABU&モバイル」では、申し込みが殺到した影響で一時的にサービスを停止するなど、以下のような不具合などが相次いでいる。


・申し込みが完了しても、いつまでもSIMカードが届かない

・スタートガイドのQRコードを読み込んでも、MNPの開通日予約ページが表示されない

・マイページからMNP開通日時の予約ができない

・モバイル通信が利用できない

・マニュアル通りに作業しても開通できない

・キャンセルとなった契約もマイページに残る仕様になっているため、キャンセルされているのか、されていないのか分からない

・申し込みが完了した後に強制的にキャンセルされた

・回線切り替えの不具合でSIMカードが再発行になり、新しいSIMは再申請しないといけない

・プラス会員を解約して2カ月分の返金処理をされたものの、12月分が再び請求された

・2週間ほど遅れてSIMカードが送られてきたもののSIMカードに不具合があり使えず、もう一度、最初から申し込み手続きをやらされる

・サポート窓口にメールを送っても返信がない

・サポート窓口の電話がつながらない


 一連の混乱を受けてカブ&ピースは12月1日、乗り換え前のキャリアで12月分の利用料金が発生してしまう人に別途補償を行う旨を発表。さらに公式サイト上にFAQを掲載したうえで、問題が解決しない場合は問い合わせフォームより連絡をするよう呼び掛けているが、SNS上ではユーザーから以下のように批判の声が相次いでいる。

<お粗末すぎる>
<契約してないのに請求あげるのって詐欺かなんかになるんじゃないの?>
<もうめちゃくちゃやでカブアンド>
<ほんといい加減にしろ>
<携帯が使えなくなるってそもそもダメですよね>
<流石にめんどいわ>
<11月20日から今日まで無駄な日が過ぎました>


通信事業の運営主体として信頼できるのか

 大手キャリア関係者はいう。


「新サービスの立ち上げという点や申し込みが殺到したという点を考慮しても、ここまで不具合のオンパレードになるというのは、さすがにマズイという印象です。自前で回線や基地局を持つ大手キャリアが、想定外の事象が起きて通信遅延や障害を起こしてしまうといったことは一定の確率で起きてしまいますが、MVNO のKABU&モバイルは大手キャリアの回線を使用するだけなので、手続き的な部分で確認が不十分な点が多かったということになります。通信事業は人々の重要なインフラを担うだけに、事業の運営主体として信頼できるのかという疑問を感じます」


 不具合が多発した背景について、専門家は次のように指摘する。


「KABU&モバイルには、裏で通信サービスを提供するミークという会社が存在する。もともとミークはいくつかの事業を手がけていたが、どちらかというと法人顧客がメインで、今回のKABU&モバイルのような個人を中心とした顧客を相手にするサービスの経験が少なかったのではないか。当然、顧客接点となるKABU&モバイル側にもそうしたノウハウはないわけで、いきなり世間から注目を集めて申込者が殺到したことで、現場が混乱したと思われる」(ITジャーナリストの石川温氏/12月4日付け当サイト記事より)


毎月多くの通信量を使う人であれば楽天モバイル

 他のキャリアとの比較において、KABU&モバイルは積極的に「選ぶべき」サービスといえるのか。大手キャリア関係者はいう。


「音声通話を除いて考えると、KDDIのオンライン専用料金プラン『povo2.0』の『新1年間トッピング』が年間360GBで2万6400円、1カ月あたり換算で30GB、2200円となり、30GBを超える月があっても年間トータルで360GB以下なら追加料金は発生しないので、こちらのほうが安い。また、楽天モバイルの『Rakuten最強プラン』はデータ利用量が無制限で月額3278円であり、毎月多くの通信量を使う人であれば楽天モバイルのほうがよいでしょう。ただ、もちろん既存キャリアのプランでは株は付与されないので、カブ&ピースが上場すると読んでKABU&モバイルに乗り換えるという賭けを行うかどうかは自己責任ということになるでしょう」(12月4日付け当サイト記事より)


(文=Business Journal編集部)



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